【FM802×SPICE ヘビロな人のヘビロ
曲~あの人のルーツはこの10曲~】2
月度ヘビーローテーションアーティス
ト・ハンブレッダーズ編

2019年、大阪のラジオ局、FM802は開局30周年の節目を迎え、2020年新たな節目に向けて進み出す。そんなFM802が自信を持って1ヵ月間毎日、特定の楽曲をOAするヘビーローテーション。そのヘビロアーティストに、自身のルーツとなる楽曲のアンケートを取り、その話を交えながらFM802DJがインタビューする企画【FM802✕SPICE ヘビロな人のヘビロ曲~あの人のルーツはこの10曲~】。第2回目となる今回は、2020年2月のヘビーローテーションアーティスト・ハンブレッダーズ。2月19日(水)に発売されるメジャーデビューアルバム『ユースレスマシン』のリード曲「ユースレスマシン」が今回のヘビ―ローテーションに選ばれた。今回の対談はFM802で毎週金曜日12:00~放送中の『FRIDAY Cruisin’ Map!!』と、毎週日曜日の29:00~放送中の『802 MORNINGSCAPE』を担当しているDJの飯室大吾を迎え、ムツムロ アキラ(Vo.Gt)、でらし(Ba.Cho)、木島(Dr)に、自身のルーツやヘビロ曲、そしてメジャーデビューについてはもちろん、飯室との初めての出会いなど、ハンブレッダーズらしいエピソードを交え、和やかな雰囲気のなかスタートした。
飯室大吾×ハンブレッダーズ
●「埋もれさせてはいけない」という気持ちをみんなが感じている●
飯室:祝・ヘビーローテーション! ということでハンブレッダーズを改めて知っていこうという対談です。よろしくお願い致します。
メンバー全員:宜しくお願いします!
飯室:思い返すと、僕がハンブレに初めて会ったのが、30組以上のバンドが出てたコンテストで。当日は出演者が多いから皆がバタバタしてたんだけど、ハンブレだけが気軽に話しかけてくれたんですよ。
ムツムロ:ハハハ(笑)! まだ、でらしの加入前ですね。
飯室:「飯室さんですか? 音源渡していいですか!」と手書きのデモを持ってきてくれて。
ムツムロ:当時は『RADIO∞INFINITY』めちゃくちゃ聴いてましたから。
飯室:そのコンテストでハンブレッダーズは優秀賞を取ったんだけど、今はサポートギターになった吉野君がステージで「僕たちはまだ学生で、バンドを今後も続けるかは分かりません」と言ってたのをずっと覚えてて。それから数年経ち、大阪のライブハウススケジュールを調べる度に、ハンブレッダーズの名前を何度も何度も目にするようになるのが本当に嬉しくて。
ムツムロ:気にしてくださっていたのが嬉しいです!
ムツムロ アキラ(Vo.Gt)
飯室:その頃から見てるから、ハンブレッダーズはずっとスタンスを変えずに、メジャーデビューしたバンドというイメージがあるんです。
ムツムロ:メジャーデビューは嬉しいのですが、僕たち自身、根本のところは全然変わっていなくて。一回もバズったことがないですし。じわじわと、ここまで来れたというのが自信にも繋がっています。
でらし:僕たちを知ってくれた人がそのまま離れずに、今まで一緒に来てくれてるんだと思います。本当にありがたいです。
飯室:「埋もれさせてはいけない」という気持ちを、ファン全員が感じているから離れない。その結果バズってる人たちと同じ状況になっているのはハンブレらしいね(笑)。
でらし:「ハンブレの音楽を埋もれさせちゃダメだ」と一番最初に思ったのはきっと僕なんです(笑)。こんなにかっこいいライブをしてるバンドがなんで売れないんだとずっと思っていたので。僕は間違ってなかった(笑)!
飯室:今日イチの笑顔やん(笑)。でもそうですよね。何よりハンブレの曲は、音楽好きが皆共感できるんです。休み時間に教室の隅っこで大好きなロックを聴いてる時だけ無敵になれるあの感じ。
ムツムロ:僕自身が先輩方にその「無敵になれる感覚」を感じさせてもらっていた影響もあるので、音楽やるからにはそういったものを途絶えさせないように、無くさないようにという意識は強いです。
●こんな近くにヒーローがいたという衝撃で、初めて心と体が躍りだした●
木島(Dr)
飯室:今、ちょうど影響を受けた話が出たので、3人のルーツミュージックについても聞いていきたいのですが……ごめん、木島くん全然喋ってないわ。
全員:ハハハ(笑)!
ムツムロ:木島はスロースターターなんで、ここからめちゃくちゃ喋ります。
木島:更に喋りにくくなるからやめて(笑)?
