SPICEアニメ・ゲーム班オススメ!今
だからこそ観たい!家で楽しめるアニ
メ三選 Vol.15

Vol.15選者:梅田勝司
フリーの編集者・ライター。SPICEのお仕事も手伝っております。宇宙の歴史や地球の年代史、人類滅亡に興味があります(ディザスター的に)。『ヤマト』で並んだ世代です。いま新作が見られることに驚いています。ハードSF要素やハードボイルド要素を内包したアニメとロボットアニメが好きなのは世代でしょうか。

オススメ作品(1)
『あそびあそばせ』
(dアニメストア、AmazonPrime video、ニコニコ動画)
TVアニメ「あそびあそばせ」第1弾PV
アニメ関係の編集者なんだけど、意外に原作を読まない派なのですが、「あそぼあそばせ」は書店で「TVアニメ化原作本」特集棚に平積みされていて、ふと表紙の美少女と目があってしまったのです。店員さんの手書きPOPには「表紙詐欺と呼ばれていてる……」とあり、この絵が描けるのに表紙詐欺とはとんでもない作品に違いないと確信して、原作漫画を購入したのでした。
アニメの「あそびあそばせ」も純白のワンピースを着た3人の女子中学生がオープニング主題歌に可愛く登場しますが、これがそもそも表紙詐欺と同じ役割を果たしています。女子中学校でJCがきゃっきゃうふふする、ほんわか日常生活ものだと思ったら大間違いです。
主人公は勉強もできてお金持ちの家のお嬢様でおさげ頭の陰キャ・華子(CV: 木野日菜)。休み時間は寝ているタイプです。華子、勉強はできても、ほかがなにか間違っています。顔面もすぐに崩壊します。彼氏が欲しくてしょうがありません。とにかくリア充になりたいけど、子供の作り方を最初のほうでは理解していない残念な女子中学生。私服センスも独特です。
そこに転校してきたのは、金髪碧目だけど脇から胸のあたりの体臭が遺伝子的に少々きつい、実は日本生まれで英語がまったくできないオリヴィア(CV: 長江里加)。彼女は華子の反応が面白くて、カタコトの外人日本語を続けてからかい続けることにしました。
そして、もうひとり、ショートカットの巨乳メガネっ娘の香純(CV: 小原好美)。BL系でも特殊趣味の小説を密かにノートPCに書いている秘密を持っているのですが、人見知りの陰キャ。もったいない話です! しかも英語が大の苦手。勉強もしない派!
揃いも揃ってバカか、おめえら!とツッコミたくなるのですが、まだ早い。この先がすごいのです。第1話の「あっち向いてホイ」からして手加減なし! 華子は、表紙やOPどおりの正統派の少女漫画ならあり得ない顔に……。
この3人がなぜか意気投合して「彼氏を作るために」部費で原宿とかに出かけようと結成したのが「遊び人研究会」、略して「あそけん」。
はじめのうちは、オリヴィアが、「oh、ニホンのアソビシリタイでーす」と言われて香純が「こんな遊びがあるよ」と昔懐かしい遊びを提示してみんなで仲良く遊んでいるので、「ああ、そういう昨品なんだ」と思うじゃないですか。違うんですよ! 回を追うごとに昔懐かしい遊びがなぜか命がけになったり、泣き出す羽目になったり、生きていることを後悔したりと、とんでもないことにエスカレートしていき、そのたび華子をはじめ「あそけん」メンバーは絶叫し、顔面が崩壊します。
なんといってもすごいのは、華子を演じる木野日菜さんの絶叫ボイス。その超音波具合と演技を超えた異次元の叫びです。この昨品の収録はプレスコだったそうですが、あまりの演技の自由さは、破壊力が地球を異次元に吹き飛ばさんばかりで、彼女を見出してこの演技をさせたことは最大の功績ともいえます。この1本で大ファンになりました。
ちなみに、この昨品、あの名作『月がきれい』の岸誠二監督ですよ。そう思うとあまりのギャップに笑ってしまいますが、自分が取材で岸監督とはじめてお会いしたのは「天体戦士サンレッド」でした。その後も機会があれば次回予告後にショートギャグをぶちこんできたり、そのネタ出しのために会議をもったりと、実はギャグに一切手を抜かない方なのでした。
アニメは、毎回3話のショートストーリーで構成されているので、テンポもよく、次々と新しいキャラクターが出てきます。生徒会長との戦いや、将棋部との戦い、オリヴィアの兄の登場、華子の執事・前多の登場などなどそれぞれの登場会のエピソードも強烈なのでぜひ順番に味わってください。
アニメで笑い狂ったのはすごく久しぶりの体験でした。
あともうひとつ。エンディング「インキャインパルス」はデスボイス炸裂のメタルコア曲です。日本の強力なメタルバンド「HER NAME IN BLOOD」とハードコアバンド「FOAD」のメンバーが作曲と演奏に関わっています。あまりに素晴らしいのでシングル買っちゃいましたよ! ここではメインキャラ3人の絶望ボイスの歌声とデスボイスが聴けます。名曲です。
TVアニメ「あそびあそばせ」EDテーマ「インキャインパルス」 Music Video
この昨品、もうえんえん、「ちびまる子ちゃん」のようにずっと続いてほしいです。第2期待ってます!
