「繊細さとダイナミズム、静寂とカオ
ス、平穏と不穏、洗練と野蛮」――F
oals、ロンドン公演のレポートが到着
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【FOALS】
3/3(火) より予定しております #FOALS ジャパンツアー2020は、予定通り開催とさせていただきます。国内における新型コロナウイルス感染拡大の現状も踏まえまして、ご来場を見送られるお客様に関しましてはチケット代金の払い戻しを行います。https://t.co/cL1aWh9jmo pic.twitter.com/x6Zh2a6ioi
— SMASH-jpn (@SMASHjpn) February 28, 2020
もしも順番が逆でインタビューがあとだったら、“You deserve it!”(あなたたちこそこの賞にふさわしい!)と声をかけてあげたかった。ま、御本人たちはこのセリフを今頃、何百回、何千回と聞いているだろうが。10年以上自分たちの才能を信じて積み重ねてきた努力が報われたバンドだけに、この言葉のシャワーをたっぷり浴びてほしいと思う。
Foalsにとって、これは意味あるチャリティ・ライブであるだけでなく、交替したばかりの新ベーシスト初披露の場、そして来るべきアジア・ツアーに向けてのウォーム・アップの意味合いもあり、さまざまな意味で試金石となる重要なライブだった。3月の来日公演の中身を占うためにも、これは外せない、とさっそく出かけてみた。
Foalsの最新作『Everything Not Saved Will Be Lost – Part 2』のオープニング曲「Red Desert」。何かが始まる予感に満ちた曲。そこへメンバーたちが登場。そのまま同アルバムの2曲目「The Runner」へとなだれ込み、場内の空気が一変した。曲は軽快に、しかし地響きをたてるように鳴り、Yannisの朗々とした声がそれに乗ってひた走る。
途中、Yannisが「このような尊い活動をしているWar Childのためにプレイできて光栄です」とコメント。そして、新ベーシストを紹介する。「Jagwar MaのJack Freemanに入ってもらいました!」Foalsのツアー・メンバーとして今宵初お目見えとなったJackは、体格のがっちりしたメンバーたちの中で一人ひょろ長く、一見頼りなさそうだが、すでにFoalsならではの骨太ベースを立派にマスターしている。「Exits」が終わったところで、観客の間から「The French Open」(1stアルバム『Antidotes』収録曲)の大合唱が起こり、それを追いかけるようにバンドの方がさわりを演奏する一幕があった。観客主導の1曲。こんなステージと客席との親密なやり取りが微笑ましかった。
ズを聞き、画家ウィリアム・ブレイクの啓示的な絵画が目に浮かんだ。
本編ラストでは、ステージで初パフォーマンスとなる『Part 2』からの10分近い壮大なナンバー「Neptune」が演奏された。ネプチューンはローマ神話の海神。ギリシャではポセイドンになる。海を思わせる青いライティングがあたりを彩る中、モダン・サイケデリアとでもいうべきディープなサウンドが観客を包み込む。海の底から、見せかけの平和が訪れたディストピアを見るような印象的なエンディングだった。
めく轟音のドラマだった。
アンコールは定番の「What Went Down」と「Two Steps, Twice」に新作からの「Black Bull」を加えた3曲。フロアは大ダンス大会。アリーナ席だけでなく2、3階のバルコニーまで大丈夫か、と思うほど揺れている。ドラムのJackが後方に坐っていられず、スティック持って大きく立ち上がる。この超絶テクのドラマーは、バンドを支える屋台骨とかでなく、バンドを引っぱる圧倒的な推進力だ。
Foalsも、考えてみるとそんなバンドである。繊細さとダイナミズム、静寂とカオス、平穏と不穏、洗練と野蛮。一見正統ロックと見える音の中に、これら相反する要素を矛盾なく取り入れ、複雑なレイヤーを作る。そのレイヤーの底では、今も彼らが取り組まずにいられぬ実験音が息をひそめ、時折奇妙なリフやリズムとなって表出する。こんな普通であって普通でないところがFoalsを特別な存在にしている、と思う。
この夜のライブは、まさにその通りの内容だった。おそらくは、この路線をそのまま日本へ持っていくのだろう。来日公演のお楽しみのために、ロンドン・ライブをこれ以上詳述するのは控えるが、とにかく中身の深すぎる、聞き応えのありすぎる、それでいてどこまでも楽しいライブだった、とお知らせしておこう。
Text by 清水晶子(Akiko Shimizu)/ ロンドン在住ジャーナリスト
Photo by Patrick Gunning
Foals 『JAPAN TOUR 2020』
会場:愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
日程:2020年3月4日(水)
会場:大阪 BIG CAT
日程:2019年3月5日(木)
会場:東京・新木場 STUDIO COAST
チケット詳細(https://smash-jpn.com/live/?id=3255)
お問い合わせ: SMASH(http://smash-jpn.com) 03-3444-6751
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