Easycomeが自分たちの音楽で描こうと
しているものとは? バンドの第2章
のはじまりを告げる最新EP『レイドバ
ック』から探る

Easycomeの音楽には、あてない旅路を放浪するような、“ここではないどこか”へと連れ出してくれるような、心地好い開放感があふれている。2015年に大学のサークルで結成され、メンバーチェンジを経て、2018年に現在のメンバーになった彼ら。昨年(2019年)リリースされ、タワレコメンにも選出された初のフルアルバム『Easycome』は、シュガー・ベイブティン・パン・アレー山下達郎松任谷由実といった、現在のシティポップ・ブームの源流にあるアーティストを好んで聴いてきた自分たちのルーツを咀嚼したうえで、現代を生きる若者らしい感性が溶け合い、Easycomeが“自分たちが鳴らしたい音楽はこれだ”という確信を掴みとったような一枚だった。その作品を引っさげた初のワンマンライブは大阪・東京公演ともにソールドアウト。大きな達成感とともに、バンド活動にひとつの区切りをつけたEasycomeが、“バンドの第2章のはじまり”を告げるのが、7月15日にリリースされた最新EP『レイドバック』だ。前作で得た確信をさらに推し進め、いまEasycomeが自分たちの音楽で描こうとするものは何なのか。メンバー全員に話を聞いた。
――前作アルバム『Easycome』を引っ提げたワンマンライブでは、“第一章の終わり”を宣言したそうですけど、ここで“ひと区切りだ”と思った理由は何だったんですか?
ちーかま(Vo):言いましたね(笑)。ただ、“第一章の終わり”と言っても、何かが明確に変わるわけではなくて。自分の気持ちが変わったのが大きいんです。いままではバンドをやるうえで、自分たちが楽しむためっていう部分が強かったんですけど、今回、初めてワンマンをするってなったときに、来てくれるお客さんに、“より楽しんで帰ってほしいな”とか“好きになってもらいたい”“喜んでほしいな”みたいな気持ち強くなって。
――バンドが自分だけのものではなくなったような感覚ですか?
ちーかま:そうですね。聴いてくれる人のことを考えるようになりましたね。
――他のメンバーも、“ひと区切り”という気持ちは共有していたんですか?
johnny(Dr):僕は、前回のアルバムから加入したんですけど。一緒にアルバムを作ったり、初めてのワンマンツアーをやったなかで、行ったことのない土地でも待ってくれている人がいるのを実感して、もっと自分たちの音楽を届けたいなと思うようになりましたね。
落合(Gt):僕もワンマンでアンケートを読んだら、そういう気持ちが芽生えました。
ちーかま:今回、ワンマンのときに、来場者アンケートを書いてもらったんですよ。それを読んで、よりその気持ちが強くなった……っていうことを落合は言ってます。
――(笑)。落合くん、そのときにもらった手紙で印象に残った言葉はあります?
落合:全然関係ないけど、“MCは関西弁に限る”って書いてあって……。
コダマ(Ba):あはは、あったね(笑)。
落合:そういうのを読むのはおもしろかったです。ふだんステージでは緊張するから、客席を全然見れないんですけど。“あ、みんな、こんな熱量を持って、僕たちのことを見に来てくれてたんだ”って。そういうのを感じましたね。
Easycome/ちーかま(Vo,Gt) 撮影=Misa Shinshi
遊び感覚でバンドをはじめて。誰もお客さんがいないのに、自分たちの音楽に自信はあって(笑)。それだけで、がんばってきましたね。
――もうひとつ、あのタイミングで“ひと区切り”と言えた理由として、前作アルバム『Easycome』が、バンドの集大成とも言える作品になったことも大きいんじゃないかなと思いました。『風の便りをおしえて』『お天気でした』っていう2枚のミニアルバムを経て、ちゃんとバンドのルーツに根差したかたちで、Easycomeとしてのオリジナリティを確立できた作品だったんじゃないかな、と思うので。
落合:うん。その手応えはめっちゃありましたね。それまでも、自分のなかで“いいな”と思う作品を作ってきてはいたんですけど。『Easycome』は、どこに出しても恥ずかしくない、「これがEasycomeの音楽です」って、胸をはって言える作品だったので。
コダマ:初めてのフルアルバムとして、ちゃんとまとまりがある作品を作れたんですよね。“いま、落合がこういう音楽にハマってんねんな”っていうのを、ある程度、みんなで意志疎通しながら作ったんです。ちょうどjohnnyさんが入って初めてのアルバムだったんですけど、johnnyさんの趣味が落合に良い影響を与えたこともあって。
johnny:僕はこのバンドに入る前から、70年代の日本の音楽が好きだったんですけど。Easycomeを初めて聴いたときから、“シュガー・ベイブっぽいな”って感じていたんです。
コダマ:このバンドが共通して影響を受けているのは、シュガー・ベイブとかユーミンですからね。各々のパートとしても好きですし。
johnny:だから、それをもっと掘り下げていったら、良いものができるんじゃないかっていうのは思ってましたね。
――そこを掘り下げていくと、山下達郎、ティン・パン・アレイ、はっぴいえんど、ナイアガラっていうふうに、どんどんハマっていきそうですね。
コダマ:落合なんかは、そこからさらに掘り下げて、そういう人たちに影響を与えた同じ時代のアメリカの音楽とかも聴いて、影響を受けてますね。
――ここ数年は日本でも海外でも、シティポップ系と言われるバンドが増えていますけど、そういう新しいものではなく、その原点とも言える70年代の音楽に惹かれるのは、なぜでしょう?
