souzoucity「いつのまにか」繰り返される自問自答。葛藤の先にあるものは?

souzoucity「いつのまにか」繰り返される自問自答。葛藤の先にあるものは?

souzoucity「いつのまにか」繰り返さ
れる自問自答。葛藤の先にあるものは

繰り返してしまう思考の渦

「souzoucity」は、人気ロックバンド「ユアネス-yourness-」でギターを務める古閑翔平がペンネーム神村翔の名前で立ち上げた新たな音楽プロジェクトです。
このプロジェクトはクリエイターである神村翔が楽曲の作詞作曲を担当。
様々なボーカリストやプレイヤーを毎曲招き入れるというスタンスで、ジャンルの枠組みに囚われない活動を目指しています。
そんなプロジェクトの記念すべき1曲目が『いつのまにか』です。
この楽曲はボーカルを務めるnemoiの優しい歌声と、過ぎてゆく時間や流れる景色を彷彿とさせるギターとピアノが印象的な切ないロックチューンとなっています。
それでは歌詞の内容に焦点を当てて、その内容を考察していきましょう。
いつのまにか 歌詞 「souzoucity」
https://utaten.com/lyric/ni20071308
この楽曲の歌詞は何気ない頭の中の思考を描き出しているように思えます。
どうでもいいことに思いを馳せたり、思い出に浸ってしまう自分に問いかける形で物語は進んでいきます。
すぐに脳内で思いを張り巡らしてしまう自分にうんざりしつつも「いつからだっけ」とさらに自問自答。
そこから抜け出せなくなり「連れだして」と言っているのでしょう。
このくだらない夢想は誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
見え隠れする葛藤
いつのまにか 歌詞 「souzoucity」
https://utaten.com/lyric/ni20071308
まだこの脳内夢想は続いていきます。
「しのごの 言ってる間に また後退を早める」と自分でも回想することがよくないとは自覚しているようです。
ですがその後に続く後半部分の歌詞からは、回想を繰り返す自分にアイデンティティを感じているようにも思えます。
「反面教師演じてる」からは、本心で自分が「悪い手本」だと思っているとは考えにくいでしょう。
「終わらせないよ」はおそらく自分の思考のことで、自分らしくありたいと願っていると考えられます。
しかし、次の歌詞では再び思考を止めようとする言葉が登場します。

いつのまにか 歌詞 「souzoucity」
https://utaten.com/lyric/ni20071308
「何も想い出さないよう 校庭に 隠してしまおう」と思い出を全て捨てるような発言が飛び出します。
続く「根性無しな 私を笑わないで」というセリフから、その思い出を捨てることができなかったことがわかります。
どうやらこの思い出は自分にとって辛いものであると同時に、捨てがたいものでもあるようです。
捨てることができない思い出とは?
思い出すことが辛いけれど捨てることのできない思い出とは一体なんでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのは、恋の思い出でしょう。
ここまでの歌詞が過ぎ去った恋の思い出に対して言及しているものだとすれば、煮え切らない態度にも説明がつきます。

いつのまにか 歌詞 「souzoucity」
https://utaten.com/lyric/ni20071308
僅かに違う言葉が繰り返されるサビの歌詞は、繰り返してしまう思考を表現したものでしょう。
ですが「何が見えていたのか」その内容を知る術は、歌詞には見当たらないように思えます。
逆に言えば、聴く側の判断に任せた想像の余地がある歌詞と捉えることもできるでしょう。
歌詞と必ずしも関係しているとは言えないですが、ジャケットのアートワークを見るとベットにはもう一つ枕があり、もう一人分のスペースがあることがわかります。
このことから「見ていた」ものは、いつも隣にいるかつての恋人の姿であり「この場所」「その場所」とは、恋人の隣ではないかと考えることができます。
隣に居なければ寝言は聞こえないですからね。
やはり、この歌詞は過去の恋人との思い出を忘れることができない様子を描いたものなのでしょう。
目を閉じるまでもなく、美しい思い出が頭を支配してしまう。
それはとても辛いことだけれど、捨てることは絶対にできない。
そんな葛藤を『いつのまにか』は描いています。
これはあくまで個人の見解ですが『いつのまにか』のサウンドは、その辛い葛藤の時間も少しずつ進んでいくことを表現しているように聴こえます。
▲souzoucity「いつのまにか」Official Music Video
特にイントロや間奏に入るギターリフとピアノの旋律は、流れてゆく時間を想起しやすいです。
歌詞とサウンド、その両方を理解して初めて、この楽曲に込められたテーマは浮かび上がってくるのではないでしょうか?
ぜひ『いつのまにか』を聴いて、物語の隙間を自分で埋めてみてください。

TEXT 富本A吉

アーティスト

UtaTen

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