飯室:ハハハ(笑)。では木島くんが思春期の時に胸を熱くした音楽は?
木島:初めて買ったCDが、中学生の時に買ったAqua Timezのアルバムです。中学生の時はいわゆるJ-POPが好きで、いきものがかりもよく聴いてました。それから高校生になって、友達と初めて観たBase Ball Bearのライブが凄くて。そこからロックも聴くようになりましたね。
飯室:そこで演奏してる人たちのカッコ良さに気付いたわけだ。
木島:そうですね。中学生の時、友達はみんなELLEGARDENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONのようなロックを聴いていたのですが、当時の僕には分からなかったんです。でもライブハウスに行ったことでロックの魅力に気付けました。
飯室:出会い方ってあるよね。知ったタイミングではそこまでハマらず、ふとしたタイミングでめちゃくちゃカッコいいことに気づくという。その頃でらしは?
でらし:僕はむしろ中学生の時にロックバンドにハマりましたね。それこそASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴いていました。
飯室:ASIAN KUNG-FU GENERATIONに出会ったキッカケは?
でらし:僕よりスポーツも勉強もできて、音楽も知ってる幼馴染みのような友達に教えてもらったんです。最初はマネじゃないですけど、その友達への憧れもあって聴いてたのですが、だんだんカッコ良さに気付いて。そこからはアジカンのルーツを辿って、ウィーザーとか、アッシュ、オアシスに出会い、更にはアジカンのGotchさんがやってるレーベルも掘っていって。そこでDr.DOWNERという、横須賀のパンクバンドに出会ったんです。
飯室:Dr.DOWNERね! めっちゃ好き!
でらし:こんなにうるさくて、こんなにメロディーが良い音楽があるんだと気づいてパンクに目覚めました。そこからは、横須賀のパンクバンド界隈を掘りはじめて、ディープなバンドを聴くということを覚えましたね。
でらし(Ba.Cho)
飯室:好きなバンドのルーツを辿って、ディープなところに行きつく楽しさめっちゃ分かります。掘れば掘るほど簡単にはCDが買えないバンドだったり。
でらし:そうなんです! でもそういうところを経て、幼少の頃に聴いていたスピッツに戻ってきた時に「スピッツすごいな!」という感動を味わいました。この素晴らしい歌詞はなんだと、なんて素晴らしいメロディを書くんだと(笑)。
飯室:非常に良くわかる。尖ったディープなところを辿ったからこそわかるスピッツの尖りね。ムツムロは?
ムツムロ:僕が一番最初にロックンロールというものを知ったのは小学5年生の頃に聴いたサンボマスターですね。「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」が大好きで。あと初めて買ったCDはUVERworldでした。
飯室:なるほど。気になる思春期時代は何を聴いてたのですか?
ムツムロ:中学の時は、ホントにFM802をどっぷり聴いていたんですが、そこで人生の転機になったハヌマーンというバンドに出会うんです。それまでミュージシャンというものは大きなステージで音楽をやる人で、手の届かない存在というイメージが強かった。でもハヌマーンはそうではなく、小さなライブハウスで、とてつもなくかっこいいライブをやっていたんです。隣にいた全然顔も名前も知らない人が肩組んできて、一緒になって歌う経験をしたのもその時が初めてでした。こんな近くにヒーローがいたんだという衝撃で、初めて心と体が躍りだしたのを覚えています。その一夜は自分の中で革命的でしたね。
飯室:良い経験! それが転機になり、原動力になっているハンブレッダーズが音楽を続けているのは、すごくワクワクします。
ムツムロ:音楽は言ってしまえば娯楽だけど、絶対にそれだけじゃない何かが音楽にはあるはずだとその時からずっと思っています。
●全員で楽しめればそれで終わりという消費のされ方が僕は一番嫌で、それだけじゃないんだぞと思ってるんです●

飯室大吾×ハンブレッダーズ

飯室:そんなハンブレッダーズがメジャーデビューのタイミングで発売する、この『ユースレスマシン』というアルバムは、初めての方にもこれまでのファンにとっても本当に文句無しな一枚だなと。
でらし:ありがとうございます、嬉しいです。まさにそこまで考えて作ったアルバムなので。
飯室:そしてこのアルバムと同じタイトルでもあり、アルバムの一曲目を飾る「ユースレスマシン」が今月のヘビーローテーションになりました!