落合:ああ、なんやろう……。
johnny:いま聴いても古く感じないところですかね。あと、バンドの演奏に人間らしいところを感じるというか。それが楽器とか歌に表れてると思うんです。
コダマ:僕らからしたら、もはや古い音楽だとか思ってないところもありますね。“それをいま掘り返してやったら、新しいんじゃないか”とか、正直、そういう策略はまったくないんですよ。僕らは4人とも、そういう音楽をリアルタイムぐらいのテンションで、“めっちゃ良いよね”って言いながら聴いてるので。もちろんメンバー同士で“73年は名盤が多いよね”とか、マニアックな話もするんですけど。純粋に真似したい、こうありたい音楽がそこにあっただけ。根本はそういうスタートなんだと思いますね。
――ちーかまさんは、どうですか。自分たちの音楽の原点に70年代的なエッセンスがあることは、バンドの強みだと思いますか?
ちーかま:私は、そこまで細かくギター、ベース、ドラムのことはわからないんですけど。自分たちのなかで、“こういうものを目指したい”っていう憧れがあって、そのやり方を最初から知ってる人に全部教えてもらえる環境じゃなかったのも良かったと思うんです。1枚目、2枚目と、自分たちの理想に近づけていく作業を通して、フルアルバムにつなげていけたんですよね。みんな同じものが好きっていうのを感じながら……でも、いい意味で、私はあんまりその年代感を意識しすぎずに歌っているんです。
――うんうん。そのバランスは絶妙だなと思いました。演奏にはルーツっぽい匂いがふんだんに盛り込まれてるのに、歌がそこに寄せ過ぎていない。
コダマ:ですよね。3人で練習しているときとか、歌を入れる前に、楽器を重ねてる途中の段階では、落合がデモを歌っているんですけど、めちゃくちゃおじさんの曲なんですよ(笑)。
――前作『Easycome』はイントロが渋めな曲が多かった。
コダマ:「Caravan」とか「パラシュート」とかそうですね。けど、ちーかまが歌うことで、いまっぽい感じになるから、一気に安心するんです。
落合:コーラスも全部ちーかまがひとりで考えて、ひとりで歌っているんです。俺らがやったら、めっちゃそれっぽいやつしかできないんですけど。ちーかまから思ってもいないコーラスが返ってきたりして、おもしろいものになっていくんですよね。
Easycome/johnny(Dr) 撮影=Misa Shinshi
落合のわかりやすすぎない歌詞もいいなと思うんですよ。聴けば、聴くほど、何かが見えてくる感じがして。
――ちなみに、Easycomeは女性ボーカルの脇を男性の楽器隊が固める4人組ですけど。バンドを組むときに、この編成にこだわりはありましたか?
ちーかま:いや、それは、たまたま私が歌だったからだと思います(笑)。
――シュガー・ベイブに影響を受けているとなると、女性ボーカルの脇を、男性のスーパープレイヤーが固める、ああいう形態に憧れがあるのかなと思ったんですけど。
コダマ:それは後付けですね。あとになって、自分たちのルーツがそこにあるって考えたときに、そういうふうに思ってもらえたら嬉しいなっていうぐらいですかね。
――そうなんですね。では、結成5年目にして、“第2章のはじまり”を告げるということで、いままで自分たちが歩いてきた5年間というのは、どんな時間だったと思いますか?
