小関裕太×木村達成に直撃! ミュー
ジカル『四月は君の嘘』で天才ピアニ
スト役を演じる意気込みとは

アニメ化、実写映画化もされた人気コミック『四月は君の嘘』がミュージカルとして世界初演を迎える! 元天才ピアニストの少年と個性派ヴァイオリニストの少女が織り成す青春物語を、『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』等で知られるアメリカの作曲家フランク・ワイルドホーンが手がける。本作の主人公、有馬公生をダブルキャストで演じる小関裕太と木村達成に舞台への意気込みを聞いた。
ーーアニメ版、実写映画版に続き、ミュージカル版が誕生します。
小関:実写映画版に友人が出ていたんです。だから、このお話をいただいたとき、いい映画だったから、舞台版に出演できてうれしいなと思いました。作品についてさらに深く知っていくと、映画では描かれていない部分もありますし、フランク・ワイルドホーンさんと作品作りができることが非常に楽しみです。
小関裕太
木村:コミックとアニメにはまだ接していないんですが、脚本を通じて、自分なりの解釈で作っていけたらいいなと思っています。2月に作品のリーディング試演会で一度演じさせていただいていて。
小関:僕はお客さんで観てました。
木村:一週間足らずでナンバー28曲を全部あたって、皆さんの前で披露したんです。
小関:すごい短期間だったんだよね。
木村:そのとき、ワイルドホーンさんが作ってくれる歌、その……流れてくるメロディが、有馬公生にぴったりだなと思ったんです。常に心から叫んでいる感じで。友達と話しているときは声を荒げたりしない分、歌が重いなって。キーは高いんですが、すべての曲がすごく重くて、ふんわりはできないなと。しっかり伝えなくてはいけないセンテンスがたくさんあるので、難しい作品だなと思いました。
木村達成
小関:僕はそのとき観ていて思わず泣いちゃいました。本稽古をやっていない状態で、フルオーケストラではなく、演奏家の方が数人いらっしゃって、リーディングと歌で進んでいく。その音楽の力にシンプルに感動して、涙が出ました。
木村:僕自身も初めての体験だったんですが、ブロードウェイ方式というか、試演会の前にワークショップがあったんですけど、そのときにはもう歌えるようになっているのが当たり前らしいんです。この期間は試す期間だ、僕たちに提示してきてほしいと、ワイルドホーンさんはじめクリエイターの皆さんに言われて。まだ音もとっていないような状態だったので相当苦労しましたが、クリエイティブな作業で楽しかったです。その期間で曲自体もかなり変わっていって、急に、ここはハモってと言われたり。さっきこのメロディラインで覚えてたのに~みたいな(笑)。ずっとその期間は歌いっぱなしでした。この作品の立ち上げメンバーとしてしっかり伝えていかなきゃと思うと、試演会では無我夢中で、本番とはまた違う緊張感がありました。
(右から)小関裕太、木村達成
ーー役柄についてはいかがですか。
小関:まだ客観的に見ている段階ですが、有馬公生が何より魅力的なのは、彼自身はピアノを弾きたくないのに、周りの人からはピアノを弾いてほしいという期待をもたれている。天才ピアニストと言われていた子供時代を捨てたい彼と、どうしても弾いてほしい、彼と同じステージに立って彼に勝ちたいという人たちがいて、そのシチュエーションに心を揺さぶられて……。自分もそういう風に求められる存在でありたいと思いますね。本人はやりたくないのに求められるというのはどういうことなんだろうって、これから深めていきたいなと思っています。
木村:公生は、すごい気を遣って空気を読みまくって生きてきた人だなと思うんです。世界がカラフルではなく白黒に見えてしまう、それも、自分にそう言い聞かせてカラフルに見えないようにしているところがあるというか。まっすぐな彼だからこそ、いろいろなものにフタをしまくって生きている。あと、彼のセリフがかっこいいなと思います。幼なじみの椿に対して言うセリフも、“足首捻挫してるんだろ、お前”とか、その後、無言で背中を見せておんぶしてあげたりとか、普通言えないなって(笑)。ワークショップのとき、演出の(上田)一豪さんに、「ここでフタしてください」「心のドアを閉めてください」ってよく言われたんです。心の叫びを歌った後に、また心の殻に閉じこもるみたいなところがあるので。それをだいぶ意識しながら演じました。友達思いだし、報われなくていいじゃないですけど、僕以外はみんな幸せになってくれみたいに思っているところがあって。でも、それを変えてくれるいろいろな仲間に出会うことで、世界がカラフルに見えてくるという感覚を非常に強く感じました。
ーー“音”が重要な役割を果たす物語が、ミュージカルでいかに描かれるのか、興味深いです。
木村:おもしろい作りになっていて、音楽が題材の作品の中でも、とりわけミュージカルにぴったりだなと思っています。正直なところ、有馬公生はすごく歌が上手である必要はないというか……。歌詞だけで伝わるものがあればいいなと思うんです。
小関:物語のベースとなっているのはクラシック音楽なんですが、作曲のワイルドホーンさんがJ-POPを愛してくださっていて、ニューヨーカーが作るJ-POPということで今回作曲されているそうなんです。そこにクラシック音楽が掛け合わさってくる感じ、そのおもしろみが非常に詰まった楽曲になっていると思うんです。聞きなじみのあるクラシックが流れていると思いきや、J-POPになっていく感じ。音楽の魔法にかかっていくような感覚があって感動しましたし、新鮮に楽しんでいただけると思います。同じ音楽でもジャンルの違うものが混ざり合ったり、対抗したりしていく作りがおもしろいなと感じています。
(右から)小関裕太、木村達成