ムツムロ:めちゃくちゃ聴いてたラジオ局で一ヵ月かかり続けるなんて……。
木島:本当に嬉しいです。隙あらばラジオつけて聴いてます(笑)。
飯室:ハハハ(笑)。この曲は、ハンブレッダーズがずっとブレずにやってきたロックンロールで、アルバムの一曲目としてもふさわしいですよね。
ムツムロ:この曲には2つのテーマを持たせていて。一つは、今では時代遅れになってしまっている娯楽の素晴らしさを、改めてちゃんと歌いたかったんです。これは僕らがバンドとしてずっと伝えたかったテーマでもあって。ここに関しては、どこか使命感のようなものがありますね。
飯室:なるほど。確かにハンブレッダーズが歌うことで説得力を凄く感じます。もう一つは?
ムツムロ:もう一つは、白黒はっきりできないものにも、ちゃんと愛情を注いでいきたいという思いがあって。「これは白、これは黒」という、目に見えてわかりやすいものだけではなく、そこ以外の部分で動いてるものや感情ってすごくあると思うし、そこを大切にしたいんです。メジャーから出す一作目の一曲目でそこを歌っておかないとダメなんじゃないかという気持ちがありました。
飯室:そこに焦点を当ててくれるのも魅力の一つですよね。今でもハンブレの楽曲から改めて学ぶこともあるんです。盛り上がってる輪の外側にも聴き手は居るということを思い出させられるというか。
ムツムロ:音楽も、ラジオも、映画も、アートもそうなのですが、ちゃんと孤独にも焦点を当てて作られた娯楽だと思っていて。全員で楽しめればそれで終わりという消費のされ方が僕は一番嫌で、それだけじゃないんだぞと思ってるんです。
でらし:何よりも今一緒にいるチームが、そこを理解してくれているというのはすごい大きいと思います。「君たちが良いバンドだから俺たちは広めたいと思ってる」ということをはっきり言ってくださっているので。
ムツムロ:今回も全部自分たちの思い通りにやらせてもらいました。本当に感謝しています。だからこそチームとして良いものを作りたいという気持ちを持つことが出来るし、携わってくれてる人の顔が消えちゃうような作品は意味がないと思っています。
飯室大吾×ハンブレッダーズ
飯室:ファンが増えていくスピードもハンブレッダーズにはちょうどいい気がしていて。ちゃんと一人ひとりが歌を噛み締めてくれてる感じがあるよね。
ムツムロ:そうなんです。それは僕たちも感じています。
飯室:ヘビロ曲「ユースレスマシン」もじっくり噛み締めて欲しいなと思うのですが、歌詞の<ベスト盤には入ってないあの曲が好きなんだ>という部分。ハンブレッダーズのファンはまさにこの気持ちだと思う。「自分はこの曲の、この一節が好き」という自分の好きなハンブレッダーズがそれぞれにある。
ムツムロ:それも本当にありがたいことです。でも、もしかしたら一回バズってたら違ってたかもしれない訳ですよね。僕らは結果的にバズらなくてよかったのかもしれないですね(笑)。
飯室:あと一つ、ムツムロに聞いてみたいことがあって。ハンブレの曲にはノスタルジックな情景がパッと浮かぶ言葉を色んなところに入れてるじゃないですか。あれは意識してる?
ムツムロ:あまり意識して入れようとしたことはないですね。でも全くのフィクションを書くのは難しいし、経験したことを少しでも入れておかないと、説得力がなくなっちゃうと思っていて。かと言って経験した現実ばかりを歌っちゃったら、リアルすぎてロックバンドでやる意味がブレるなとも思うんです。自分のポリシーとして、ロックバンドはロマンを歌って欲しいというか、フィクションで夢を見せて、騙して欲しいというのがあって。だから説得力を持たせつつ、フィクションを歌おうとなったときに、無意識に出てくるのがそんな言葉なのかもしれないです。
飯室:無意識なんだ。それはもうムツムロの心の中に学生時代からそのままになってる部屋があるんだろうな。
ムツムロ:そうかもしれません(笑)。歌詞を書くときに「中学生の自分が興奮できないと意味はない」という意識はあって。どんな言葉でも、そこだけブレなければいいのかなと。昔の自分を感動させられる音楽が作れないと、今の自分がロックバンドやる意味はないと思ってます。
飯室:これについて木島くんは……。
木島:以下同文ですね。
全員:ハハハ(笑)!
飯室:そして春にはツアーが待っております。大阪は4月12日(日)BIGCATにて。その前、3月23日(月)にはFM802と今年結成20周年を迎えるサンボマスターのコラボレーションイベント『FM802✕サンボマスター20th「愛と平和のアホ年度末」』にも出演してくださいます。「中学生の自分が興奮できないと意味はない」という言葉を忘れず、ハンブレッダーズを聴き続けたいと思います。本日はありがとうございました!
メンバー全員:ありがとうございました!
文=城本悠太 撮影=渡邉一生

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