【令和に輝け!】新時代を駆ける注目
のアーティスト紹介 #1 TREKKIE TRA
X

令和のダンスミュージックシーンを牽引する、平成生まれの新世代アーティストをピックアップ! 記念すべき第一弾は、2012年結成、今や国内外で獅子奮迅の活躍を見せるレーベル&クルーTREKKIE TRAXをフィーチャー。

海外のトップアーティストも要注目のT
REKKIE TRAX

写真左からCarpainter、andrew、Seimei、futatsukiの4人が舵を取るTREKKIE TRAXは、発足以来2019年12月の時点で125枚のシングル&アルバムをリリース。そのクオリティは日本はもとより海外でも高い評価を受け、それこそSkrillex(スクリレックス)やDiplo(ディプロ)、DJ SNAKE(DJスネイク)といった名だたるビッグネームがサポート。
そして、海外ツアーを積極的に敢行すると同時に、全国のクラブで所属アーティストたちが毎週のようにプレイし、「ULTRA JAPAN」や「EDC」といった日本有数のビッグフェスにも出演。今年8月には新木場ageHaでSan Holo(サン・ホロ)を招き7周年パーティーを行い大盛況。

そんなTREKKIE TRAXはいかに生まれ、成長してきたのか……中核の4人がたっぷりと話してくれた。今後レーベルを立ち上げようと考える人は要必見、新時代をサバイブするための活路がここに!

DJをする場所を求めて……TREKKIE TRA
Xの始まり

——まずはみんなのルーツから教えて?
Carpainter:僕は兄のSeimeiが電子音楽を見つけてきて、聴き出すようになって、いつしか曲を作り始めて……って感じです。特に最初はテクノ。それこそKEN ISHIIさんやデトロイトテクノを聴いてました
Seimei:僕らオランダのアムステルダムで育ったんですよ。向こうはダンスミュージックが本当に身近で、スクールバスのラジオとかでもかかってて。そういうバッググラウンドがあり14歳のころには漠然とDJをやりたいなと
andrew:僕は唯一ラップ、ヒップホップが好きで、高校生でビートを作り始めたんですけど、Daft Punk(ダフト・パンク)やThe Prodigy(プロディジー)とかも聴いていて、その流れでハウスやニューウェイヴとかも

——ヒップホップってどんなアーティストを?
andrew:国内外聴いてたんですけど、特に好きだったのはUSの90年代。その影響バリバリの曲を作ってYouTubeとかにアップしてたんですが、何の反応もなくて(笑)。ヤサグレていた時にダンスミュージックで踊るのが楽しくなりました
futatsuki:僕はルーツがメタルです。あとはエモ・スクリーモ。ただプロディジーやThe Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のようなビッグビートやニューレイヴも聴いていて。それで、初めて行ったクラブでスクリレックスの“Scary Monsters And Nice Sprites”にヤラれました

——みんなルーツはバラバラ。それでどうやって仲良くなったの?
andrew:Twitterに未成年イベント『U-20』のツイートがあって、そこで出会ったんですけど……
futatsuki:音楽性は正直、全然合わなかったよね(笑)
Seimei:特に僕とfutatsukiが(笑)。僕は当時ダブステップ……Skream(スクリーム)やJames Blakeジェイムス・ブレイク)が好きで
futatsuki:僕はもっとバキバキしたブロステップが好きだったんですよ

——その後は?
andrew:抜けてしまったもう1人の初期メンバーが今はなき秋葉原のライヴハウス AKI85でイベントをやっていたんですけど、そこが閉店することになってしまったので、どうやったら音楽活動を続けられるか考えたときに僕とCarpainterが曲を作れたので、コンピを作ろうってなって
futatsuki:当時は日本のインターネットレーベル過渡期が過ぎた頃、その流れはみんな見ていたのでネットレーベルについては知っていたんですよ。だからとりあえずネットレーベルを立ち上げてみた……それが原点です
andrew:ただ、当時のネットレーベルはアニソンが主だったので、僕らはクラブミュージックに特化してやろうと……正直に言うと、DJがやりたかっただけなんですけどね(笑)。当時はできる場所がなくて、DJを増やすためにはその手段しかなかった

——それが2012年、そのころはまだ未成年では?
andrew:そうですね。レーベルを立ち上げて1年半ぐらいは地道な活動をして、転機となったのがTREKKIE TRAXとしての3枚目のリリース、Seimei & TaimeiのEP『This Is NEOSTEP』でした。これをblock.fmでKAN TAKAHIKOさんや☆Taku Takahashiさんがかけてくれて

