サイダーガール、kobore、the shes
goneが出演の『GREENSPARK2020』をF
M802 DJ 高樹リサがレポート

2020年7月19日(日)に開催された『GREENSPARK2020』のオフィシャルレポートが到着した。

7月19日(日)、関西のコンサートプロモーター・GREENSがオススメするアーティストを紹介するイベント『GREENSPARK2020』が急遽復活し、大阪城音楽堂にて開催となった。
このたったの2行は5ヶ月前なら何とも思わなかっただろう。新型コロナウイルスに脅かされる世の中が来るまではーー。
FM802 DJ 高樹リサ
この春から私たちの身の回りの生活は一変し、心の支えとも言えるエンターテイメントは端に寄せられてしまい、アーティストそれぞれの試みで、配信ライブという形式も増えて来たが、届け手の彼らもやっぱり生のライブに勝るものはない……と言うだろう。
そんな前置きも踏まえると、無事に開催できるのだろうか?チケットを購入しながらも不安に感じていた人も多いはず。それまでの週末が雨続きだったこともあり、天気も心配であったが、当日は久しぶりの晴れ。梅雨の切れ間、大阪城音楽堂でのライブにピッタリな気候となった。
会場ではスタッフによる積極的な注意喚起が行われた。入場者は入場前に検温やイベント専用個人情報登録フォームへの事前登録に協力してもらい、もちろんマスクの着用は必須。ソーシャルディスタンスを確保した座席指定、これまでには見なかった客席の雰囲気に少しの緊張感を感じながらも、17時に開演。
そんな緊張の糸を優しく包み込んで解き放ってくれたのはトップバッターのthe shes gone。オープニングは「緑とレンガ」。彼らが音を奏でる度にふわりふわりと風が吹く。手拍子を促すと「今日を甘い記憶にしてみましょうか」と兼丸(Vo.Gt)。1st mini album『DAYS』から「甘い記憶』続いて2nd mini album『MORE』から「シーズンワン」へ。曲が進むにつれ、オーディエンスの手が音に合わせ高く上がる。「今日はどうぞよろしく~!」とMCタイムへ。
the shes goneにとってもこれが約5ヶ月ぶりのライブ。「天気も暑くて、気持ちも熱い」とDaishi(Ba)。この日楽器の一つかのように鳴り響いていた蝉の鳴き声にも触れながら最後まで一緒に楽しみたいと4曲目「想いあい」へ。待っていましたと客席からは歓声がじわりと広がる。淡いムラサキ色の照明を背景にみずみずしいギターと熱っぽいメロディを噛み締め「ふたりのうた」へ。「自分のことだけ考えるのではなく、性別や年齢、肌の色瞳の色が違っても誰かを想う気持ちを込めた」と兼丸がいうように、<あなたにとって、私にとって、大切なものって何だろう>とその歌詞たちは優しく私たちに問いかける。だんだんと盛り上がりを見せるドラムの音は彼ら自身の心の成長も表しているんだろう。大きな拍手が会場に響くと、最後のMCへ。
the shes gone
「こんな最高な日にライブができてとても幸せ。できることなら、年内にまた大阪のみんなに会いに来たい」と大阪への愛も。そしてラストに奏でたのは「春の中に」。時期に関係なく、春をテーマにした曲を作りたかったと、今年の5月末にリリースした通信販売限定のシングルだ。兼丸が「あなたの心に力を添えられる曲になれれば」と話し、爽やかなメロディが流れ込むと、楽曲に宿る春の温かさが、距離の取られた客席をもぴっちりと埋め尽くす。「大丈夫」この言葉にきっとみんな救われただろう。ずっと聴いていたくなる余韻にたっぷりと酔いしれながら、大きな拍手でメンバーを送り出した。
2組目に登場したのは東京・府中から4ピースバンドkobore。サウンドチェックから元気が溢れていた彼らの第一声は「ピース!!」「過去を洗い流しに行こう!」と「ヨル ヲ ムカエニ」でスタート。忘れないようにこの瞬間を焼き付けておきたい、ワクワクが止まらなくなった。
「ティーンエイジグラフィティー」へ続けると、<おろしたてのニューバランス履いて大阪の街まで行こう>、<イヤホンから漏れるthe shes gone>と歌詞の言い換えで会場をさらに盛り上げる。さらに「GOLD」「スーパーソニック」へ続けると、マスクをしていても口ずさんでいるのがわかるようで、会場により一体感が生まれた。
