シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気
の大人気コラム・第七十三沼 『爆釣
の湖!いや、沼!』

「welcome to THE沼!」
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第七十三沼 『爆釣の湖!いや、沼!』
ここのところ来てるんだよ。
釣れてるんだよブラックバスが!しかも半端じゃないんだよ。
毎回行くたびに50cmアップのランカーサイズを取っちゃうわけさ。
5月のたった2週間の間に7本だぜ。しかも全部50cmアップなんだぜ!(3匹ほど外道もいたけれどな)
「釣れない王子」の異名をもつ私だぜ。おかしい状況だよ。
自分でもどうしたのか見当もつかなかった。
朝焼けが眩しいぜ!50UPちゃんよ!
そこで、徹底的に原因究明をしてみたんだ。
ウチの近所は、ちょっと車を走らせると、人っ子ひとりいない田園風景が広がるんだ。
だから、新型コロナ肺炎の緊急事態宣言を受けてから更に人がいなくなったって事になるよな?
それまで朝から晩まで釣りをしていたヘラ鮒のオッチャン達なんか全くいなくなっちゃったわけだ。
私は「よっしゃ〜!チャンス!ソーシャルディスタンスどころじゃないこの状況!河川は全部私のものじゃ!」と一応意味もないのにマスクをつけ、ハイシーズンにタックルを積載し、車で毎日パトロールに出かけた。
しかし、本当に人がいない。人ばかりだけでなく車も何も走ってない。。。
なんとなく、映画「猿の惑星」のラストシーンを思い出した。自由の女神が海岸に斜めに刺さった状態だ。
沼でなんども話してきたが、私のやっている釣りっていうのが特殊中の特殊だ。
ルアーは餌に似ても似つかないデザインがほどこされ、しかも水中に沈まない。ずっと水面に浮いているんだ。
8分もたたないうちに日本目ドカン!ヒュージ!
ブラックバスは日光が嫌いなので、それをさけるようにブッシュの影に隠れたり、水底に潜ってしまう性質があるため、私の釣りスタイルは、いわゆる「効率」がわるい釣れない釣りとして有名だ。
では、何故こんな釣れない釣りをやっているのか、答えは簡単だ。
まずは、ルアーが水上に浮かんでいるわけだから、ブラックバスがルアーにバイト(噛みついた瞬間)が目で見える。
これはやった事がある人でないと本当の興奮が伝わらないと思うが、
「出た〜〜〜〜〜〜っ!」
と1人で騒いでしまうほどの興奮を得る事が出来る。
おそらく(私の中では)他のどんな事より、どんな行為よりもエロく気持ちがいい。
しかし、前述したようにブラックバスは水底かブッシュの影に隠れているので、水面に浮かんでいる変な形のルアーをなかなか食ってくれない。
けれども、出たらサイズが大きいのだ。
つまり、大きな魚は効率よく(余計な動きをおさえながら)デカい餌を喰って成長し続けてきた。
例えばカエルやネズミ、そして甲殻類まであの大きな口で丸呑みだ。
10cmもあり、2ozもの重さのある水面に浮いたルアーを食うという事は、その魚はデカイ証拠なのだ。
一方、本物ソックリの擬似餌を使う釣りは細い糸を使って、水中に沈ませる。コレはずるい。
そんなら本物の餌で釣ればいいじゃんか。
しかも、魚がバイトする瞬間を見る事ができない。
ただググっとひいたら合わせるだけだ。
そして、たいがい小さめのサイズのブラックバスしか釣れない。
そしてかっこがイマイチDASAI人が多い(当社比)。
後者は「数釣り」に利があるが、我々前者のやっているトップウォーターフィッシングは「1匹の魚に命を費やす」ってわけだ。
釣り専門用語で「ボウズ」という言葉がある。
これは釣れなかった日を示す。「今日はボウズだったね」という具合に。
トップをやっているわれわれトッパーはボウズなんて日常茶飯事で、釣れる事の方が珍しいのだよ。
そこでだ、話をもどすが、私は連続して2週間のウチに7本もの50cmオーバーをボウズ無しで連続してヒットさせた。
その要因のひとつに、まずはコロナショックによる、魚への人的プレッシャーが減っているという事。
これは魚に限った事ではない。自粛により車を出さなくなり、季節もクーラーが必要なわけでもなかった。
こうした動く機械には必ず廃エネルギーを排出し、環境を乱す。
たった数ヶ月の間、すこしだけ人間が生活スタイルを変化させた事で、自然、動植物、水、ひいては地球環境を整えたのではないかと思われる。
そしてもう一つの理由がフューチャーペーシングだ。
一応申し上げておくが、私は風貌以外、けっして怪しい者ではない。(と思ってほしい)
妻であるgalcid のlenaは、普段激しいアナログシンセを使ったエクスルペリメンタルな即興演奏を世界各国で行っている。
残念ながら、4月に入っていたヨーロッパツアーも全てコロナの影響で消滅した。
