ミュージカル『ビリー・エリオット～
リトル・ダンサー～』マイケル役・日
暮誠志朗「面白いけど優しいマイケル
になりたい」／連続インタビュー(8)

2017年夏に東京・大阪で上演され大ヒットしたミュージカル『ビリー・エリオット～リトル・ダンサー～』日本人キャスト版が、2020年7月から新たなキャストを迎えて東京・大阪で再演される。

物語の舞台は1980年代のイギリスの炭鉱町。ひとりの少年がプロのバレエダンサーを目指す。その主人公ビリー・エリオットの背中を押す親友マイケル役として、ビリー役同様にクアトロキャストで長期公演に臨むのが、河井慈杏（かわいじあん）くん、菊田歩夢（きくたあゆむ）くん、佐野航太郎（さのこうたろう）くん、そして日暮誠志朗（ひぐらしせいしろう）くんである（五十音順）。

マイケル役もまた、約1年間にわたる厳しいオーディションを経て選ばれた。決定の翌日（2019年12月）、SPICEは個別インタビューを実施。その模様をひとりずつ（五十音順に）シリーズでお届けする。

（左から）河井慈杏 菊田歩夢 佐野航太郎 日暮誠志朗　（撮影：山本れお）

マイケル役への連続インタビューの4人目として今回は、日暮誠志朗くんから話を聞く。日暮くんは、2007年生まれ、広島県出身。

ーーマイケル役が決まって、今はどんな気持ちですか？

すごくびっくりしていると同時に嬉しいです。

ーー『ビリー・エリオット』のオーディションを受けた理由は？

おじいちゃんとお母さんと一緒に『ビリー・エリオット』の舞台を観に行った時、ビリーはもちろん素敵でしたけど、マイケルのこともすごく気になって。「いつかこの役をやってみたい」と思ったのがきっかけです。

ーーオーディション中、海外スタッフから何か印象に残ることは言われましたか？

「自由にやっていい」と言われたことです。それはつまり、自分で考えたことを選んでやるという意味だと分かり、大発見でした。それまでお芝居というものが、決まったことをやることだとしか思っていたので、「自由にやっていい」と言われたことは、本当に大発見でした。

ーー学校で好きな教科は何ですか？

算数です。コンピュータを使った教材で学習するのが面白いからです。

ーー学校での課外活動や部活動はやっていましたか？

部活はあまりやっていなくて……お昼休憩が楽しいです（笑）。給食でピザとか好きなものが出てきたり、その後に友達と遊ぶことができるからです（笑）。

ーーどんなことをして遊ぶんですか？

鬼ごっこです。

ーー趣味は何ですか？

歌とダンスとお芝居です。特に今はタップダンスです。オーディションが始まる前にちょっとやってみようかなと思って、レッスンを体験してみたら、楽しかったので、そこから本格的に始めました​。

ーー歌とお芝居は以前からやっていたのですか？

はい。7、8歳位から習っていました​。

ーー憧れの人はいますか？

マイケル・ジャクソンです。かっこよく踊り、高い声も出て。声変わりをしていなかったのかなと思うほどです。

ーー将来の夢は何ですか？

ミュージカル俳優になることです。歌が上手くて面白くて元気なミュージカル俳優になりたいです。

ーー2020年夏の本番に向けて、自分自身の中で課題だと思っていることはありますか？

体力を増やすことと、自転車に乗れるようになること。これまでは電車やバス、あるいは徒歩で移動していたので、自転車に乗る機会が全然ありませんでした。でも今度はマイケル役を演じるのですから、自転車に乗れるようにはなりたいです。以前、お芝居で玉乗りを一回やったことがあり、バランスとりには自信があるので、自転車もすぐに乗れるようになれると思います。

ーーあなたがマイケルと共通するところ、或いは、マイケルに共感するところは何かありますか？

好きなことを心から好きと思えるところです。僕の場合好きなことは、お芝居や歌やダンスです。

ーー舞台では、どんなマイケルになりたいですか？

面白いけど優しい、そんなマイケルになりたいです。

ーー劇中でお気に入りの場面はありますか？

いっぱいあるんですけど、4つあげると、ボクシングのシーン、ビリーとマイケルが歌って踊る「Expressing Yourself」と、「Electricity」のシーン、そしてマイケルとビリーが最後に別れるシーンです。

ボクシングのシーンは、マイケルがビリーのことを殴り、ボクシングなのに「ごめんなさい」と言って、先生に叱られるやりとりが面白いからです。「Expressing Yourself」は、ビリーがバレエダンサーになりたいと思っていることをマイケルが知り、「自由にやっていいんだよ」と励ましてあげるところが好きです。「Electricity」は、オーディションがうまくいかずに落ち込んでいたビリーが、審査員から質問された時の気持ちに僕自身も共感できて、すごく感動しました。そして最期の別れのシーンは、親友のビリーとマイケルが別れの寂しさを互いに我慢して、最後に「さよなら」というところに、とても感動しました​。

ーーそれでは最後に、読者の皆様に一言お願いします。

2020年の舞台に向けて、とにかくお稽古を一生懸命頑張るので、ぜひ見に来てください！

（左から）河井慈杏 菊田歩夢 佐野航太郎 日暮誠志朗　（撮影：山本れお）

ミュージカル『ビリー・エリオット ～リトル・ダンサー～』は、2000年に公開された映画「リトル・ダンサー」をエルトン・ジョンの音楽でミュージカル化した舞台作品。映画版の監督スティーヴン・ダルドリーが舞台版でも演出を手掛けた。脚本は「ロケットマン」を手掛けたリー・ホールが担当。2005年にミュージカルの舞台がロンドンで開幕すると空前の大ヒットを記録し、イギリスで最も権威ある演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞を含む4部門を受賞。2008年にはブロードウェイに進出、トニー賞10冠の快挙を成し遂げた。2017年日本初演では、東京と大阪で約4か月に渡る異例のロングラン公演をおこない、16万人を動員し、数多くの演劇賞を受賞するなど大成功を収めた。

取材・文＝五月女菜穂