「前のりで大阪に着いて、この1日のために寝れなくて、遠足の前の日の小学生みたいだった。晴れてよかった。笑って行こう!」と佐藤 赳(Gt.Vo)のショートMCを挟むと8月5日にリリースされるメジャーデビューアルバム『風景になって』より「HAPPY SONG」を披露。koboreのカラフルなグッズタオルを肩にかけたライブキッズたちが夕日に照らされ、キラキラして見えた。「止まるな!やるしかないんだ!止まるなテレキャスター!」の掛け声をきっかけに「テレキャスター」へ。止まることなく「幸せ」「ヨルノカタスミ」へと続くと客席ではより強く握られた拳が宙に浮かぶ。そう、この景色をライブハウスで見たい……、と、そう思った人もたくさんいただろう。
kobore
夕暮れに空を飛ぶ飛行機を例に挙げて、当たり前の景色がありがたく思えてくると話しながら「当たり前の日々に」が始まると「死にたくなければ手を洗えよ、大切な人を守りたきゃうがいしろよ」と佐藤。当たり前が曖昧になってしまう日々に愛を届ける。一曲でも多く聴いて帰って欲しいという想いからMCはタイトに持ち時間いっぱい演奏するため、当日その場で「FULLTEN」を追加したそう。koboreのまっすぐなパワーを受け取った観客たちの笑顔は、きっとマスクをしていてもくっきりと見えていたに違いない。
『GREENSPARK2020』、3組目。ラストを締めくくったのは変幻自在の「炭酸系」ロックバンドことサイダーガール。サイダーのキャップが空いてしゅわしゅわとコップに注がれていくSEとともにメンバーが入場。メジャーデビュー曲「エバーグリーン」で幕をあけると「パレット」「ばかやろう」と疾走感のあるパワーチューンが続いていく。17時から始まったイベントも19時を過ぎて、すっかり日が落ちた大阪城音楽堂は煌びやかな照明に照らされダンスホールに。
自由に踊り出す観客たち。リズムに合わせてクラップクラップ。
「ありがとうございます!お久しぶりです!」とYurin(Vo.Gt)が話し始めると、ゆるりとMCタイムに。「マスクの中では声を上げてくれてると思いますが、フジムラさん(Ba)が煽り出しても無視してもらって……」とメンバーもいじりつつライブではおなじみの導入部分を経て「化物」へ。軽快なピアノの旋律が駆け抜ける「アンブレラ」を披露すると再びMCへ。自粛期間中は何をしていたかという話から、フジムラは運動不足で腰を痛めていたり、Yurinは虹プロジェクトにハマったとJ.Y.Parkのモノマネも披露し観客たちの笑いを誘った。知(Gt)は「こうやって集まってくれるみなさんのおかげでライブってこういうものだったなと思い出すことができてありがたいです」と冷静に話すと今年7月に配信リリースされた新曲「ID」へ。
「お互い元気に生きてまたライブハウスで会いましょう」という誓いとともに「約束」を披露。
<不確かだって構わないで未来に行くよ>会場にいた全ての人に希望の橋をかけると最終曲『週刊少年ゾンビ』へ。
サイダーガール
「また会える日まで、みんなに会えてよかったです!」とステージを後にしたのも束の間、アンコールへ。「有り余っている元気を全部出していけたらな」と「メランコリー」のイントロが始まる。リズムに合わせてグルグル手を回すオーディエンス。間違いなく全員の手が宙を回っていた。歓声とともに会場が最高潮に弾けると『GREENSPARK2020』は幕を閉じた。
音楽はそれぞれの場所で好きなスタイルで聴くことができるが、ライブは作り手から直接大音量で受け取ることもできる。そのありがたさを噛み締める幸せな1日になった。そして、この感動を当たり前に感じることができた今までの日々を1日でも早く取り戻したい。
日々状況が変わる中で、関東から駆けつけてくれた3組のバンド達に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたい。音楽の力はあったかい。この場所を守っていこう。
取材・文=高樹リサ(FM802) 撮影=松本いづみ

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