【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#147
シンガーソングライター・吉幾三の言

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

売れるとか売れないとかよりも、その頃
は、ずっと、こういう歌を歌いたいと思
っていたんですよ

より

今回の名言は、吉幾三へのインタビューで、「初の正統派演歌での大ヒット曲『雪國』は、どういう風にできた歌なんですか?」という問いへの答えからの抜粋。この曲のリリースについては、「今さら正統派の演歌なんか売れるわけないだろ!」と、千昌夫に大反対されたという。それまで、「俺はぜったい!プレスリー」や「俺ら東京さ行ぐだ」と、コミックソングをヒットさせてきた吉にとっては、無謀とも言えるリスクの大きい転換だった。大先輩の反対を押し切ってまで、「雪國」をリリースした純粋な想い。吉幾三が、本物のアーティストであることを証明する言葉である。

吉幾三 (よしいくぞう)
1952年11月11日生まれ、青森県五所川原市出身。ラッパー、シンガーソングライター、演歌歌手、作詞家、作曲家、俳優、タレント。中学校を卒業後に上京して、作曲家の米山正夫に師事する。1973年、アイドル歌手・山岡英二として「恋人は君ひとり」でデビュー。この曲が、ヤンマーディーゼルのコマーシャルソングに起用された。1977年、吉幾三と改名し、シンガーソングライターとして「俺はぜったい!プレスリー」で再デビュー。1978年、同曲をモチーフに映画化された山田洋次監督による『俺は田舎のプレスリー』で俳優としてデビューする。1984年、千昌夫への提供曲「津軽平野」がヒットして作曲家としても注目される。同年、千昌夫のプロデュースによりリリースされた、和製ラップの元祖「俺ら東京さ行ぐだ」が大ヒットする。1986年、自作曲にして正統派演歌「雪國」をリリース。初のオリコン1位を獲得する。その後、演歌系シンガーソングライターとして活躍する一方、2012年には、フォークソングのカバーアルバム『あの頃の青春を詩う』などをリリース。また、2019年には、津軽弁をラップで歌った『TSUGARU』を発表し話題となった。2020年4月29日、弘前観桜会100回記念曲『百年桜』をリリース。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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