KANA-BOON、BURNOUT SYNDROMES、矢井
田瞳が大阪府支援の無観客ライブ配信
『-ACCESS CODE OSAKA!-』で2万人に
アピール

『大阪府文化芸術活動(無観客ライブ配信)支援事業 PR LIVE -ACCESS CODE OSAKA!-』2020.6.7(SUN)大阪・BIGCAT
大阪府が主催する無観客ライブ配信『大阪府文化芸術活動(無観客ライブ配信)支援事業 PR LIVE -ACCESS CODE OSAKA!-』が6月7日(日)、大阪・BIGCATにて開催された。
新型コロナウイルス禍により営業を休止した府内の劇場やライブハウスなどをサポートすべく、インターネット上で無観客ライブ配信を実施する際に最大70万円を補助するという大阪府の支援制度のプロモーションとして実施された同公演には、KANA-BOONBURNOUT SYNDROMES、矢井田瞳と、大阪出身のアーティスト3組が出演。
スタンバイ風景

スタンバイ風景

当日は、クラスター(感染者集団)発生時にいち早く店名を公表するなど感染拡大の防止に貢献した大阪市内のライブハウスをはじめ、在阪のFM局やコンサートイベンターなどが一丸となって運営を行い、会場には大阪府の吉村洋文知事も視察に訪れた。
FM802DJ大抜卓人
会場となったBIGCATの場内には、感染予防対策のガイドラインに基づき巨大な空気清浄機や消毒液が各所に設置され、開演ギリギリまでドアが開放された状態で換気が行われている。そして、開演と同時にステージに現れた司会のFM802DJ大抜卓人が前述のライブの趣旨を説明し、「大阪府内のライブハウス関係者が1つとなって、大阪の文化、エンタテインメントを前進させたい。そういう想いで今回のPRライブにつながりました」とその志を代弁していく。
BURNOUT SYNDROMES
続いて、大阪のライブハウスから全国区へと育っていった出演者3組を紹介し、トップバッターとしてまずステージに登場したのが、BURNOUT SYNDROMESだ。
「大阪生まれ大阪育ち、3人組ロックバンドBURNOUT SYNDROMES、よろしくお願いいたします! 今日は俺たち、生まれ育った大阪に恩返ししたくてこのステージに立ってます。新しい時代に向かう一歩目を俺たちと踏み出していきましょう!」(Ba・石川大裕)。
インターネット上の特設サイトにて生配信された同ライブだったが、インディーズ時代より膨大なライブ数で鍛え上げられた3人のパフォーマンスは、久しぶりの現場であっても錆びつくことはなく、冒頭の「Good Morning World!」から瑞々しい演奏で画面越しにオーディエンスを魅了していく。ライブハウスに音楽が取り戻されていくような光景には、開始早々鳥肌が止まらない。
BURNOUT SYNDROMES
MCでは、大阪市生野区出身の熊谷和海(Vo.Gt)、天王寺区出身の廣瀬拓哉(Dr)、そして、東大阪市出身の石川と、出身エリアの詳細を添えて自己紹介したのも地元ならでは。それぞれが自粛期間中の過ごし方を振り返り、よくアニメを見ていたと語った石川が、「我々は結構アニメの主題歌を担当しているバンドで、一番数多くさせていただいてるのがバレーボールのアニメ(=『ハイキュー!!』)なんです。あと、僕はこの生配信ライブがバレーボールに似てるなと思うんです。皆さんが見ているこの画面、横長で四角形で、まるでコートじゃないですか?(笑) そして、僕らの音楽が、僕たちと皆さんの間にある“ネット”を超える。そう信じてこの後も精一杯歌います!」と続け、「FLY HIGH!!」を躍動感いっぱいに披露。
その言葉通り、インターネット越しにでも伝わるような熱量を発しながら、「今は暗い時代かもしれないけど、その先に必ず光があると信じて」と始まった「ヒカリアレ」でも、楽曲と巧みにリンクしたきらびやかな照明と、その歌の魅力と迫力がしっかり伝わる音響が3人の演奏を盛り立て、これがライブハウスの底力だと改めて思い起こされる。
「どんなに小さな居酒屋も、カフェも、ライブハウスも、きっとどこかの誰かの憩いの場であり、思い出の味であり、大切な場所なんだと思います。だからこれ以上、1カ所も奪われることがないように、みんなで助け合っていきましょう。最後に、何度やられても立ち上がる不死鳥の歌を聴いてください」(熊谷)
思わず身体が動き出すようなビートに乗せた最後の「PHOENIX」まで、アフターコロナの新時代の幕開けにふさわしい力強いステージで魅せたBURNOUT SYNDROMESだった。
BURNOUT SYNDROMES
演奏後は司会の大抜と3カ月ぶりにライブができた喜びを噛みしめつつ、「いつもどれだけ力をもらっていたかが分かりました、本当にありがとうございます!」と画面越しにオーディエンスに感謝を述べる石川。その後も「悲しいこととか辛いことはなかなか分かち合えるものじゃないですけど、楽しいことはみんなで増幅できるものだと信じてますので、ここから新しい時代を一緒に作っていけたらと思います!」と語り、トーク後は再び一斉に扉が開け放たれ十分な換気時間が設けられるとともに、使用したマイクはすべて交換&消毒されるなど、入念な感染症対策が実施された。
矢井田瞳
そして、今年デビュー20周年を迎える矢井田瞳が、サポートにアコースティックデュオの高高-takataka-を迎えてステージに。3本のアコースティックギターで奏でる優しい音色としなやかな歌声で「Ring my bell」を歌い上げるや、BIGCATが心地よい清涼感に包まれる。続いて、2000年にミリオンヒットを記録した「My Sweet Darlin'」を、原曲の疾走感溢れるロックサウンドとはまた異なる味わいの、美しいコーラスワークとチルアウトなアレンジで届けていく。