オススメ作品(2)
『女子高生の無駄づかい』
(dアニメストア、AmazonPrime video、Netflix)
TVアニメーション「女子高生の無駄づかい」PV第2弾
「なあー今からすごいこと言っていい?」と言われて驚いたことありますか!? だいたい、どうでもいい話ですよね。そして、その話を効いてもあまり得るものはない。暇つぶしです。
『女子高生の無駄づかい』はそれが口癖の主人公の女子高生、さんざん試した挙げ句ついたあだ名が「バカ」の田中 望(CV: 赤﨑千夏)を中心に残念な女子ばかりが集まる女子高校が舞台の学園コメディですが、タイトルどおり、まあ、みながみな、女子高生であることを無駄にして毎日を過ごしています。もんのすごく無駄でバカなことばかりに一生懸命で……。
メインキャラクターはバカのほかに漫画家志望で、低所得Pファンの菊池茜=ヲタ(CV: 戸松 遥)、ポーカーフェイスで無口、毒舌で無機質感がたまらない鷺宮しおり=ロボ(CV: 豊崎愛生)の3人を中心に、ロリ、ヤマイ、マジメなどなどひねりなしのあだ名がついた女子高生たちが登場します。3人は昔遊んでいたものの、高校生になるまで疎遠になっていたのが再会したのでした。
自分の推しはおばあちゃん子だけどかわいい反抗期のロリ(CV: 長縄まりあ)です! 声優さん的にはとんでもねえ中二病のヤマイ(いつも包帯だらけ)を演じる富田美憂さんです! ファンはもちろんチェックしてますね! 押忍ッ!
女子高校というと、まるで天国ではないかという妄想をよく聴きますが、いままで生きてきて「最高だったよ」と自分に言った人は男女問わず皆無でした。なぜなんだ!
その謎は本作を見ると深く納得できます。作品にはバカたちの担任教師・ワセダ(CV: 興津和幸)は「JD好き」を公言、女子高生をハナから相手にしていません。でもJDはJKを経てからなるものなのだから、もう少し温かい目で見守ってもいいのではないかと思いもするのですが、バカをはじめとする生徒たちを見ていると、とてもそんな気になれないのも理解できます。
とにかく何も考えていないのではないのか? 特にバカ。彼氏欲しい、胸がほしい、とわめくだけで、特に努力はしない、潔さは天下一。そして勉強もしない。催眠勉強法でテストを乗り切ろうとしている! 教科書を開いていない! 最終話ではこのへんの話が見せ場になるので、特に注目!
この昨品では、女子高校らしい、女子が女子に惚れる描写もあり、それがシリアスになることはありませんがコミカルに描かれます。ショートカットのマジメとそのお母さんを見た転入生のリリィがゴクリ、としてしまうシーンには思わずうなづいてしまいました。
基本的にはコメディで笑える作品なのですが、ところどころほっこりするエピソードもあって、永遠に見ていたくなります。
同作は岡田結実の主演で実写ドラマ化もされましたが、キャラクターの再現度はかんぺきでした。特にロボはすごかった。そして、バカは実写にすると本当にガチでバカだ…とおもえるという、岡田結実の恥ずかしがらない果敢な演技もぜひみなさんに見ていただきたいと思います。
それとエンディング主題歌を見ていると、「ああ、無駄に毎日を過ごしてバカばっか無責任にやってられるって、この頃しかないんだなあ」と思えてきます。だから女子高生はどんどん無駄づかいしてください!
