いのうえひでのり、早霧せいながゲス
トとして登場 『WOWOW presents 勝
手に演劇大賞 第10回記念スペシャル
トークイベント』開催

2019年12月8日(日)にフリーアナウンサーの中井美穂、演劇ジャーナリストの徳永京子、ゲストとして、劇団☆新感線 主宰・演出家のいのうえひでのり、元宝塚歌劇団・雪組トップスターの早霧せいなが登壇し『WOWOW presents 勝手に演劇大賞 第10回記念スペシャルトークイベント』が開催され、今年鑑賞して面白かった演劇について語り合った。
(左から)中井美穂 徳永京子、いのうえひでのり、早霧せいな
今年は現時点で60から80近い舞台を観劇したといういのうえ。「身内だから言うわけではないけど、高田聖子の月影番外地『あれよとサニーは死んだのさ』(作:ノゾエ征爾、演出:木野花)は、久しぶりに小劇場の演劇を見たという感じで、すごく面白かった。老人介護の話なんですが、まっすぐやっていない。最初はどこへいくのかと思って観ていたら、だんだんと老人介護の話になって。どこに終着点があるんだろうといった、スリリングさもあって。おさめ方も含めてすごく面白かったです。あまりなかったタイプの演劇で。やはりノゾエくんが書いたのは大きかったし、俳優さんがみんなうまい」とオススメ作品を上げた。
(左から)中井美穂 徳永京子、いのうえひでのり
また、ロンドンのナショナル・シアターが厳選した傑作舞台を世界各国で上映するナショナル・シアター・ライブシリーズのアンコール上映作品となる『ジュリアス・シーザー』にも感銘を受けたようで、「これは本当にカッコ良くてしびれましたね。ジュリアス・シーザーが民衆をあおるんですが、その民衆が劇場のお客さんで、それがまるで選挙演説風。セリフはシェイクスピアだし、カッコいいなと嫉妬しました」と語った。
(左から)いのうえひでのり 早霧せいな
早霧は、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』(脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン、音楽・作詞:シンディ・ローパー、演出・振付:ジェリー・ミッチェル)がとても心に残ったという。「初演(2016年)の時は忙しくて、気になっていたのに行けなかった。観られなかった後悔のようなものがあったんですが、その思いも成就しました。とにかく皆さんがパワフルで。(ドラァグクイーンのローラ役の)三浦春馬さんの化け方がすごかったですね、『キンキーブーツ』は、舞台と客席との温度感が一体化していた」とコメント。いのうえが「春馬もそうですが、最近の若い連中は芝居に真面目。(小栗)旬もそうですが、何年も先を見据えて訓練をしていて。それが次の芝居につながっていくわけですから、根性がありますよ」と続けた。
さらに、早霧のオススメ作品として『イーハトーボの劇列車』(作:井上ひさし、演出:長塚圭史)の名前も。「宝塚を退団してから2年間。在団中はなかなか観られなかったストレートプレイをようやく観ることが出来るようになりました。松田龍平さんは、何を考えているのか分からないような、飄々としたところがありますけど、この舞台ではその良さが伝わってきて。作品を通して松田龍平さんがとても好きになりました」という。
(左から)中井美穂 徳永京子
さらに「今年は300本の舞台を観ました」と語る徳永のオススメ作品は3本。「岩松了さんの『二度目の夏』(作・演出:岩松了)。これはすごく良くて、2回行きました。そしてもうひとつは橋爪功さんが主演した『Le Père 父』(作:フロリアン・ゼレール、演出:ラディスラス・ショラー)。橋爪さん演じるお父さんの認知症が進んでいってしまい。朝起きるたびに、家に帰るたびに、家具の配置が変わってしまったり、娘の恋人が変わってしまったりするんですが、それをセットを入れ替えたり、違う役者さんでやったりするんですよ。最初は何が起きているかわからないけれど、そうやって認知症のお父さんの戸惑いを観客も感じるようになるという構成。だんだん分かってくるんですけど、最終的に思ったのが、つまりそれは認知症の方の話ではなく、人間の意識というのはそれくらい曖昧なんだよ。同じものを見ていると思っても、実は違うように見えているのかもしれないということを言っているんじゃないかなという。そこが面白かったですね。そしてこれはわりと最近観た舞台ですが、『死と乙女』(作:アリエル・ドーフマン、翻訳:浦辺千鶴、演出:小川絵梨子)。南米チリ軍事独裁政権が終焉を迎えた後の、平和を取り戻した時代が舞台で、とにかく緊張感がすごかった。今まで3人とも(宮沢りえ、堤真一、段田安則)シス・カンパニーの舞台に出ているけれども、トップクラスの仕事をしたと思います」と語った。
中井美穂
そして中井のオススメ作品として、『命、ギガ長ス』(作・演出:松尾スズキ)。「これは松尾さんと安藤玉恵さんの2人芝居なんですが、(下北沢の)スズナリ劇場がギューギューになっていて。松尾さん個人の企画で、松尾さんが自分でセットを変えたり、手弁当でやっているのを楽しんでいらっしゃるようでした」とコメント。徳永も「台湾公演の時は爆笑に次ぐ爆笑で大うけだったらしいですね。来年にはWOWOWさんでこの作品を中心とした松尾さんのドキュメンタリーがあるそうなので、ご期待ください」と続けた。
そして中井のもう一本のオススメ作品として、ブロードウェイミュージカル『ピピン』(脚本:ロジャー・O・ハーソン、作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ、演出:ダイアン・パウルス)の名前も。「『キンキーブーツ』もそうですが、お客様も、楽しんでいいんだ、キャーキャー言っていいんだというのを覚えて、『ピピン』のような作品でも、観客が最初から参加していいんだという空気になってきて、そこが良かったですね」とのこと。そこから、早乙女太一による「劇団朱雀 復活公演」の盛り上がりについていのうえ、徳永が語るなど、演劇好きな4人だからこそ、その話の内容は縦横無尽に広がった。
また今後の活動について、いのうえは「我々は完全にロートル劇団ですが、(座付き作家の)中島かずきくんが書くものって熱血少年冒険活劇ですから、いきのいい若手の活躍を、古田(新太)や、橋本じゅん、(高田)聖子といったそれなりの年齢の役者たちが見守るような芝居を。とにかく活劇にこだわっていきたいですし、今さらやめる理由もないので、いけるところまでいこうかなと思っています」とコメント。
早霧は「宝塚をミュージカルとするならば、ずっとミュージカルにどっぷりとつかってきたわけですから。自分の中でもシフトチェンジしつつ、ストレートプレイの方に重きを置きたいなという思いはあります。でも、せっかく(宝塚で)得た知識やスキルを温存させるのももったいないので、そこの幅を広げて、芝居を観ることによって吸収することも出来るんだなと思っているので。(宝塚の)下級生時代に舞台をあさるように観ていて、東京公演にくるたびに、時間ができると観に行ったりしていました。でも忙しくなってからは観られない時期があって。今はまた観られるようになったので、この感じは懐かしいなと。まさに今が吸収する時だなと。第2章が始まったような感じですね」と今後の展望を語った。
さらに徳永が「今年はジャニー喜多川さんが、そして昨年は浅利慶太さんが、ベースを作ってくださった方々が亡くなってしまいました。しかしここ何年かは、宝塚や2.5次元ミュージカルの勢いがあって。新しい時代になっている。その次の世代をつなげる人が出てくるんだと思います」と今後に期待するコメントした。
なお、『WOWOW presents 勝手に演劇大賞2019』は、12月31日(火)まで投票を受け付けているとのことだ。

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