『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020
』のプログラムが発表 生誕250周年
を迎えるベートーヴェンを祝い尽くす
3日間と2年ぶりの前夜祭開催決定

1995年よりフランスのナントで開催されているラ・フォル・ジュルネ(以下LFJ)の日本版で、2005年に初めて日本の丸の内エリアで開催された『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO』は今年2020年で16回目の開催を迎える。2020年2月18日(火)、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO』の本番会場の一つとなる東京国際フォーラムにて記者会見が行われ、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020』の開催概要と注目の見所が発表された。

記者会見には、音楽プロデューサーでLFJアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』運営委員会から梶本眞秀氏(LFJアーティスティック・プロデューサー/KAJIMOTO)、滝田織江​氏(KAJIMOTO)、廣野研一氏(株式会社東京国際フォーラム取締役)、後藤泰隆氏(三菱地所株式会社 街ブランド推進部長)、そして、スペシャルゲストとしてふかわりょう氏が登壇。ふかわ氏は、今年LFJアンバサダーに就任することが発表された。
まずは、運営委員会の滝田織江氏より『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』の全体像について説明がされた。
西洋音楽史上最も偉大な音楽家の一人、ベートーヴェン。2020年はベートーヴェンの生誕250周年にあたる年で、世界中で彼の生誕が祝され、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』でも「Beethovenーベートーヴェン」をテーマとし、有名な交響曲からベートーヴェン自身が編曲を手掛けた作品や、弟子や友人が編曲を手掛けた作品、滅多に演奏されることがない珍しい作品からオマージュを捧げる作品まで、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』でしか聴けないオリジナルのプログラムを用意しているという。
続いて、ルネ・マルタン氏によりプログラムの見どころが述べられた。ここからはトピックごとに述べていこう。
ルネ・マルタン氏
■ベートーヴェンの人生を辿る、ピアノ・ソナタ全曲を演奏
まずベートーヴェン自身の王道の作品では、交響曲全9曲、協奏曲全8曲(ベートーヴェンが13歳で作曲したピアノ協奏曲第0番も含まれる)、ピアノソナタ全32曲などを演奏する。ルネ・マルタン曰く、ピアノ・ソナタを全曲やることでベートーヴェンの人生を辿っていくことができるという。
最終日の5月4日(月・祝)には、2019年モスクワで開催されたチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門第二位の藤田真央がピアノ・ヴァイオリン・チェロのためのトリプルコンチェルトで登場。見逃せないプログラムだ。(5月4日(月・祝)14:15~15:00 ホールA〈華やかなる名手たちの競演〉)
■ベートーヴェン作品編曲とオマージュ作品、聴衆参加型プログラムも
そして、注目すべきはやはり『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』ならではの19世紀から21世紀のベートーヴェン編曲作品とオマージュ作品のユニークなラインナップである。
クラシックとラテンのフュージョン・ピアノを組み合わせた《ハバナのベートーヴェン》は3日間通して毎日演奏されるほか、オーケストラが奏でる交響曲第3番「英雄」に、3人の歌手によって歌われるイギリス出身の世界的ロックバンドColdplayの曲を融合させる《新旧楽聖の邂逅 ベートーヴェン vs コールドプレイ》(4日(月・祝)16:30~17:20ホールA)など魅力的なプログラムが並ぶが、中でも2日(土)15:15~16:30 ホールB7にて行われるコンサートは一つの公演の中で、カルクブレンナー、ワーグナー、リストそれぞれの編曲による交響曲9番の聴き比べができるという。この前代未聞のコンサートは、ベートーヴェンのコアなファンには垂涎の的になるだろう。
KAJIMOTO梶本社長
ほか、一足早くフランスのナントで開催されたラ・フォル・ジュルネでも大盛り上がりを見せた、宮川彬良が交響曲5番の運命をアレンジした《シンフォニック・マンボNo.5》は、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020』版ではシエナ・ウインド・オーケストラがブラスアレンジでお送りする。(5月3日(日・祝)16:45-17:30 ホールA〈シエナのエクストリーム・ベートーヴェン!〉)
また、今年のユニークな企画として、1800年にウィーンで行われたベートーヴェンとダニエル・シュタイベルトの即興対決サロンの再現コンサートがある。パスカル・アモワイエルと野平一郎のフランスと日本のピアノの名手が観客の目の前で即興演奏対決をするのは必聴である。(5月4日(月・祝)21:00~21:45ホールB7〈ベートーヴェン風即興サロン〉)
最終日の最後を飾るファイナルコンサートでは、5000人が同時に合唱する誰でも参加できる聴衆参加型プログラム「みんなで第九」で締めくくられる。
■2年ぶりの前夜祭、特別企画も目白押し
『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』の本プログラム以外の主なトピックとしては、2年ぶりに前夜祭が復活することと「SOUND HUG」という抱きかかえることで、音楽を視覚(光)と触覚(振動)で音楽を楽しむことができる音楽装置を一部のコンサート(※1)に初めて導入すること。そして、アンバサダーのふかわりょう氏による「プチョヘンザ☆クラシック」と題したベートーヴェンを中心としたクラシック曲をアレンジしたDJイベントである。
5月1日(金)の前夜祭では、スペシャルガラ・コンサート「ベートーヴェン・ピアノナイト」がホールAで行われ、6人のピアニスト(クレール・デゼール、広瀬悦子、ダヴィッド・サルモン、マニュエル・ヴィエイヤール、ダヴィッド・カドゥシュ、福間洸太郎)の華麗なるピアノ演奏を聴くことができる。加えて、地上広場でもビール片手に楽しめるネオ屋台村スーパークラシック「ベートーヴェン・ナイトフェス」が行われ、こちらの注目ポイントとしては、2019年10月ベルギー・ディナンで開催された世界最高峰のサクソフォンコンクールである「アドルフ・サックス国際コンクール」の優勝者、齊藤健太が登場し世界が認めた演奏を披露する。
「SOUND HUG」は音楽を視覚(光)と触覚(振動)で耳の自由・不自由に関わらず新しい形で音楽体験を楽しむことができるもの。ベートーヴェンが聴覚障害と闘いながらも生涯生み出し続けた素晴らしい作品をより多くの人に聴いてもらえる画期的な取り組みである。この「SOUND HUG」の初導入には「いろんな方にコンサートを楽しんでほしい」とKAJIMOTOの梶本眞秀社長の思いも込められている。
記者会見の最後には、「ラ・フォル・ジュルネはクラシックの垣根を良い意味で取り払い、自由度の高い演奏を楽しめる場、にわかジュルネも大歓迎」と、フランスのナントで参加したラ・フォル・ジュルネの熱気冷めやらぬアンバサダーふかわからのメッセージで締めくくられた。
アンバサダーふかわりょう氏
『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2020』は、2020年5月2日(土)・3日(日)・4日(月・祝)の3日間、東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町エリアにて開催される。プログラム詳細とタイムテーブルは公式ホームページにてチェックしてほしい。
取材・文・撮影=田尻有賀里
(※1)5月2日(土)ホールA公演(111~116)が対象。詳細はHP参照

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