FANTASTICSが見出したEXILE TRIBEの
新しいカタチ —— 初単独ツアーとシ
ングル「Time Camera」を語る

2016年にパフォーマーのみで構成されたダンスグループとして結成され、2017年にオーディションから選出された2名のボーカルが加入、そして昨年メジャーデビューを果たしたFANTASTICS from EXILE TRIBEは、今年、LDHでも類を見ない新たな試みの第一人者となった。それは彼らの初単独ツアー『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』にて取り入れられた、演技で魅せるドラマパートと音楽で楽しませるライブパートから成る2部構成の公演である。メンバーの大多数が演技未経験者だったというが、EXILE TRIBEとLDHの未来が懸かる大きなプロジェクトに、FANTASTICSはどのように挑んだのだろうか。このインタビューではボーカルの八木勇征、中島颯太、パフォーマーの堀夏喜が『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』を振り返り、このライブツアーで大きな役割を担った楽曲であり、12月4日(水)にシングルとしてリリースされた「Time Camera」についても語ってくれた。
——10月から11月にかけて、初の単独ホールツアー『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』を回られました。ドラマパートとライブパートから成る「SOUND DRAMA」というLDH始まって以来の斬新な構成に挑戦されましたね。

堀: そうなんです。リーダーの(佐藤)大樹くん以外のメンバーは演技経験がほぼ無かったので、何から始めていいか分からなかったのですが、大樹くんから発声方法などをレクチャーしてもらいながら、本番を迎えるまでにお客さんに観せられる完成度に持っていけるよう努力しました。
八木: 演技で舞台に立つときと歌うときでは発声方法が違うので、台詞を話すときにどこから声を出すのかは、大樹くんから教わりました。
中島: リハーサルスタジオにみんなで集まって、台詞を噛まないように早口言葉を練習したりして楽しかったです。
中島颯太(FANTASTICS from EXILE TRIBE)
——前半のドラマパートでは、FANTASTICSのメンバー全員が1人ずつ「実はライブでやってみたいこと」を打ち明け、発案者が軸となり実際にステージで試してみるというオリジナルストーリーが進んでいきます。
八木 : 僕の提案は「もっと筋肉をアピールしたい」と「声優をやってみたい」なのですが、トップバッターの大樹くんに続く2番手で比較的序盤だったので、ドラマパート全体を勢いづけてお客さんの空気感を作る役割でした。僕が実際に手書きした「ヤギッコリー」というキャラクターを登場させたのですが、あれはものの15秒くらいで完成させました(笑)。
中島 : ホクロを付けるか付けないか悩んで、そこに一番時間がかかっていた気がします! ドラマパートはリハーサルの段階から楽しくなってお互いからアドリブが飛び出したりしましたし、全員でたくさんの意見を交わして作り上げたものです。僕は普段からメンバーといるとつっこむことが多いので、お芝居のリハーサルでも自然につっこんでいたら「それ、本番でもやっていいよ」と言われて、台詞が増えました(笑)。
堀 : ドラマパートでメンバーが発案したことは僕たちが本当にやってみたかったことですし、そのほとんどを後半のライブパートでも再現したので、通常のライブを観る以上の楽しみがあったと思います。開演直後、「Time Camera」からライブが始まると思いきや、曲が中断してドラマパートに突入するので、ライブパートで「Time Camera」を披露するときにはより大きな反響があります。
——ドラマパートに続くライブパートでも、最新シングル「Time Camera」を含む12曲を披露されましたが、その後のアンコールに至るまで見どころがぎっしりと詰め込まれていましたね。
堀 : ドラマパート、ライブパートが終わってアンコールに入ると、まずはストリートテイストのセットを背にパフォーマー6人でバケツを叩く通称「ストンプパート」がありました。以前からやりたかった演出だったので、街の雑踏を流したり色んな小道具を用意したりして雰囲気を作りこみました。その後、世界さんがスマートフォンでプレイリストを開くと曲目がその日のライブのセットリストになっていて、「Dance Track」という曲を再生するとパフォーマーのダンスコーナーに繋がるという、細かい部分までこだわっているんです。「ストンプパート」で手のこんだ魅せ方をした分、「Dance Track」では逆に大胆に6人のソロダンスを魅せるという対比もポイントでした。
堀夏喜(FANTASTICS from EXILE TRIBE)
——そして、その後に披露されたのが「Time Camera」のカップリングナンバー「Tambling Dice」でした。爽やかなイメージが強いFANTASTICSの新たな一面を見せてくれる、鋭いサウンドのダンスナンバーです。
堀 : このライブで初披露した「Tambling Dice」は、特に冒頭の演出を試行錯誤したのですが、最終的にメンバーが1人ずつ登場することにしました。しばらくパフォーマーだけで展開していたステージにボーカルが再び加わって、全員揃って新曲を披露することで強いインパクトを残せたと思います。ヒップホップテイストが強い曲なので、デモ音源を聴いた時からメンバーみんながノリノリで、パフォーマンスするのが楽しみでした。振付は世界さんがつけてくださったのですが、細かい音に動きをハメているところが見どころです。
中島 : 歌にもすごくこだわって、“Time Camera”とはまったく違う声質で歌おうと心がけました。パフォーマーが踊りやすい楽曲にすることを意識したのですが、日本語のアクセントや声の強さの調整が難しかったです。レコーディングはこれまでの楽曲でいちばん時間をかけたかもしれません。
八木 : たったワンフレーズでもいくつものパターンを重ねて録りました。僕らの声が歌というよりも音のひとつとして使われているので、録っている段階では「どうなるんだろう?」と思っていたのですが、完成した楽曲を聴くとかっこよく組み合わさっていて、「こういうふうになるんだ!」と驚きました。勉強になった点が多く、僕たちの引き出しを増やしてくれた楽曲でもあります。
——リリースを追うごとに表現の幅を広げるFANTASTICSなので、これからの作品も楽しみです。さて、初のホールツアーを終えられ2019年も終盤ですが、皆さんが今年ハマっていたものはありますか?
中島 : 僕、以前は体を動かしたり歌ったりしてリフレッシュするのが好きだったのですが、最近は一人で歩きながら音楽を聴くのが楽しいと思うようになりました。SIRUPさんやiriさんなど、心地よくチルアウトできる楽曲にハマっています。ポップでおしゃれなR&Bナンバーは、いつかFANTASTICSでもやってみたいです。