「みんなの声、心に届きました。ありがとう」と、画面の向こうから感じる想いに応えつつ、「会いたいときに会いたい人に会えないってつらいですよね。私もそんな経験をしたことがあります、遠距離恋愛とか?(笑) 今は特にそんな状況の方が多いかもしれない。時間とか距離をも超える強い想い……そんなことを考えながら書いた曲を」とステージの前っ面へと移動しマイクを手に歌ったのは「Over the distance」。カメラ越しにオーディエンスをしっかりと見つめるようなまなざしで切々と言葉を重ねたこの曲は、矢井田瞳の、音楽の、確かな力を感じさせる。そんなドラマチックな名演に、会場のスタッフからも大きな拍手が巻き起こる。
矢井田瞳
「私自身、大阪をはじめいろんなライブハウスで音楽からパワーをもらったり、時には自分がライブハウスに見に行って明日への活力をもらったり……私にとっても大切な場所です。どんなに大変なときも音楽には役割があると信じているし、次の曲はそんな音楽のパワーがみんなに届くようにと願いを込めて」と奏でた「Go my way」では、3人のアコースティックギターが入り乱れる高揚感にどっぷりと満たされる。
矢井田瞳
「大阪出身のいちミュージシャンとして、今回お呼びいただいて本当に嬉しく思ってます。まだまだ全国的にも苦しい状況下の方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、それでも心は前向きに、今できるベストを探しながら、いろんなことにトライして日々を前に進めていけたらいいなと思ってます。一緒に乗り越えましょう。私の大好きで大切な大阪の街を思いながら書いた曲を、最後にお届けしたいと思います」
新曲の「ネオンの朝」は、関西弁の歌詞も相まってホッと心が温かくなるような楽曲。「明日からも頑張りや~!」と画面の向こうのオーディエンスに気さくに呼びかけ、ステージを終えた後のトークでも、演奏した楽曲のエピソードや大阪への想いを幾度となく語り、音楽でも言葉でもオーディエンスに力をくれた矢井田瞳だった。
KANA-BOON
「リビングでご覧の皆さんも立ち上がりませんか? ちょいとボリュームを上げていただいて、おかえりKANA-BOON!」との大抜の呼びかけに応えるように、1曲目の「シルエット」からこれぞライブバンドな熱いパフォーマンスを見せてくれたのは、この日のトリを務めたKANA-BOON。
パワフルなドラミングとシンクロしたストロボライトを浴びながら、「画面の前の皆さんも今日はライブハウスに来たと思って!」(Vo.Gt・谷口鮪、以下同)と間髪入れずに突入した「フルドライブ」でも、4カ月ぶりのライブが心底楽しいという想いが溢れ出したかのような爆発力で迫りくる。
KANA-BOON
MCでは、「めちゃくちゃ楽しいわ(笑)。晩ご飯の支度をしながらみんな見てくれてるかな?」と画面越しに語りかけ、いじりながらメンバー紹介していく様子にちょっとした頼もしさすら感じる。「一緒にゆらゆらしましょう!」と放った「ないものねだり」といい、代表曲を惜しみなく演奏していくセットリストは、様々なシチュエーションでKANA-BOONのライブを見てきたファンも大いに歓喜しているに違いない。ライブでは定番のコール&レスポンスも久々だけに、バンドもオーディエンスもスタッフも照れくさいやら嬉しいやらで、何ともハッピーな空気が会場を包み込む。
KANA-BOON
「画面の前も汗だくかな? 久しぶりのライブハウスはいいですね。今、ライブハウスは本当に大変な局面を迎えていて、しんどい中で戦ってくれてます。僕たちがツアーで帰ってくる場所を、画面の前のみんながいつかまた遊びに来てくれる日を待ち望んで、一生懸命守ってくれてると思うから、カメラを通してですけど全国のライブハウスの皆さんにも感謝します。いつもありがとうございます! こんなに楽しいの、こんなに笑えるのって久しぶりやなと思うし、ライブならではの感動とか興奮は他の何にも代えがたいことを知ってる人たちは、きっと同じ気持ちだと思います。まだそういう奇跡的な体験をしたことがない人は、これから随分たくさんの楽しみが待ってます。そのためにもまた未来に希望を持って、ライブハウスに帰ってきたいと思います。必ず俺たちの、みんなの居場所を取り戻しましょう」
目の前に観客がいなくとも、いつもと同じようにカメラに向かって真摯に語りかける言葉が、物理的な距離を超えまっすぐに胸に届く。最後の「スターマーカー」まで、ライブハウスで育ったロックバンドの姿勢と愛情がにじみ出た、KANA-BOONの渾身のステージだった。
KANA-BOON
ライブ後のトークでは、「ここまでライブがないことも今までになかったし、普段から緊張と隣り合わせやから、もしかしたら自分にとって穏やかな時間になるのかなと思ったけど、生きてる心地がしなかったですね(笑)」と谷口。そして、「1曲1音を鳴らす瞬間を噛みしめたいし、必然的に前よりも大切に思うようになって。メンバーの顔を見ていても同じ気持ちだろうなと。今日はすごく大きな一歩なんじゃないかと思ってます。コロナが明けた世界では、ライブがもっと最高なものに変わっていくと思うし、早くライブハウスでみんなの声も合わさって、もっとデカい音を鳴らして遊びたいなと思ってます」と締めくくる。
瞬間視聴者数の合計は3組で2万人以上、延再生回数は約6万3000回にも上った無観客ライブ配信『ACCESS CODE OSAKA!』。大阪の文化の発信拠点である劇場やライブハウスが新たな一歩を踏み出した、記念すべき1日となった。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真=渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

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