『デスノート THE MUSIAL』レム役パ
ク・ヘナにインタビュー「すべてはお
客様のために全力を尽くします!」

2020年1月20日(月)から開幕する舞台『デスノート THE MUSICAL』(以下『デスノートTM』)。本作は漫画「DEATH NOTE」を原作とし、世界的作曲家フランク・ワイルドホーンが楽曲を手掛けて生まれたミュージカル。今回の再演では初演時からのキャストを一新して臨む。弥海砂にデスノートを与えた事が発端となり、やがて海砂に親のような感情を抱く死神でありながら人間味溢れるレム役を演じるのは、韓国ミュージカルの歌姫、パク・ヘナだ。前回は濱田めぐみとの対談をお届けしたが、今回はパク・ヘナという一人の女優に密着して話を聞いた。
――パクさんがミュージカルの道に進みたいと思った時期はいつ頃でしたか?
ミュージカルアカデミーで学んだ後、大学で舞台を専攻したんです。実は元々はミュージカルという存在を全く知らなくて、歌を歌うこと、そしてダンスをすることが好きだっただけなんです。
――え? では何がきっかけでミュージカルの世界に興味を持ったんですか?
何か特別な作品に出会ったとかではないんですよ。或る日ふと、歌って踊ること全て出来るのが「ミュージカル」だと気が付いたんです。それで、大学に入る前のアカデミーで出会った音楽監督や同僚たちの情熱を感じた時に「私もミュージカルをやりたい」と思ったんです。
――それから月日が流れて、韓国版の『デスノートTM』に出ようと思ったのは何故ですか?
実はオーディションを受ける前から「DEATH NOTE」という漫画をよく読んでいました。それが凄く面白かったので、この作品をもっと知りたいと思ったんです。またオーディションの準備で劇中の楽曲を聴き、それがものすごく良かったんです。その後、運よくオーデイションに受かってレム役をやる運びとなりました。
――演出の栗山民也さんはこれまでパクさんが出会った様々な演出家さんと比べてどんな点が特徴的ですか?
栗山さんはニコッと笑って「俺は全部知っているよ」って感じの空気を出す方ですね。(その場で栗山の表情を真似てウフフと笑う)ダメ出しをする時もほんの一言だけ、でもその一言がものすごく重要なんです。凄い人だなと思っています。
――パクさんは『アナと雪の女王』のエルサ役の韓国版ボイスキャスト(歌担当)をなさっています。普段全身を使って感情や台詞を表現しているのを、あえて声だけで表現する事になる場合、どんなところに気を配っているんですか?
役者という職業なので、画面上で声だけ聴こえる時であっても画面に映っている人たちの表情や感情を「聴かせてあげたい」と思ってやっていましたね。録音の直前まで喉の調整や身体の調子も気を使いました。『アナ雪』の第1弾から6年経って今回の第2弾でもボイスキャストをしましたが、新しい感覚を感じました。まるでエルサが6年間私を待っていてくれたような感覚でした。6年間の時の流れをも感じましたね。
――ところで、韓国のミュージカルは何故、活気があって盛んなんですか? 国家として演劇を支援しているだけではない何かがあるように思うんですがいかがでしょうか?
韓国人ってもともと情熱的で感情豊かな民族なんです。観る側も演じる側もその資質を持っているからじゃないかなって思いますね。日本に来てからミュージカル、特に2.5次元と呼ばれる作品『イノサン』を観たのですが、とても面白く、興味深かったです。新しいミュージカルだなって思いました。2.5次元はビジュアルが大事、と聴いているので、私自身と似ているキャラクターがいるなら挑戦してみたいですがそんな役ありますか(笑)? もちろん『デスノートTM』も漫画原作で2.5次元的なところはありますが、それ以上に「演劇寄り」な作品だなと思っています。作品が持っているテーマも重いですからね。
――是非、他の作品でもパクさんの演技や歌声を聴きたいですね。そういえば、今夏に韓国のケーブル局MBNで、開局史上ドラマ&バラエティ番組最高視聴率を記録した大ヒットドラマ「優雅な家(Graceful Family)」にアンジェリウムという役で出演され、大きな話題を呼びましたね。いつか日本でも放送される事を期待していますが、出演されてみていかがでしたか? 映像作品と舞台との違いなどは感じましたか?
今回ドラマに初めて出演しましたが、面白かったのでまた何かの機会があったら挑戦してみたいです。映像と舞台の共通点は、その瞬間瞬間に集中して演技をすること。違う点は映像は違う角度から何回も何回も撮らないとならないこと(ここで撮影の1シーンを様々な角度から撮影される様を実演して笑わせる)。舞台は何時間もずっと人前で演技をしないとならないこと。でもどちらも面白かったです。
――ご自身に対して影響を与えた人っていらっしゃいますか?
特にこの人、という人はいませんが、ミュージカルで出演するごとに多くの方々と出会い、一緒に仕事をする事で感動をいただいています。人って千差万別じゃないですか。そういうことを多くの人と出会うたびに実感しています。足りない部分もあるし、いい部分も持っているし。私は運がいいことに、いい人と出会うのが多いと思っています。周りにいる役者さんたちは誠実に役に向き合う人もいれば、“生きている”演技を見せてくれる人もいる。その時その時に違う影響を受けて学んでいますね。
――最後に『デスノートTM』をご覧になる日本のお客様にメッセージを。
ドラマもいいし音楽もいい。それを共演者たちやスタッフたちが一緒に作り上げています。すべてはお客様のために!幕が上がるまで私も全力を尽くしますので、皆さん期待してください。その期待に応えられるように頑張ります。観ないと後悔しますよ(笑)!
インタビュー中、「ダイジョウブ?」と片言の日本語で自身が伝えたい事が理解されているか、何度も確認していたパク。この数日後、マスコミ向けに歌唱披露をした時に見せた、その場を圧倒する声量と熱量からは想像がつかない、心配性で可愛らしい女性だった。ぜひ本番で歌姫の本気を体感したい。
取材・文=こむらさき  撮影=中田智章

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