50周年の松前ひろ子と三山ひろしが恒
例の「いい夫婦の日」ディナーショー
開催、ゲストは中村仁美

11月22日、東京・グランドプリンスホテル新高輪「飛天」にて、<松前ひろ子三山ひろしディナーショー~愛につつまれて~いい夫婦の日>が開催された。松前と三山が毎年、11月22日に開催して恒例となっているこのディナーショー。19回目となる今回は、松前ひろ子が歌手生活50周年を迎え、三山ひろしは、今年の11月14日に5回連続となる「NHK紅白歌合戦」出場が決定したばかり。豪華なシャンデリアが美しい、広く贅沢な空間は500名のファンで満席となり、賑やかな雰囲気の中、ショーがスタートした。
「あなたのみなと〜いい夫婦〜」のイントロで、松前と三山がステージに現われると、大きな拍手が二人に贈られた。歌い終えると松前は「皆様、足元の悪い中、本日は大勢の皆様が全国からいらしていただいて、心より、厚く厚く御礼申し上げます」と嬉しそうに挨拶。続けて三山が「師匠の50周年のディナーショーにお越しくださいまして本当にありがとうございます」との挨拶から、「男の流儀」を披露した。紫から白の着物に着替えた松前に温かい歓声が起こった。可憐な笑顔を見せて「祝いしぐれ」を歌唱。間奏では“ひろ子ちゃーん!”という男性の声も女性の声も聴こえてきた。
ソロコーナーのトップバッターは三山。ブルー地にゴールドが輝くスーツで現れると、客席から「わーっ!」と声が上がる。自身の曲から「いごっそ魂」「おまえの故郷」、三山の「故郷の、美しい日本の最後の清流というこの川に、人生を重ね合わせた1曲を師匠から贈られました」という語りから「四万十川」を歌い上げた。
黒い着物で雰囲気も一変した松前のソロコーナーでは、「夫婦草」「北のおんな物語り」から、松前が歌手生活を振り返って語った。「私が50周年を迎えたというよりも、皆様が応援してくださったおかげで、50年という月日を歩いてくることができましたことを、嬉しく、感謝の思いでいっぱいでございます。苦しい時があったからこそ、今の幸せを何十倍にも感じられる、そんな人生だなあと改めて思います。私はクラウンレコードからデビューしたのが昭和44年9月です。それからたった2年で交通事故に遭い、8年も休みました。それでも頑張って今があります。今日は50年のお祝いなので、涙をこぼさないで頑張りたいと思います」と語り、2019年9月に発売された新曲「夫婦鶴」のカップリング「おめでとさん」を披露。「♪おめでたいこと重なるときは みんな囃そう 声合わせ おめでとさん おめでとさん おめでとさん」という歌に客席から手拍子が起こり、江戸芸かっぽれを踊る30名の踊り手とのコラボレーションで、会場中がお祝いムードに包まれた。
ゲスト歌手の中村仁美は、自身の曲から「松前半島」を歌唱。2017年9月に発売された同曲は、中村によると「松前先生のお名前が入っている楽曲を歌わせていただくことになりました、とご挨拶に伺ったんです。その時に『あら! 良い曲ね。良かったわね! 頑張りなさいよ』ということで、なんとドレスをお祝いに2枚もいただいてしまいました。今日も全身先生のトータルコーディネートでございます!」と明かした。続けて、2018年9月に発売された「冬紅葉」、2019年5月発売の最新曲「恋の川」を見事な歌唱力で歌い切った。
今年8月に亡くなった、松前の夫で作曲家の中村典正を偲ぶコーナーでは、松前と三山が登場。松前が「40年前に作った歌ですが、全国的に皆さんが歌ってくださいまして、大きな花になりました」と「祝い船」を歌い、中村と松前が出会った時に、北島三郎が歌っていたという「勝負師」を三山が熱唱。三山が師匠である中村について、「非常に無口な先生でしたね。何を考えているのか、あんまりわからないんです(笑)。だからこそ、こっちの心が磨かれるわけです。何を考えてるのかな?と思うことが大事なんです」と振り返ると、感嘆の声が上がった。他にも、松前が11月に発売したアルバム『全曲集~女一代 演歌船』に新録音カバーが収録されている「居酒屋『藤乃』」、「夫婦絶唱」など、中村典正作品が計8曲、思い出話を交えながら披露された。スクリーンには中村が親しい人達と撮った貴重な写真が映され、北島三郎とゴルフをしている写真に触れて松前が「ゴルフは本当に上手だった。家の中の家電はほとんど主人がゴルフコンペでいただいたものでした」と明かすと、客席から笑いが起こった。松前は「今日はこんなコーナーを作ってもらって、会場のどこかにいる主人が一番喜んでいると思います」と感謝を述べた。

後半は再びソロコーナー。三山は自身の曲から「ダンチョネ港町」「お岩木山」と続け、「長編歌謡浪曲 あゝ松の廊下」を迫力たっぷりに歌い切った。続いて登場した松前は、中村典正作品を4曲、「人生勝負」、「女一代 演歌船」(50周年記念曲)と「夫婦鶴」、「感謝~私が愛したすべてに」を披露した。「1作1作に想い出があります。今年の8月に主人は天国に旅立ちました。何が悲しいって、もう少し50年の節目を最後まで看取ってほしかったと、今でも思ってます。明日がちょうど100か日を迎えます。でも悲しんでいたら主人がかわいそうなので、悲しみを力に変えて頑張りたいと、それだけを思っております」と涙ぐんで語る松前に拍手が贈られた。
エンディングは、松前、三山、中村の3人が、三山の「貴方にありがとう」を元気に歌い、会場の盛り上がりも最高潮のうち終演となった。50周年という松前の偉大な功績に、様々な愛を感じさせてくれる、感動的なショーだった。

取材・文:仲村 瞳

<松前ひろ子・三山ひろしディナーショ
ー~愛につつまれて~いい夫婦の日>

2019年11月22日(金) @東京・グランドプリンスホテル新高輪「飛天」
[ セットリスト ]
01. あなたのみなと〜いい夫婦〜 / 松前ひろ子・三山ひろし
02. 男の流儀 / 三山ひろし
03. 祝いしぐれ / 松前ひろ子
04. いごっそ魂 / 三山ひろし
05. おまえの故郷 / 三山ひろし
06. 四万十川 / 三山ひろし
07. 夫婦坂 / 松前ひろ子
08. 北のおんな物語 / 松前ひろ子
09. おめでとさん / 松前ひろ子
10. 松前半島 / 中村仁美
11. 冬紅葉 / 中村仁美
12. 恋の川 / 中村仁美 
13. 祝い船 / 松前ひろ子
14. 勝負師 / 三山ひろし
15. 浮草慕情 / 松前ひろ子
16. 男の灯台 / 三山ひろし
17. 居酒屋「藤乃」 / 松前ひろ子
18. 人恋酒場 / 三山ひろし
19. 夫婦絶唱 / 松前ひろ子
20. これからの峠 / 松前ひろ子・三山ひろし
21. ダンチョネ港町 / 三山ひろし
22. お岩木山 / 三山ひろし
23. 長編歌謡浪曲 あゝ松の廊下 / 三山ひろし
24. 人生勝負 / 松前ひろ子
25. 女一代演歌船 / 松前ひろ子
26. 夫婦鶴 / 松前ひろ子
27. 感謝〜私が愛したすべてに / 松前ひろ子
28. 望郷山河 / 松前ひろ子・三山ひろし・中村仁美
29. 貴方にありがとう / 松前ひろ子・三山ひろし・中村仁美

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