——当時はどんなレーベルを目指していたの?
Carpainter:目標は特になく、ホント自分たちがDJをする環境を作ることが一番で
Seimei:クラブでDJしたことはなかったものの、みんなすでに自宅DJキャリアは5、6年あって、だいたいのことはできたんですよ。言うなれば、童貞歴が長いヤツが捨てたとたんに“もっとモテたい!”ってなった感じで、一度人前でDJしたらどんどんやりたくなったっていう(笑)

TREKKIE TRAXのターニングポイント&ポ
リシー

——TREKKIE TRAXのターニングポイントは?
Seimei:やっぱりblock.fmですかね。番組をもたせてもらったり
Carpainter:その後にSeimeiがアメリカに留学して、海外と関係ができたことも大きいよね
andrew:そこでマーケティングをし始めたんですよ。USでフューチャーベースとトラップがトレンドになっているときに、僕らは日本でそれをやっている人を探したり。そこで見つけたのがMasayoshi Iimoriです

——今やTREKKIE TRAXのコアメンバーだね。
Seimei:Masayoshiは最初ひたすらSoundCloudでリリースし、僕が海外のレーベルにプロモメールを打ちまくったり(笑)。それで海外のフェスでかかれば、国内でも話題になりますから。努力のかいあってMad Decentのアーティストがかけてくれたりして
andrew:彼を発掘し、デビューさせるまでどう育てていくか1年間ぐらい構想を練りましたね。リアルな話、TREKKIE TRAXを結成して1、2年経ったころには、みんなどこかDJをやり尽くした感があって。2014年は各自年間100本以上やっていたので。その反面リリースが減っていて、レーベルもしっかりやらないといけないなと

——TREKKIE TRAXとしてのポリシーは?
Seimei:一言で言えば、“東京”っぽさ。外からは一見クールだなって思っても実は中はそうでもなかったりすると思うんです。その表裏を大事にしたい
Carpainter:リリースをしたら終わりというのも嫌ですね。アーティストと関係性を深めたい
andrew:僕らはリリース前に今後どうしていきたいのか必ずアーティストと話し合うんですよ。マネジメントじゃないけど、目標を決めてディレクションしていくようにしていて

——なるほど……例えば、リリースに年齢制限はあったりする?
futatsuki:基本的には関係ないです。ただ、若いにこしたことはないですけど(笑)

——音楽性に関してはどう?
futatsuki:それは時代によってかなり変わってきますね……
andrew:ただ、音楽性というより、全体のコンセプトや方向性は逐一みんなで話し合ってます

TREKKIE TRAXが見る今の日本、さらには
世界

——上の世代にはどんな印象を持ってる?
Seimei:いろいろなジャンルをカバーしている分、広く浅くというか……たくさんの先輩がいて、印象はジャンルによって違いますね
Carpainter:例えばベースミュージックはジャンル自体新しいので、あまり先輩後輩がない気がします。しかも、みんな音はすごくバラバラで、そこがまた面白い
andrew:僕の中では世代ごとに分断している印象があります。その中で僕らは同世代で楽しくやってて、先輩方の曲も普通にプレイするし、僕らの曲をかけてもらえたら嬉しいし、そこまで気にしていない……というのが本音です

——コラボしたいアーティストはいる?
andrew:難しいですね……最近だとJUN KAMODA(イルリメ)さん。ラップをやっていたときの感じのままハウスをやっていて、人生観を含めかなり興味があります
Seimei:僕らは完全にテクノだよね
Carpainter:そうなんだけど……僕は誰というわけではなく、自分が好きな音、それこそKEN ISHIIさんとかの音がメッチャ好きなので、そういった流れを織り交ぜて、自分なりの形で表現したい。そして、それを上の世代のファン層はもちろん同世代にも聴いてほしい。理想としては時代をまとめる感じというか……上の世代にコミットするというより、自分がカッコいいと思うものを作って、自分たちの世代なりのシーンを作りたい……そう思いながら曲を作ってます