ーー昨年12月の「FNS歌謡祭」で楽曲を披露されたときはいかがでしたか。
小関:初披露だったので緊張しました。それと、これが今回のオリジナル楽曲です、と提示するワクワク感もありました。
木村:すごくキャッチーでいい曲だよねと聞いた方が言ってくださって。編曲のジェイソン・ハウランドさんがとにかくスパルタなんですが、ポップスターみたいに歌うように言われましたね。高校生の物語だから、特にポップになっているということもあるんじゃないかなと思います。子供のころの公生が歌うナンバーがすごく好きなんです。彼と母親の掛け合いとか。なぜ愛の喜びと愛の悲しみがあるのに悲しい方を弾くの……というところから歌い出す歌とか、すごくせつないんですよね、心から叫ぶ感じが。歌い甲斐があるいい曲ばかりですね。
小関:ワイルドホーンさんの作品は、最近では『デスノート THE MUSICAL』を観劇しましたが、歌い上げる曲が多いので、歌っている方としては一音一音魂と体力をこめて歌わないと走り抜けられないんだろうなと思いました。聞いている方としては、どんどん感情が盛り上がっていって最後にもっていかれる作りになっているので、音楽に身を任せられるし、それだけで感動が生まれるなと。試演会で聞いていたときは、僕も早くやりたい! と思ったんですが、いろいろ話を聞いたり、自分でも練習したりすると、確かに難しいなって。聞いているとそんな感じがしないんですよ。メロディ回しとかも聞きやすいから、聞き心地いい。でも、歌うと難しい。そんなマジックがあるんです。
小関裕太
木村:ワイルドホーンさんの曲ってめちゃくちゃ魔物が住んでいて(笑)。浸りながら歌っているとそれで終わっちゃいますから。どの歌もそうだと思いますけど、ワイルドホーンさんの曲は気持ちいいところがいっぱいあるから、自分の歌に酔いしれていると、とりわけすごくつまらない歌になってしまう気がする。
ーー今回、ダブルキャストで共演されます。
木村:共演はしたことはないけど、お互い知っているという間柄だよね。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの、僕は青学(せいがく)7代目キャストで。
小関:僕が6代目で、同じ作品をやっていて。
木村:さわやかだし、有馬公生にぴったりだと思う。
小関:それはお互いそうでしょう~(笑)。歌を聞いていて、人としての芯をもつことも、なくすこともできる人なんだなと思って。有馬くんって、天才と言われていた過去をもちつつ、ブレブレで、芯があるときもあればないときもある。そんな有馬くんの歌をたっちゃん(木村)が歌うと、言葉や感情が歌から聞こえてくるんですよね。試演会でも、有馬くんの本質が聞こえてくる役者さんだなと思って。自分にないものをもっていると感じたんです。たっちゃんはたっちゃんの公生で、じゃあ僕の公生はどうなるんだろうっていうことをいま模索している最中です。
木村:僕は、あまりに有馬公生のイメージと自分が似つかわしくなさすぎると思っていて……。とまどいはあるんですけど。でも、自分なりの解釈で楽しみつつ作っていければいいなと思います。
木村達成
ーーお二人にとって、音楽とは?
小関:大好きです。ノーミュージック、ノーライフ。ただ、有馬くんは、ヒューマン・メトロノームって言われるくらい、楽譜、作曲家の意思に忠実にということを大切にしてきた人なんですが、僕自身は感覚人間で。自由だねって言われることが多いんです。好きな曲のジャンルもジャズとかで、雑味があったりする音楽が好きです。自分のいいところを大切にして、有馬くんっぽくないところを見つめて役作りしていきたいなと。ビル・エヴァンスとかすごく好きなんですよ。
木村:僕にとって音楽とは……時間を埋めてくれるものかな。移動中とかによく聞いています。
ーーご自身が歌っているときはどうですか。
木村:声が出てないと思ったりします。もちろん、曲に取り組んで最初の段階は歌えなくて、でも、最終的に歌えるところまでいくと、その成長はおもしろいなと思うんですけど。声が太くなっていったり、声の使い分けができるようになっていったりとか、そういうことを感じると歌っておもしろいなと思うんです。限界がないから。でも、歌っているときはものすごく緊張してるんですよ。
小関:僕は、自分の中でずっと音楽が流れていて、ずっと歌っている感覚があります。リラックス方法も歌うことだし、現場とかでもよく、歌ってるよねって言われることがあります。父親がTUBEが好きで、車でカセットテープを流して歌っていて、僕も一緒に歌ったりハモったりしてたんです。だから、ずっとなくてはならないもので。TUBE、DREAMS COME TRUEサザンオールスターズ、それと僕が最近よく聞くアーティストって、ルーツがアメリカのブラック・ミュージックにあったりとかして。J-POPを聞きつつも、そこに一つ憧れがあるんだなって思いますね。
(右から)小関裕太、木村達成
■小関裕太
ヘアメイク:MIZUHO
スタイリスト:Satoshi Yoshimoto
衣裳協力:
中に着ているTシャツ ¥16,000(クルニ / シアン PR ️03 6662 5525)
靴 ¥26,000(トス / ヘムト PR ️03 6721 0882)
その他スタイリスト私物
■木村達成
ヘアメイク:馬場麻子
スタイリスト:部坂尚吾(江東衣裳)
衣裳協力:
コート¥154,000(クリスタセヤ / ビオトープ 0120-298-133)
パンツ¥33,000(サラードア /アダム エ ロペ 0120-298-133)

取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=山本れお

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