コダマ:どんな……?
――客観的に見ると、ものすごいスピードで駆け上がるわけではないけど、着実に前に進んできたのかなと思っているんですが。
ちーかま:たしかに、自分たちでもあんまり速くはないと思うし、ゆっくりゆっくりやと思うんですけど、想像してなかった経験がたくさんできたと思います。結成当時は、私も落合も大学1年生で、遊び感覚でバンドをはじめたんです。誰もお客さんがいないのに、自分たちの音楽に自信はあって(笑)。それだけで、がんばってきましたね。
johnny:ちーかまの言うように、毎年新しい経験ができて、広がりを感じながらやれたのは良かったですね。作品を出したら、ちゃんと反応もあって。あっと言う間でした。
コダマ:特にjohnnyさんは(あとから加入したから)怒涛の日々やったよな。
johnny:うん。僕が初めてこのバンドでドラムをつけたのが(『Easycome』収録の)「旅気候」で。それまで、あんまりオリジナル曲をやったことがなかったから必死だったんです。前にもバンドはやってたんですけど、そこでは、曲を作る人がリズムパターンを予め決めていたので。“こんなにいっぱいドラムを作れるかな?”っていう不安はあったんでけど、落合が作る曲がおもしろいから楽しいんですよね。
コダマ:僕も、落合の曲だから、このバンドを続けたいと思うようになりましたね。僕は、大学を卒業して、働き始めてからEasycomeを始めたんですよ。そういう衝動って、ふつうやったら、落ち着いてくるというか。現実が見えてきて、そろそろ潮時かなってなると思ってたんです。でも、逆なんですよね。
――年を重ねるごとにバンドへの熱量が上がっていく感じ?
コダマ:そうです。どんどん楽しくなっていく。
落合:5年間で「解散しようか」っていう話とかも一度もないですからね。
――バンドを組んだときから、“絶対、バンドで成功するんだ!”っていう感じではなかったかもしれないけど、5年間活動していくなかで、“もっと良いバンドになりたい”とか“もっと聴いてもらいたい”っていう想いが強くなってきた?
コダマ:そんな感じだと思います。
――で、そんなバンドのムードのなかでリリースされるのが、『レイドバック』になるわけです。今作を作るうえで、目指したことは何かありましたか?
落合:あー……特にないですね。
――なるほど(笑)。じゃあ、『レイドバック』っていうタイトルを掲げたのは最後?
ちーかま:私たちはタイトルを最後につけることが多いんです。で、いままでの作品で言うと、2枚のミニアルバムは曲名からとって、ファーストアルバムはセルフタイトルやったので、今回はアルバムに対しての独立した言葉をつけたいねって話してたんです。でも、全然思いつかなくて。悩んでたときに、ジャケットを考えてくれたデザイナーさんのEasycomeに対するイメージがヒントになったんです。
――都会の道路のど真ん中にダイニングテーブルが置いてあるイラストですね。
ちーかま:あれは、都会の街並を歩いても、Easycomeを聴いたら、Easycomeの空気感になれる、ひとつの世界観に浸れるっていうコンセプトなんです。そこから、“私たちの音楽って、どういう印象をもたらすものだろう?”っていうのを、みんなで出し合ったなかで、落合が「レイドバック」って言い出したんですよ。
落合:でも、あれは……(笑)、正直に言うと、友だちと飲みながら、“なんか考えてや”って、適当に出したやつのなかに、「レイドバック」があっただけなんです。それが、たまたまちーかまが考えてたことにマッチして。
ちーかま:バンドが与える印象とか、私たちの人柄とか人間性にも通じるところがあるし、自分たちにぴったりのタイトルがつけられたかなと思います。
――スピード感の速い現代社会のなかで、ふっと心が落ち着くような音楽を鳴らすのがEasycomeであると?
ちーかま:そう、マイペースにいこうって感じですね。
コダマ:“みんなが思ってる僕らのイメージって、そうやね”っていう話で盛り上がったよね。原っぱでピクニックシートを広げて、みたいな。よく“風を感じますね”とか言われるんですけど、僕らは全然それを狙ってなくて。演奏には力が入ってるし(笑)。でも、それはそれでおもしろいから、「レイドバック」がいいねってなりましたね
――今作を聞かせてもらって、個人的にはメロディの訴求力があがったというか、歌が力強く感じました。メロディに対する意識が変わった部分はありますか?
