L→R 下上貴弘(Ba)、稲村太佑(Vo&Gu)、疋田武史(Dr)

L→R 下上貴弘(Ba)、稲村太佑(Vo&Gu)、疋田武史(Dr)

【アルカラ インタビュー】
覚悟と挑戦心を持って生まれた作品

今回のアルバムを通して
“一日”を感じてもらいたい

今作のリリース日は稲村さんの40歳の誕生日なんですよね。そういう節目に発表される作品に、幼少期のことが綴られた楽曲が収録されているのはドラマチックだなと。

稲村
そうですね。「瞬間 瞬間 瞬間」を作っている時、僕らのような音楽家やステージに立つ人や芸術家は、自分に神様が降りて来た瞬間のきらめきを歌ったり絵にしたりしてかたちにしていくっていうことを歌いたかったんですけど、最終的には“生き別れ”のようなところに行き着きましたね。「瞬間 瞬間 瞬間」の辺りが昼間の時間だとするなら、最後の「夕焼いつか」まで、このアルバムを通して一日のように思ってもらえたらいいですね。意図せずに、結果的にそういう作品になってました。

これまでの経験、生活の仕方、生き方、考え方…そういうものの片鱗が、意図せず自然と歌詞となり歌となり、アルカラの音楽になっているという。

稲村
もう大学生には戻られへんのでね。「TSUKIYO NO UTAGE」に《行けど未来 去れど未来》という歌詞もありますけど。その「TSUKIYO NO UTAGE」で《空を見て 花を見て 産まれた歌を道連れに》という歌詞を書けたことは、実は僕の中で一番グッときていることなんですよ。何てことないことでできた曲ばっかりですけど、それらと道連れになる覚悟でやってる気持ちがあるんです。あとは、この曲たちが届く方がいるならば、こういう何てことない歌をあなたの人生の旅路の道連れにしてもらいたらいいなと思っています。これもね、おかんに小学生の時、キリスト教徒でもないのに教会でやっていた子供会に連れて行かれたことがあったんですよ。で、そこで“ののゆり そらのとりをみなさい”と書かれたお皿をもらったんです。それがなぜか自分の部屋に飾られていて、ずっと“どういう意味なんやろ?”と思っていたんですね。で、調べてみたら“人間は考えたり悩んだりしているけど、鳥や草は文句を言わずに必死に生きている”という意味だと分かったんですけど、この年齢になって“それだけじゃないよな〜”と思えまして。そこから鳥を見たり空を見たりしながら、なんとなく作った歌が自分の人生の道連れでもあると思えましたし、それ以上の意味を感じることができましたね。

幼少期からの今までの道を紐解くような素敵な話ですね。そして、今年は初の全国流通盤だった『BOY NEXT DOOR』のリリースから10年ということで、個人的に「未知数²」を聴いた時に「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」を思い出したこともあって、同様にアルカラの歴史も感じました。

稲村
そうなんですよ、ちょうど10年なんですよね。『BOY NEXT DOOR』をレコーディングした大阪の堺のスタジオで今作のレコーディングとマスタリングをして、スタッフの人から“あれからもう10年っすわ!”って言われたんですよ。そう考えるとそういう節目のタイミングなんだと思うし、10年後も同じスタジオで一緒に成長し合って仕事ができているのは趣があるなぁと思いましたね。
下上
あの時は「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」(『BOY NEXT DOOR』収録曲)で10年後って歌ってるけど、“そんなに長いことバンドやってないやろ!”と思ってたもんな(笑)。
稲村
ましてや30年後とか言うてたもんな(笑)。
下上
30年後は死んでんじゃない?(笑) でも、そう思いながらまたこういうふうに語れる時が来るのかもな。

前作の『KAGEKI』では1000年後って言っちゃいましたもんね。

稲村
そうなんですよね。大きいこと言いすぎた。発言の責任がないところで来世とか言いすぎたんですよ。年取ると2年経っただけで“あの時は青かったな〜”と思いますわ。でも、今作でも言ってるし、結局は成長してないんですよね(笑)。

そんな今作を引っ提げた全国ツアーが来年2月からスタートするとのことで、アルカラの挑戦心が詰まったアルバムの楽曲をライヴで演奏することで体感する感覚の違いも楽しめそうですね。

稲村
おっしゃっていただいた通り、作った段階では“できたな”と思ったんですけど、ライヴで演奏していく中で、すでに音源として作っていく考え方とライヴ表現としての考え方が別のものになっている感覚があります。箱に閉じ込めた“静”のものを動かして“動”のものにしていくと、“もっとこうするべきなんじゃないか”とか、“逆に落ち着かせたほうがいいんじゃないか”という発見があって面白いです。だから、アルバムが出てツアーが始まる頃には表現がまったく変わっている可能性もありますね。実際に「誘惑メヌエット」のヴァイオリンが出てくるタイミングやフレーズは当初とかなり変わってきていますし、そうして曲と一緒に育っていくことが“いいな”と思えています。そういう時が、今作ができていく瞬間のように思えて、そういうことを感じられるのも良かったと思ってます。

取材:峯岸利恵

アルバム『NEW NEW NEW』2019年12月11日発売 日本コロムビア
    • COCP-40999
    • ¥3,300(税抜)

ライヴ情報

『稲村太佑 弾き語り初ワンマン”ありがとByeBye30代♡”』
12/10(火) 東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

『ア・ル・カ・ラ "NEW NEW NEW"リリース記念
 年越しSP 2020 「NEW year NEW year NEW year」』
12/31(火) 東京・Zepp DiverCity Tokyo

『ア・ル・カ・ラ 10枚目"NEW NEW NEW"レコ発
 全国ツアー「NOW NOW NOW」』
 2/20(木) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM
 2/23(日) 群馬・高崎 club FLEEZ
 2/29(土) 岡山・PEPPERLAND
 3/01(日) 広島・SECOND CRUTCH
 3/08(日) 長野・松本Sound Hall a.C
 3/14(土) 新潟・CLUB RIVERST
 3/15(日) 石川・金沢van van V4
 3/21(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
 3/22(日) 茨城・mito LIGHT HOUSE
 3/28(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
 4/04(土) 北海道・札幌Sound Lab mole
 4/05(日) 北海道・苫小牧ELLCUBE
 4/11(土) 宮城・仙台MACANA
 4/12(日) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
 4/25(土) 福岡・DRUM Be-1
 4/26(日) 熊本・B.9 V1
 4/29(水) 香川・高松DIME
 5/02(土) 大阪・BIGCAT
 5/03(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
 5/17(日) 東京・マイナビBLITZ赤坂

アルカラ プロフィール

アルカラ:2002年に神戸にて結成された自称“ロック界の奇行師”。ギターロックやオルタナティヴロックなどの音楽性を基調としながら、ひと筋縄でいかない自由奔放さで唯一無二の世界を築き上げている。
※ちなみにこの文章はPADOMAの店主・西本氏が昔に書いたアルカラの紹介文をそのまま変わらず使っている。アルカラ オフィシャルHP

「瞬間 瞬間 瞬間」MV

アルカラ『NEW NEW NEW』
Musicコネカ ダイジェストムービー

OKMusic編集部

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