DEAD ENDのメジャーデビュー作
『GHOST OF ROMANCE』で
不世出のギタリスト、
足立“YOU”祐二の
非凡なプレイを堪能
非凡なプレイを早くから露呈
話は前後するが、“それでは、DEAD END加入前、TERRA ROSA在籍中のYOUはどんなギタリストであったのか?”が少し気になって、TERRA ROSAの音源も軽くチェックしてみた。ちなみに当コラムでは昨年11月にTERRA ROSAを取り上げているのだが、そこで紹介した1st『The Endless Basis』(1987年)はYOU脱退後の作品。彼のプレイが聴けるということで、当コラム担当編集者が『Primal』を用意してくれた。これはTERRA ROSAのデモ音源を集めた作品で、全10曲の収録曲のうち、5曲をYOUがプレイしている。ここではそのひとつひとつを細かく解説はしないけれども、いずれもロックのギターらしい荒々しさを基調としつつも、イントロや間奏で聴かせる単音弾きの旋律はどれも美麗なものばかり。赤尾和重(Vo)の歌も伸びやかで広がりがあり、それでいて十分にメロディックなヴォイスパフォーマンスを見せているのだが、YOUのギターはそれと完全に拮抗している。歌とギターというふたつのメロディーが奏でるアンサンブルがTERRA ROSAというバンドの特徴であることがよく分かるのである(加えて言うと、その歌とギターに岡垣正志(Key)の鍵盤が重なることで、さらに複雑なバンドアンサンブルとなっていることもまたTERRA ROSAの特徴と言える)。『Primal』はデモ音源集だけあって音の粗さは如何ともし難いものの、YOUのプレイはそれを補って余りあるというか、プレイそのものはまったく見劣り(聴き劣り?)しないのである。
個人的には「Fridays Free Fair」が気に入った。HR/HMらしいリフものだが、自分のような半可通でも、そのビブラートやチョーキングは明らかにYOUのものだと認識できる。「Fridays Free Fair」は『The Endless Basis』にも収録されているので、せっかくの機会なので聴き比べてみた。『The Endless Basis』の時点でのギタリストには申し訳ないが、その躍動感は明らかにYOU版が上だと思う(三宅さん、ごめんなさい)。DEAD END以前もYOUはYOUのギターを弾いていたことがよく分かるテイクなので、生粋のファンはすでにチェック済かもしれないが、未体験の人には聴くことを強くオススメしたい。YOUがTERRA ROSAからDEAD ENDへ移籍するにあたっては、争奪戦が繰り広げられたとの噂も一部にはある。事の真偽はともかくとして、このプレイを目の当たりにすれば、それもさもありなんとは思う。今も『Primal』に残るYOUのプレイはそれほどまでに圧倒的だったのである。
https://okmusic.jp/news/364325
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