【JAM Project インタビュー】
ストロングな曲を
作らせたり歌わせたら
我々の右に出るグループはいない
名だたるアニメソングシンガーたちにより結成されたJAM Projectが2020年に結成20周年を迎える。そんな記念年のスタートに相応しく1月1日にはオリジナルニューアルバム『The Age of Dragon Knights』、そしてこれまでの作品を網羅した『20th Anniversary Complete BOX』がリリースされる。メンバーにこの20年を振り返ってもらいつつ、新作や今後について訊いた。
みるみるステージが
大きくなっていっていることを実感
振り返るとJAM Projectの20年の活動は今のアニソンの確立や隆盛の歴史そのままのように映ります。
影山
そう言っていただけるのは嬉しいですね。その辺りは自分たちでも手に取って分かるような20年だったなって。それこそ活動開始の頃は“アニソン=オタクの人たちが楽しむ文化”というイメージがありましたから。
その結成以前はどのようなスタンスだったのですか?
影山
いわゆる縁の下の力持ち的な役割ですね。アニメがメインだとしたら、その演出のひとつでしかなかったというか。それが今や…(嬉しそうに)ねぇ。それは自分たちでも喜ぶべきことだし、逆を言うと夢を叶えられてきた20年でもあったわけで。
夢…ですか?
影山
自分も10代の頃のバンド活動(LAZY)を機に武道館や海外進出など、いろいろ目指してはきました。でも、どれもそこでは叶えられず…。そんな夢の数々を、このJAMを通して叶えていった20年でもあったなって。
他にも私はJAM Projectの功績のひとつとして、ライヴやパフォーマンスを通して魅せる行為…アニソンシーンでもライヴをより重要視し、魅せ、直接届ける方向への移行の旗手であったとも思うのですが。
きただに
それはありますね。歌うだけでなく、オーディエンスの前でのパフォーマンスを意識しての活動は、わりと結成当初から明確でしたから。
奥井
私がJAMに入ったのは結成して3年目ぐらいだったんですけど、みるみるステージが大きくなっていっていることを実感してて。
年毎に動員数も会場の広さも確実にアップしてきましたからね。
奥井
そうなんです。演出もどんどん派手になっていき、魅せたり、体感させたり、世界観を丸ごと感じてもらったり…ということに注力を入れるようになっていったというか。と同時に、自分自身もそれに見合うようにスケールアップさせてきた感もあって。あと、加入して驚いたのは、ライヴでの演出面だけではなく、スタイリストさんやメイクさんも同行させていたところ。あれには“こんなにも本格的だし、魅せることに真剣にこだわっているグループなんだ”と思いましたね。それと、あくまでも自分たちの意志や意見を中心に活動していくスタイルやスタンス。従来のアニソンシンガーたちにはあまり見られなかったので、“新しいタイプのアニソングループに入ったぞ”って印象が当時は強くありました。
では、遠藤さんにはJAM Projectの国境を越えた活動と、その各国での人気の先鞭づけ的な役割や確立を担ってきた自覚についておうかがいしたいです。
遠藤
そこはこの10年~15年でガラッと変わりましたね。“これを自分たちが作ってきた!”と言っちゃうとおこがましいですが、現在は各国、行く先々でシーンの受け入れ態勢ができている感じがかなりあって。それまでは日本でしか通用しなかったものが、今や海外のどこの国に行っても知っていたり、受け入れてくれたりしますから。その辺りは日本の他の音楽ジャンルよりも入り込みやすいし、より受け入れられている実感もあります。それこそインターネットや動画ストリーミング等の普及というのもあって。
福山さんには自身が20年間、このJAM Projectで歌ってきた自覚みたいな部分をお願いします。
福山
さっきの影さんの“縁の下の力持ち”の話じゃないけど、自分がアニソンを歌い始めた頃はまさにそんな存在で。歌は知られていても、その歌を誰が作って誰が歌っているかまでは興味を持ってもらえずにいたり、あまり情報出しもなかったりしたんです。だけど、JAM Projectはその逆で。シンガーもイニシアティブが持てる。そこは魅力でしたね。コンサートにしても最初の年はわずか1回だけだったものが、年毎に数も増え、規模も大きくなっていったし。海外活動も増えていきましたね。活動当初、僕はギターを持って歌っていたんですが、徐々に“ギターを持って歌ってる場合じゃないぞ。120パーセント出さないと、このお客さんのエネルギーには勝てない”となってきて、しまいにはすっかり取り上げられてました(笑)。
みなさんポリシーにしても活動や行動にしても、結成時から20年間ぶれがない。そこもすごいです!
影山
力強さやロックの観点が必要とされる、ストロングな曲を作らせたり歌わせたら我々の右に出るグループはいない。そこはぶれないどころかますます磨きが掛かってる自負があるし、それを常に心に持ってやってます。それまではオールマイティーさが美徳だったアニソンだけど、自分たちはどんな個性で、どんなアイデンティティーや考えを持ってやっているのかが必要になったり、より重要視されるようになっていきましたから。