しかし、この沼でも紹介したがコロナが発生する以前、昨年末からシンセサイザーを使ったワークショップを行っていた。
絵画を鑑賞してみんなで対話をする「絵画の対話型鑑賞のワークショップ」は、多くの大企業が採用するほどのコミュニケーションや心のアウトプットをするため人間に必要なプログラムだという事が証明されてきた。
しかしlenaのはじめた対話型鑑賞ワークショップは、「音」を鑑賞して対話をするというものだ。
この「音」はアレンジメントされた「楽曲」ではなく「サウンド」そのものだ。
この試みは世界初であり、ビジネスパーソンを始め、主婦、アーティスト、脳科学者、大学教授、ガテン系、元ドリフト族、パンク野郎など、様々な職種の人たちがすでに250人以上参加してくれているワークショップだ。
コロナ以前は、様々なアートスペースで行ってきたこのワークショップであったが、自粛要請にともないオンラインでの開催を継続する事になった。
それでも、毎回毎回多くの方々に参加していただいている。
なかでも、先日行ったのが「フューチャーペーシング」だ。
人間の幸福は8つのエレメントがバランスよく保たれた時に感じる、とヘンリー・キムジーハウスは提唱している。
そのエレメントとは↓にある図のものだ。
確かに、お金があっても家族とうまくいっていなければ本当の幸福を感じることは難しいだろう、また身体もそうである。
その中の「身体」の部分にフォーカスをあてたものだった。
「フューチャーペーシング」(未来体験)がとても科学的であるという事は、身を持って体験する事ができた。
近い未来の自分を、超具体的にディテールや気持ちまでをも想像してヴィジョンをイメージする。
しかも「現状〇〇だから」という制限を付けないでイメージするのがコツだ。
私だってちょっと前までは、何年も釣れない釣り人だった。(もはや釣り人と呼べるのか?)
そんな自分が、釣った時の清々しさと興奮、水を照らす夜明けの光、沼の水と自然の草が混じった匂い、虫やカエルの声、五感をフルに使って正にフューチャーペーシングしていた。
すると、自分の思ったような結果が出せたのだ。
よく考えて見て欲しい。
もともと微生物だった我々が陸上に上がりたいという願望を強く念じ、エラ呼吸から肺呼吸へ、そして二足歩行へ、さらには道具を使ってだんだん現在の人間の形になってきた事を。
たとえば「あの車が欲しい」と思った瞬間に、自己の頭の中は「あの車」の事で満載になり、アンテナを張り巡らせる。すると、すれ違ったり、止まっていたりする同じ車と、それまでより遭遇する事が多くなる。
いや、違うんだな。今までだって同じくらい遭遇していたハズなんだ。
自分がアンテナを貼っているから、そこにひっかかってくるだけなんだ。
そうしているうちに、様々な車屋さんの前を通り、「あの車」の値段や色などをさらに具体的に見ていく事なるだろう。
そうしてあなたは遂に最も気に入った「あの車」を購入する事になるのである。
ほら、夢がかなっただろ?
知らず知らずの内に「欲しい車を手に入れる」ための手段を探し始めるということだ。
私の爆釣も同様である。
「釣れない」「釣りたい」から始まって、まずは無意識に釣れる時間をねらって他のスケジューリングを立て直す(顕在意識フル可動)。
車をポイントから離して止める(魚に気づかれないため)。
息を止める。
ポイントについたらしゃがんで一服する(すぐ投げたい気持ちを抑えて)。
そして、リールの不具合が無いか、携帯電話をマナーモードにしたかなどなど無意識に確認している。
力を抜く(ここがポイント)。
「バシューン!!ジャボン!!!!!!」
ではなく、「スイ〜〜〜〜〜〜チョポン」と狙ったポイント半径5cm以内に落とす。
そして3秒ほど待ってから一度竿を振ってルアーを5cm動かした瞬間、、、、
「ドカンッ!!!!!」
実は前日の昼、galcid lenaの「音の対話方鑑賞〜フューチャーペーシング」を受けた後なのだ。
それからは毎日爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣爆釣!
自己新記録の55cmまでとった。
恐るべし正しい自己洗脳と実践。
という事でフューチャーペーシングのワークショップシリーズは人間のエレメントを構成する8つのエレメントからなりたっていますが、次回のワークショップもまたオンラインで行います。
テーマはフューチャーペーシング「心」にフォーカスを置いて行いますよ!
ぜひ、気になる方は参加して欲しい。
是非是非ご参加おまちしております。
音の対話方鑑賞「フューチャーペーシング」は釣り意外にも使えるからね。

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