落合:どうなんですかね……あんまり深く考えて作り始めるわけじゃなくて。僕の感覚としては、何も考えてないかなあ。
johnny:でもさ、前作『Easycome』は、“演奏が難しそう”って感想をたまに言われたじゃない? 僕はそれを気にしてて。もっと素直に歌の要素が入ってきてほしいなって思ったんですよ。だから、僕は、ですけど、歌がいちばん最初にぐっと届くように、リズムは極力シンプルに心がけましたね。
落合:じゃあ、johnnyのちからですね(笑)。
コダマ:あと、前作のときは、落合なりのコンセプトがあって、“こういう10曲をそろえたい”“絶対10曲で”って決めて作ってたんですよ。でも、今回のEPを作るってなったときに、ミニアルバムのときと同じように、とりあえずできた良い曲を入れていったんです。落合の、1番だけの弾き語りのなかから、単純に“メロディがいいね”っていうのを選んでいく。そこからスタートしたのは大きいと思います。
Easycome 撮影=Misa Shinshi
――話を聞いてると、作詞作曲をしてる落合くんよりも、周りのメンバーのほうが自分たちの作品について、客観的な視点で語ってくれるんですね。
コダマ:まあ、作ったときに、落合と一緒にこういう話もしたんですけどね。(落合は、喋るときに)言葉が出てくるのに時間がかかるタイプなんです(笑)。
落合:そうね(笑)……たしかに前のアルバムは、僕のなかでこだわりが強かったけど、今回はフラットな感じだったのが違うかもしれない。うん、たしかに、そうだ。
コダマ:さっき僕が喋ったやつは落合の発言にしといてください(笑)。
――(笑)。メロディの訴求力と関連するかもしれないですけど、ちーかまさんのボーカルが表情豊かに聴こえたのも印象的でした。
ちーかま:そこも変わりましたね。いつもは私とエンジニアさんだけで歌を録っていたんですけど、今回は初めてディレクターの方に入っていただいたんです。いままでは、自分のなかでボーカルに対する正解があって。いい意味で感情を抜く作業が多かったんです。基本的に感情が控えめだけど、たまにふっと出てくる感情が味わい深いから、シンプルにしようって心がけてたんですけど。今回、ディレクターさんが“感情表現を大袈裟に入れたい”って提案してくれて。最初は、大袈裟になりすぎるのはどうかな?と思ってたんですけど、実際にやってみたら、意外といいかもっていう発見があったんです。ちょっとエモーショナルな感じで歌ったり、逆に感情を極限まで引いた曲もありますね。
Easycome/コダマ(Ba) 撮影=Misa Shinshi
歌詞を見ても“落合、怒ってたことがあったんや”とか具体的には思い浮かばない。わからないことのほうが多いけど、ちょうどいい共感があるんですよね。
――今回、ちーかまさんの感情をのせた歌唱が似合うのは、落合くんが書く歌詞も、いままでよりストレートになってるからかなと思うのですが、どうでしょう?
落合:僕的には、今回の歌詞はお試しというか……。前回のアルバムで、抽象的な書き方を散々やって、それがひとつの自分の答えだったんですよ。でも、聴く人からしたら、わかりづらいかもしれないっていうのもあって。今回はちょっと変えてみようかなと思って、そのまま書いてみてる部分はありますね。
――たとえば、「描いた果実」では、はじめは“すべてを決めるのは誰だ”っていう迷いを歌ってるけど、最終的には“すべてを決めるのが僕なら”って、自分のなかにひとつの答えを出してて。葛藤を吹っ切るような力強さがありますね。
ちーかま:「描いた果実」は、いつもと違うけど、落合らしい歌詞ですよね。
コダマ:この曲だけ、落合は周りに相談をしなかったんですよ。他の曲に関しては、いろいろな人に“どう?”って相談してて。もともと途中の歌詞は一切見せないタイプだから、そんなんも珍しいんですけど。でも、「描いた果実」に関しては、歌入れ直前まで誰にも見せなかったから、いい感じで書けたんだと思いますね。
――落合くんのなかで、今回のEPを通じて、ソングライターとして殻を破ろうという想いが強かったんですか?