堀 : 僕は最近、ダンスを始めた当初の2000年代のヒップホップやR&Bで踊ることが多いです。デビュー当時のクリス・ブラウンの楽曲や、アッシャーの「Yeah!」、オマリオンの 「Ice Box」などがお気に入りなのですが、今聴くと逆に新鮮です。ミュージックビデオを観ても、映像の技術は今のほうがうんと進化しているのですが、内容のかっこよさは20年前から変わらないなと思います。ちなみに今日はLL・クール・Jとボーイズ・2・メンのTシャツを着ています。古着屋でこういう古いアーティストTシャツを探すのも好きです。

八木 : 僕は少し前まで洋画をほぼ観てなくて、友達がみんな観ているから『アベンジャーズ』をチラッと観てみるくらいだったのですが、最近は昔の洋画を観る機会が増えました。2001年に公開された『オーシャンズ11』でさえも観たことがなかったので、最近初めて観て「こんなにかっこいいのか!」と感動しました。同年公開の「I am Sam」は知的障害をもつ父親とその娘の愛情を描く物語で、もし僕が娘の立場だったらあんな言動をできるだろうか?と考えながら観ました。強く心を動かされました。
八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)

——日頃から音楽、映画などさまざまなものに刺激を受けていらっしゃるのですね。2020年には、ファーストアルバムと写真集のリリースやアリーナツアーなどが控えていますが、今年を振り返った上で来年以降はどのようなFANTASTICSを見せていきたいですか?

八木 : 初めての単独ツアーで、お芝居とライブを融合した「SOUND DRAMA」という、LDHでも前例のないエンターテイメントをゼロから作り上げたことは、今年見出したFANTASTICSの強みです。リハーサルを積んで、ツアーが始まってからも公演を重ねるごとに「次はもっとこうしていこう」というアイデアが浮かんで、どんどん良いものになっていきました。今後さらに大きな会場で「SOUND DRAMA」を上演できるとしたら、どんなふうに変化するのか僕自身も楽しみです。
中島 : 今年、FANTASTICSらしいステージングの土台が完成したと思います。7月に幕張メッセでGENERATIONSさん、THE RAMPAGEさん、BALLISTIK BOYZと共演させていただいた『BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~ 』は、4日間のみでしたが、色んな経験を積んでこられた先輩方がどのように客席を盛り上げているのかを近くで見ることができました。その後すぐに僕たちの単独ホールツアーに挑んだので、盛り上がる曲でもじっくり聴かせる曲でもお客さんと一つになるためにはどうすればいいのか、先輩方から学んだものを活かすことができました。来年以降もEXILE TRIBEの一員としての志を持ちつつ、パフォーマンスでFANTASTICSならではの空間を作れるグループでありたいです。『LDH PERFECT YEAR 2020』を、僕らの唯一無二のエンターテイメントで盛り上げていきたいです。
FANTASTICS from EXILE TRIBE
取材・文=Natsumi.K 撮影=河上良

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