——今の日本のクラブシーンの印象は?
andrew:若い世代が出てきて、中堅感を感じてます(笑)。彼らはみんな自由な表現をしていて、今まで以上にトレンドに縛られていない。それが羨ましくある反面、既定路線がない分、外側から見るとわかり辛いのかな……
Seimei:今はトレンドがないのも大きいよね
Carpainter:僕ら自身、USに向けて走っていたときはトレンドとマッチしていたけど、今は自分たちがやりたいことをやり始めて……そうなるとお客さんとのギャップがあって
andrew:作り手とお客さんの鮮度って、違っていて然りだと思うんです。特にムーブメントが通り過ぎるとアイディアが枯渇し、みんな一度ルーツに返ったり、各々の表現に走る。一方、ファンはまだムーブメントを追いかけている節があるので、それは仕方がない。だから僕らはそれをTREKKIE TRAX CREWで補完しているんですけど

——それはどういうこと?
andrew:TREKKIE TRAX CREW名義でのセットは超フェス仕様で、未だにフューチャーベースやトラップをガンガンかけて、単純にお客さんに楽しんでもらう。でも、ソロではここのアーティスト性を出していったり
——2019年はageHaのような大箱や、それこそ「EDC JAPAN」にも出演していたよね。
andrew:『EDC』はすごく気持ちよかったし、そこでTREKKIE TRAX CREWセットはまだ求められているんだなって実感しました。ただ、理想はメインでTREKKIE TRAX CREWやMasayoshi Iimori、Fellsius、サブで僕たちのソロSetや、他のアーティストにプレイしてもらえれば。僕らはどんな場所にもフィットできる自信とアイディアはあります

——futatsuki君はどう? 今のシーンについて。
futatsuki:僕ら7年間活動してきて、今年は原点に返ったというか、創設時の気持ちに戻りました

——それはなぜ?
futatsuki:自分たちが作り上げてきたシーンや実績は確かにあるものの、今のシーンは一度リセットされた気がするので曖昧模糊としていて、みんな立場が一緒、フラットになった気がして。だから、いかにレーベルの舵をとるか考える必要性を実感してます。でも、それは同時にみんなに平等にチャンスがあるってことでもあると思うんですけど

——そういうときにこそ海外に目を向けたりは?
andrew:最近のリリースは歌モノが多いんですけど、それはビッグルームな音楽が若干衰退してきている気がするからなんです。海外のアーティストも今はプロデュース業に励んだり、歌モノを作ってアーティストブランドを高めている人が多い。例えばFLUME(フルーム)やサン・ホロ、フランスのED BANGER周りもみんな今は虎視眈々とブランド力を高めている。今僕らがするべきはそういう動きなのかなと
Seimei:過渡期なんだよね。EDM以降、今後どうしていくべきなのかっていう
futatsuki:体感的には海外も結局元に戻るというか、イギリスでは再びダブステップが面白くなったり、アフリカから新しい音楽が生まれてきたり、歴史が繰り返される中で次はどこが伸びるのか、その競争をしている感じがしますね

TREKKIE TRAXが注目する新たな世代とは

——ここ数年、日本でもフェスが増えているけど出たい?
futatsuki:メチャクチャ出たいです。単純に楽しいし新鮮なので。その中で課題は、どう完成度を高めていくか
andrew:フェスとクラブはセットを作るにも脳の回路が違うんですよね。それは楽しむ側もそうだと思う。それは僕ら世代特有のものかもしれないですけど
Seimei:ネットレーベル文化もそうだったからね。特定のジャンルに特化しているのもあったけど、大枠で見れば雑多
andrew:それを体験したのは大きいかもしれないですね。そして、それが下の世代との違いかも
Carpainter:僕らより下はEDMから入っている人が多いからね」
andrew:そう、そこからアンダーグラウンドに向かう人もいて、それを決定付けるのが自分のキャラクター性。それをすごく大事にしている感じがしますね

——キャラクター性ってアイドルみたい(笑)。
andrew:近いと思います。ただ、すごく芯があって、良くも悪くも提示性が強い

——若いアーティストで面白い人はいる?
andrew:結構いますよ。例えばOyubi君。彼はFulltonoさん直系のジュークのアーティストなんですけど、ポストダブステップやシカゴハウス、ゲットーテクノも経由してて
Seimei:僕は同世代ですけど、Allen MockとHerbalistekが好きですね。彼らは海外で高い評価を受けていて、日本でもようやく追いついてきた感じがします

