U2が地方のロックグループから
世界最高のロックグループへと
ジャンプアップした傑作
『ヨシュア・トゥリー』
収録曲は全部で11曲。「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地)」(全英4位、全米13位)、「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終りなき旅)」(全英6位、全米1位)、「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」(全英4位、全米1位)の冒頭3曲はシングルカットされ、いずれもヒットしている。もちろん他の曲も名曲揃いで、彼らのアルバム群の中で本作は、自身のルーツであるアイリッシュをはじめ、ブルース、カントリーといった異国の視点のルーツ解釈も絡めた異色のロック作品だと言え、80年代ロックを代表する屈指の名作となった。
当時、本作が大ヒットを記録した(2500万枚以上のセールス)のはアルバムの内容が良いのはもちろんであるが、打ち込みが多かった80年代ロックの中にあって、しっかりと人力演奏の醍醐味を味わえたことも大きかったのではないかと僕は思う。
TEXT:河崎直人