藤岡正明&木村花代にインタビュー~
日本初演オフブロードウェイ2人ミュ
ージカル『Hundred Days』

2020年2月20日(木)から3月8日(日)まで、新宿シアターモリエールと中野ザ・ポケットでオフブロードウェイ・ミュージカル『Hundred Days』が上演される。日本初演だ。シンガーソングライターで俳優の藤岡正明と元劇団四季のミュージカル女優・木村花代の2人によるロック・ミュージカルとなり、日本語上演台本・訳詞・演出を板垣恭一が、音楽監督を桑原まこが務める。

 
本作は100日を100年のように生きようとした夫婦、ショーンとアビゲイルの回想録で、シンプルなセットと、6人編成のロックバンドがライブハウスでコンサートを行うような形式で劇が進行していく。冒頭から畳み掛けるようなリズムと音の洪水の中で、「他人を愛して生き抜く」ことについてのあらゆる思索を旋律に載せて投げかけてくる。これは死に関する話ではなく、他人と人生を歩むこと=「愛」について描かれる物語だ。
 
自らギターを握ってベンソンズというバンドを率いるリーダー、 ショーンに扮するのは、シンガーソングライターとしても活動している藤岡、伸びやかな歌声と可憐なイメージの木村は自身初となるロック・ミュージカルのヒロイン、アビゲイルとして力強くも奔放な女性役に挑む。
 
2019年11月上旬に行われた、本作品のビジュアル撮影に潜入し、合間に出演者の2人にショートインタビューを行った。
ミュージカル回想録『HUNDRED DAYS』のビジュアル撮影中の藤岡正明と木村花代  (撮影:五月女菜穂)
雲ひとつなく、よく晴れた11月上旬のある日。ハットを被り、個性的なシャツにベストとズボンというモノトーンな衣装を着た藤岡と、パンチの効いた赤いワンピースに黒ジャケットを羽織った木村が、都内某所で本作のビジュアルを撮影していた。「ロック」な衣装を着こなし、撮影でもにこやかな表情を見せた2人だが、意外にも(?)初共演だという。
 
−− 初共演ということで、まずはお互いの印象をお聞かせ願います。
 
木村 藤岡さんとは飲みの席で以前お会いしたことがあって、その時に一緒に何かやりたいよねという話はしていたのですが、なかなか機会がなくて。今回藤岡さんが相手役ということを聞いて嬉しいです。
 
藤岡 二人芝居ですもんね。...二人芝居やったことありますか?
 
木村 あります。ほぼ一人芝居的な二人芝居でしたけど...。
 
藤岡 朗読劇はあるけれど、僕、ないんですよ。
 
木村 そうなんですね。でも今回、バンドも込みだもんね。二人とは言っても、バンドメンバーも演者みたいな感じですよね。
 
藤岡 僕もバンドメンバーみたいな位置付けだしね(笑)。実際にギターを弾きます。
ミュージカル回想録『HUNDRED DAYS』のビジュアル撮影中の藤岡正明と木村花代  (撮影:五月女菜穂)
−−『Hundred Days』という作品の印象や、二人芝居ということに関してはいかがですか?
 
藤岡 人数が少ない分、その人の心や感情、感情の変化というものにフォーカスが当たっているという印象があります。そうした時に、何が大事なのか。お互いに芝居が共鳴し合うというか、相手が何を言ってそれを自分が役としてどう受け止めて、ストーリーが進行していくのか。それがキラキラと、生き生きとしていた方がいいなと。
 
木村 私は声質的にもソプラノで、ミュージカルやオペラの曲などクラシック系が得意なのですが、今回はロックミュージカルと聞いて、私にできるのか?と思って。
 
藤岡 うん、意外でしたね。
 
木村 そう、私にとってはとてもチャレンジな作品になるなと思っています。準備稿を読んだ時に、内面をえぐられたし、、着飾っていてはできないんだろうなと思いました。まさに、ロックって感じですよね。魂でぐわーっとぶつかるみたいなイメージ。自分自身、裸になって、さらけ出すのがすごく重要なのかなと思っています。良い部分も悪い部分も全部自分の中でありのままの自分を見てもらえるような感じでしょうか。...中身は持っているものはロックだと思うんですよ。関西人だし(笑)。
 
藤岡 関西人=ロック!?名言出ました!(笑)
 