——TREKKIE TRAXを象徴する曲を挙げるとすると、何かある?
Seimei:オールタイムベストは……スクリーム&Benga(ベンガ)だと思います。みんなの最初の共通項はやっぱりダブステップなので。その他だとDisclosure(ディスクロージャー)や、ルーツではないけどJACK Ü(ジャックU)とか
andrew:ジャックUはエンタメ、パフォーマンスの参考というか糸口だね。あとは曲だとOutlander(アウトランダー)の“Vamp”とか、レイヴィーなものもTREKKIE TRAXって感じがする
Seimei:確かに“レイヴ”もキーワードだね。ヒップホップ少年はブレイクビーツから、テクノオタクは電子音から、ロックファンはケミカルとかか入って必ず経由するからね

——普段から音楽の話ばかりしてる?
andrew:ばかりですね。TREKKIE TRAX CREWのセットを考えたり、海外DJのセットを分析したり
Seimei:常にLINEで新譜やライヴの感想を情報交換したりしてます(笑)

自らの信念のもと突き進むTREKKIE TRA
Xが見据える未来

——最後にTREKKIE TRAXの今後は?
futatsuki:ストリーミングの登場により音楽の聴き方が大きく変わりましたし、その結果レーベルよりアーティスト個人をよりフォーカスする時代になったと思います。しかし、レーベルにはレーベルにしか出来ないキュレーションだったり、レーベルとしての機能があると思っています。なので、変わらずレーベルとしてのTREKKIE TRAXのブランディングを高めていくだけです。僕たちがキュレーションする音楽をアーティストと協力してしっかりリスナーに提供していきたいですね

——今の視線は国内? 海外?
futatsuki:最近のリリースは国内向けのものが多いですが、海外を意識するというか、僕たちがレーベルを始めたころにくらべてグローバル化が進んでいるので、もはやそういった意識はないかもしれません。
Seimei:TREKKIE TRAXが表現のプラットフォームになれればいいよね。それも国内だけでなく、海外にも出れて、そこでチャンスが生み出せる場でありたい。そこは昔からブレてない、正直TREKKIE TRAXはステップアップのためのレーベルとして使ってもらってもいいと思ってます

——ちなみにビジネスとしてはどう?
futatsuki:ビジネスとしての視点もしっかり考えています。現にCarpainterとMasayoshi Iimoriはフルタイムで音楽制作やDJをやって生活できていますし
——今後TREKKIE TRAXのように……と思う人たちにとって、現実問題として実はここが一番重要なのかなと。
futatsuki:僕らは結構そこはシビアに見てます。所属アーティストをどう生活させていくか常々考えてますし、そのための音楽制作の仕事に関してはレーベルのリリースとは別軸で考えていて。例えば、アーティストへ来る制作依頼は選別することなく、むしろやりなさいぐらいって感じだったり」
Seimei:それが成長にもなるからね。ただ、僕らは幸運にも今まで好きなことができて、それをいかに継続させていくかが課題の1つです
futatsuki:アーティストはもちろんですが、それ以上に僕はレーベルとしてどう成長していくかが今後はより重要だと思っているんですよ。ただ、それによってアーティストの表現活動を制限したくはないんです。彼らは彼らで好きなことをやって、レーベルとしても成長していく。将来的にもレーベルとしてセルアウトすることはないし、その逆もない。僕らはクリエイティブに関しては100%担保できる自信があるので、ポップとアンダーグラウンド、そしてマネタイズ、全てをフラットに考えて自分たちが納得できる絶妙なラインを攻めていきます。今の僕らの楽しみはそれしかないんですよ

——売れたいという気持ちはそんなにない?
futatsuki:バリバリあります(笑)
andrew:以前、三浦大知さんの『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌のリミックスをやって変わりましたね。アーティスト性を保証しながら作家としての可能性の糸口が見つかって
Seimei:正直、あの後に歌モノに走る道もあったと思うんです。でも、僕らはそれをしないというかできないんです
futatsuki:世界的に見れば、同じことが今局地的に起きていると思うんです。作る音楽は変わらないけど、それがポップとして評価されるようなことが。それは僕らの理想であって、日本でもその流れが来ると信じ、僕らは愚直にクリエイティブを高めていきたいです

オフィシャルサイトをチェック

【Artists Information】
今後TREKKIE TRAXのメンバーが出演するパーティーはコチラ↓↓

◆「THE BASS」
12月30日(月)@東京・渋谷asia

◆「ageHa COUNTDOWN to 2020」
12月31日(火)@東京・新木場ageHa

◆「BASS IN TOKYO」
2020年1月4日(土)@東京・渋谷SOUND MUSEUM VISION

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