落合:まあ、自然な流れでしたね。いままでだったら、自分のリアルな感情を書くなんて絶対にやらないと思ってたけど、今回はふつうにやってみたっていう感じで。
johnny:僕は、落合のわかりやすすぎない歌詞もいいなと思うんですよ。聴けば、聴くほど、何かが見えてくる感じがして。
コダマ:落合さんって、本当は言いたいことがたくさんある人なんですけど、こういうインタビューでは、全然喋れてないじゃないですか。
――ええ、雄弁なほうではないですね(笑)。
コダマ:実際、僕が一緒にいても、“何を考えてるんやろな”と思うことがあるんです。歌詞を見ても、“落合、怒ってたことがあったんや”とか、“めっちゃ辛いことあったんや”とか具体的には思い浮かばない。わからないことのほうが多いけど、なんとなく“いいな”って思う。それぐらいのちょうどいい共感があるんですよね。そのぶん、各々が解釈しやすい歌詞になるっていうのは、落合の性格が出てると思います。
Easycome/落合(Gt) 撮影=Misa Shinshi
いままでだったら、自分のリアルな感情を書くなんて絶対にやらないと思ってたけど、今回はふつうにやってみたっていう感じで。
――では、ラストナンバーとして再録されている「crispy crispy」について聞かせてください。軽やかに跳ねるグルーヴ感が気持ちいい、陽気な曲です。過去に会場限定の1stデモに入れていたそうですけど、初のオリジナル曲だったんですか?
コダマ:もう1曲、落合が作った「夢中にならないで」(『Easycome』に収録)と同じくらいにあった曲です。サークル時代に初めてオリジナルでやった曲のひとつですね。これは、本当に歌詞に中身がないです。聞かれる前に言いますけど(笑)。
――コダマくんの作詞作曲ですね。当時、そろそろオリジナルをやるバンドに移行したいっていう想いがあって作ったんですか?
コダマ:そこまで深い意図はなかったですね。遊びで作ったら、すぐに落合がコードを作ってくれるし、ちーかまが歌ってるから、僕が嬉しいっていう。それだけの曲でした。
――タイトルからスピッツの『Crispy』を連想しますけど。関係はありますか?
ちーかま:あ、あります。コダマさんが覚えてるかはわからないんですけど、当時、私がTwitterで、“オリジナルアルバムを作るなら、こういう曲を入れる”っていう謎のタイトルを5曲ぐらいを書いて、ツイートしてたんですよ。そこに「crispy crispy」が入ってて。それを、コダマさんが拾って作ってくれたんです。で、その「crispy」は、私がスピッツの『Crispy』っていうアルバムが好きで、とったものだったんです。
――どうして、このタイミングでEPに収録しようと思ったんですか?
コダマ:どうせなら入れたかったっていう感じですね。最初は、「夢中にならないで」と「crispy crispy」のふたつで押し曲ができたねっていう感じだったんですけど、そのあと、どんどん落合が曲を作れるようになって、落合の曲がEasycomeのイメージとして定着したから、「crispy crispy」を入れる隙がなくなってたんです。で、今回、5曲を録るって決めたときに、全部がバラバラな曲調がいいねっていうのもあって。どうせだったら、いまのテイストに合わせて、アレンジを変えたんです。先にベースラインだけ大胆に変えたから、johnnyさんと落合とちーかまは困りながらの作業だったと思います。
johnny:この曲には、コダマが好きって言ってる、ブラックミュージックみたいなテイストがあるんですよね。『Easycome』っていうファーストアルバムを経て、テクニックとかアレンジに深みが出たからこそ、良いエッセンスが入ったなと思いました。
落合:こんなに生まれ変わるかって感じですね。
――最後に、今作を作り上げて、自分たちでは“第2章のはじまり”に相応しい作品になったと思いますか?
ちーかま:さっき、コダマさんも言ってましたけど、今回は、アルバムのときみたいにコンセプトがあったわけじゃなくて、単純に良い曲を入れて作ったEPだったんです。それが、同じように作った1枚目、2枚目とは全然違うものになったのは、自信になりましたね。実は、もう次の作品に向けて、“こういうのをやってみよう”ってイメージもあるんですよ。逆に言うと、今回はこういうのができなかったっていう悔しい部分があったりもしたので。それも含めて、次につながる一枚になったと思います。
取材・文=秦 理絵
Easycome 撮影=Misa Shinshi

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