『フロム・ザ・リーチ』は
豪華なゲストを迎えた
サニー・ランドレスの会心作

『From The Reach』(‘08)/Sonny Landreth

『From The Reach』(‘08)/Sonny Landreth

言うまでもないが、サニー・ランドレスはスライドギター奏者としてデレク・トラックスと並び、世界最高のテクニックと歌心を持ったプレーヤーだ。彼の名前が世界的に知られるようになったのは、エリック・クラプトンに誘われて2004年と2007年の『クロスロード・ギター・フェス』に参加してからのことである。しかし、日本のロックファンはランドレスがジョン・ハイアットのサポートミュージシャンとして来日した1988年の時点で、彼が恐るべきスライドギタリストであることを知っていたのである。今回取り上げるのはランドレスの通算11枚目となる『フロム・ザ・リーチ』で、本作にはクラプトン、ロベン・フォード、エリック・ジョンソン、ヴィンス・ギル、マーク・ノップラーといった著名なギタリストをはじめ、ドクター・ジョンやジミー・バフェットなど豪華なゲストが参加し、いつも以上にパワフルな仕上がりとなっている。

難しいスライドギターのテクニック

世界にスライドギタリストは数多く存在するが音のコントロールが難しく緻密なテクニックが必要とされるため、ロック界において高いレベルで活躍するプレーヤーはひと握りしか存在しない。ロックの世界では60年代後半から70年代初頭にかけてデュアン・オールマン、ジョニー・ウィンター、ジェレミー・スペンサー、ミック・テイラー、ライ・クーダー、ローウェル・ジョージ、ボニー・レイット、ジェシ・デイヴィス、ロン・ウッドらが現れたが、シンセポップが脚光を浴びた80年以降はギターの存在そのものが花形とは呼べなくなったこともあって、スライドギター奏者は相当減った。ところが、80年代後半になって人力演奏が見直されるようになると、ルーツロック系の若手アーティストたちがデビューし、往年のベテランたちもシーンに戻ってくるようになって、スライドギターは再び重用されることになる。

さまざまなスライドギターのプレーヤー

ロックにおいてのスライドギターは、元はロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズ、エルモア・ジェイムズなどのブルース奏者の演奏を参考にしたものが多く、60年代は主にブルースロックや初期のサザンロックで使用されていたのだが、ジョン・メイオールやフリートウッド・マックらブリティッシュブルースのグループがブルースのスライドそのもののかたちを提示したのに対し、オールマン・ブラザーズやタジ・マハールのようなアメリカのグループやソロアーティストは、ロック的な視点でスライドギター奏法を大きく進化させている。特にダイナミックなデュアンのスライドはアメリカンロックに大きな影響を与え、ライ・クーダーが現れるまでのスライド界はデュアンの独壇場であったと言えるだろう。

デュアン・オールマンとライ・クーダーの他では、リトル・フィートのローウェル・ジョージが抜きん出た存在で、『ディキシー・チキン』(‘73)等でのコンプレッサーを効かせた粘っこいプレイは、洗練されたロックにも合うスライドギターのスタイルを確立している。グラミーの常連ボニー・レイットもスライドの名手であるが、彼女のスタイルはローウェル・ジョージを模したものだ。

上記のスライドプレーヤーたちは普通のエレキギターを使用しているのだが、70年代になってアル・パーキンス(フライング・ブリトー・ブラザーズ)やデビッド・リンドレー(ジャクソン・ブラウン・バンド)たちがスティールギターをスライド風に弾くようになって、ブルースオリジンのものばかりでなく、カントリーロックなどにも応用することで広がりを見せ始める。先日亡くなったばかりのバディ・ケイジ(ニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジのペダル・スティール奏者)も、ファズを効かせたスライド風スティールプレイが得意であった。

OKMusic編集部

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