木村 関西の人って、あんまりすましていなかったりするから。その辺の部分で、本当の自分を取り戻しながら、感覚や価値観をリンクさせて歌えたり演じたりできたら良いなと思います。どうしても優等生っぽく見られるので...本当は全然そんなことないから!(笑)
 
藤岡 僕は逆ですね。どこに行っても、すごくちゃんとしていない人と見られます(笑)
 
木村 イメージってありますよね。
ミュージカル回想録『HUNDRED DAYS』のビジュアル撮影中の木村花代と藤岡正明  (撮影:五月女菜穂)
−−そんなお二人が夫婦役です。
 
木村 足して2で割ったらちょうど良いかもね。
 
藤岡 ね〜。日本で誰かがやったことのある作品ではないし、二人芝居だから、どちらがどうだということではなくて、本当に我々二人で表現できるものをお届けして、結果、作品が評価されれば、おそらく僕らが作り上げた世界観が間違いではなかったということになるでしょう。あとは板さん(※演出の板垣恭一)がいてくれるので。大きな信頼を委ねて、ぶつかっていきたいなと思います。
 
木村 私は板垣さん初めてなんですよね。どんな世界観になるかなと楽しみなんですけど。
 
藤岡 板さんが優しくなるのか、厳しくなるのか。どちらかが作り上げるものではないのでね。二人にしか作れない世界観というものがあると思うので。
 
木村 うん、ディスカッションして、世界観を作り上げられたら良いなと思いますよね。2018年のPVを見たら、格好良すぎて、それだけでテンション上がってしまう。
 
藤岡 すごくはっちゃけていますよね。扱っている内容は全然明るい内容ではないのですが、あまり暗く見てほしくもない。
ミュージカル回想録『HUNDRED DAYS』のビジュアル (オフィシャル撮影:安藤毅)
木村 そうね、確かにそうかも。暗い作品にしようと思ったらできるけれど、多分そうならない気がするんです。音楽の力もあるし、キャラクターもあるだろうし、お客さまの中にきっと何か、良い希望の光や温かいものが残るんだろうと思います。決して、暗いものを持って帰ってもらうわけではないと思います。お互い抱えているものがあって。内容は重いけれどね。
 
藤岡 どこかユーモラスな部分があるんだろうね。辛いんだけれど、笑いとばすというか、音楽で吹き飛ばすみたいな部分がある気がします。バンドマンですしね、役も。
 
木村 本当に実在したご夫婦が演じているから。それがすごいですよね。
 
−−ビジュアル撮影について伺います。和やかな雰囲気で、個人的にはもう仕上がっているなぁと思ったのですが、いかがでしたか?
 
藤岡 本当に?まだ何も考えていませんよ(笑)
 
木村 あはは。でも初めましてではないから、信頼しているし、気負わなくてよかったです。
ミュージカル回想録『HUNDRED DAYS』のビジュアル (オフィシャル撮影:安藤毅)
−−では、最後に意気込みをお願いします!
 
藤岡 僕自身すごく期待感があって、今からワクワクしています。お客さまにも開演するまでぜひワクワクしていただきたいなと思います。また、海外では多くなっていると思うんですけど、演者が演奏したり、バンドがお芝居したり、そうやって絡んでいくことが一つの新しいエンタメの形、演出の形でもあると思うんです。日本のミュージカル業界のある種の先駆けになったら良いなとも思います。ぜひ期待していただきたいです。
 
木村 そうだね。確かにそうだ。私はタンバリンとかカスタネットぐらいしかできないけども...(笑)
 
藤岡 俺ね、ギターもピアノも独学なんですよ。だから意外と独学でもできるし、大人になってからでもできるんですよ!
 
木村 頑張ります(笑)。さっきも言ったんですけど、初のロックミュージカルということで声をかけていただきました。自分の中にあるはずのロックなものを垣間見えたから、多分、お声をかけていただいたと思うので、それを信じて。これまでいろいろな役をやってきたんですけど、また更に今までと全く違う役になる気がするので、私自身も楽しんで、ドキドキしながら、お客様と一緒に作っていけたら良いなと思います。この舞台は、お客様も参加型になるのかなと思うんです。参加型というか、お客様と自分たちの空間が全く離れているわけではなくて、会場が一体となって、私たちが語りかける相手がお客様になってくると思う。お客様が来てくださって初めていろいろなものが完成すると思うので、ぜひぜひ劇場に来ていただいて、ロックな「花代魂」を見ていただけたらと思います!
取材・文=五月女菜穂

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