オススメ作品(3)
『ポンコツクエスト 〜魔王と派遣の魔物たち〜』
(dアニメストア、AmazonPrime video、バンダイチャンネル)
ポンコツクエスト〜魔王と派遣の魔物たち〜 COLLECTION DVD 発売告知CM
自分はどうにも地道すぎるレベル上げとダンジョンが苦手で、RPGをやり終えたことがないダメ人間です。同じようなスライムと小物倒して何が面白いんじゃ! 何が勇者じゃ! 面倒なんじゃ! そういう自分にとって、本作は痛快です。なにしろ、スライムのイムラさんと、魔物のカクを中心に、ぐだぐだ弱小戦力でしかない魔物軍団の仲間と魔王様の日常を描いているからです。
なんだ、自分、日常ものばっかりだな。
本作は1本が5分に満たないショートFLASHアニメで、OPは8ビット絵。懐かしいですね。作・声優を松本慶祐氏がほとんどひとりでこなしています。まるで新海監督のようではないですか! 特にメインの魔物たちはひとりでこなしていて恐怖します。
途中、四天王が登場するあたりから小野賢章悠木碧内田真礼なども登場。とんでもない演技をかましていきます。
作品が昨品ですからね。なにしろ、イムラさんはともかく、カクは毒を吐いてばかり。空を飛べるミツイはおべっか使いの裏切り者。その会話は田舎のファミレスで夜中にヤンキーどもがやいのやいの騒いでいるものと大差ありません。「狂ってんのか?」とか、ふつーに出てきますから。カクがだるいからサボるために吐く言い訳もヤンキーまんま。
しかも、我々からすると敵の魔物たちを操る魔王様は監視カメラ的なもので、暇つぶしにカクたちを見張り、休みがない、手当がない、無駄な経費は給料から引く、逆らうと雷槌を落とすなどパワハラ・モラハラし放題のブラック企業です。なにしろ、雇われてるのは派遣社員ですから、人間社会以上にひどい待遇なのは当たり前とも言えます(いちおう“悪”なので)。
加えて、こういうブラック企業にたどりつきがちな人種であるカクは「こんなブラック企業やめてやる」が口癖。よく、ファミレスとか居酒屋で吠えてるやついますよね。そこはイムラさんが冷静に「やめてどうするのか」問いただすのですが、特に資格もやりたいこともカクはどこにもいけないので……そんな社会批判性、本作に限ってありません! 単なるダメなやつ「あるある」です。
はじめはAMABAで番組が変わるタイミングで穴埋め的にOAされていた本作ですが、一度見たら最後、中毒になります。これは間違いありません。なにしろすでにシーズン7に突入しており、第六十章を超えているのです。Blu-rayは5本出ており、つい最近、全てを1本のDVDにまとめた「COLLECTION DVD」が7月22日に発売されることが発表されました。なんでDVDなんだ!
エピソードはどれも面白いのですが、自分が一番好きなのは「賭博」です。イムラさんらに「金貸してくれれば、出るから」とスロットの資金を借りるクズのカク。しかし、人生を思い通りにいかないッ……! 歪む空間! これは! 最近では少しじつ増えていく四天王のシリーズもお気に入りです。いつになったら四天王は四人揃うのでしょうか。最初は一人でしたから!
YouTubeでも一部公開されていますが、最新作は一週間無料公開で見ることができます。最新情報はtwitterで確認を!

なにかあったら、この3作を推すと決めていました。たまたま今回は新型コロナで家こもり絡みで紹介することになりましたが、それと無関係でも見ていただければと思います。ファンタジーや異世界ものも苦手だし、可愛いキャラが出てくるアニメも苦手、かといって最近はSFものも巨乳絡みだったり、ストーリーには不要な水着回があってテンプレかよ、と、最近のアニメに少し抵抗を感じている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、それが支持されているのはニーズがあるからですし、それがいい、という世代的な問題もあります。でも、自分はどうも違うようだというときに心から楽しんで見るアニメがないことは不幸ともいえます。客観的に「今季はこれでござるな!」としたり顔でいうことはできるかもしれませんが、そんな立場からアニメを見られなくなっていたら、つまらないじゃないですか。
もともと、自分もそうですが、家こもり大好きな人間だから、この仕事に就いてしまったようなものです。とはいえ、「あれもしたいなあ」と考えたときに「いまダメじゃん」はストレスになります。強いて言うのであれば、とにかく頭を空っぽにして腹抱えるくらい笑い飛ばしたいなら、この3本です。それだけは間違いないと思います。

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着