TEAM SHACHI、日高央やMCUもゲスト出
演した初無観客ライブを通して伝えた
グループの“タフさ”ーー「私達はど
んな状況もポジティブに楽しむプロ」

無観客ライブ『TEAM SHACHI Tour 2020〜異空間〜:Spectacle Streaming Show ”ZERO”』2020.07.28
愛知県名古屋市を拠点に活動する人気アイドルグループ、TEAM SHACHIが7月28日(火)、無観客ライブ『TEAM SHACHI Tour 2020〜異空間〜:Spectacle Streaming Show ”ZERO”』を無料配信した。
同ライブはもともと、2月15日から始まった全国ツアーが新型コロナウイルスの影響で公演中断・延期になったことを受けて、企画されたもの。「無観客でも画面越しでも、音楽を通して、今だからこそ“THIS IS SHACHI”を届けたい」という想いで、メンバー、スタッフが初の無観客ライブを実現させた。
18時の開演前には、すでに多くの鑑賞者が視聴をスタンバイ。「タフ民」と呼ばれるTEAM SHACHIのファンだけではなく、YouTubeでのチャット欄には「モノノフ(ももいろクローバーZのファン)です」と書き込む姿も目立った。そうやってチャットをしながら鑑賞できることが、オンライン配信の特徴的なおもしろさ。
「緊張してきた」「絶賛待機」など続々と書き込まれる投稿のあいだを割って、TEAM SHACHIの公式アカウントが「ドリンクやお菓子の準備は完了していますか?」と呼びかけるなど、テンションを高めていく。
そしていよいよ開演。カメラは、舞台裏で円陣を組んで気合をいれるTEAM SHACHIの姿を映し出す。そしてメンバーはステージへと駆け出していく。ここでまず、オンライン配信ならではの映像を駆使した演出。グループの語源となっている海洋動物、シャチの生体特性の分析映像が映し出される。チャット欄には「NHKの特番みたいだ!」というナイスな指摘があった。
『TEAM SHACHI Tour 2020〜異空間〜:Spectacle Streaming Show ”ZERO”』 撮影=笹森健一
1曲目は初だしの新曲「SURVIVOR SURVIVOR」。予想外の開幕曲にどよめくチャット欄。曲調はミドルテンポ。<フューチャー><負けなんか知らない>といったポジティブなワードが並び、苦しい社会状況にぴったりの力強いメッセージソングとなっている。拳をつきあげて、聴き手を鼓舞するようなパフォーマンスがシンボリックだ。そしてライブ開始からわずか5分、この1曲の演奏中に「#シャチZERO」はTwitterのトレンド入りを果たした。
続く「DREAMER」で、トランペットやサックスなどのホーンセクション、さらにギターのmasasucks (the HIATUS)、ドラムのtatsuya amano(crossfaith)、ベースのMIYAが登場。ホーン隊・ブラス民はメンバーの動きにあわせて横並びになったり、リズムに合わせて足を跳ね上げたりして、パフォーマンスをより華々しく魅せる。グループの自己紹介曲「Hello, TEAM SHACHI」では、分割画面でメンバーの仕草をとらえていく。4人はいつものように、自分のパートでは耳に手を当てる。「画面越しからみんなの声を聞かせて」と発信しているみたいだ。
撮影=笹森健一
4曲目はアッパーなノリの代表曲「ROSE FIGHTERS」。歌い出しでは4分割画面でメンバーそれぞれのシルエットを映し出し、そこから勢いよくAメロへとなだれこんでいく。バンドから放たれる凄まじい音圧に負けないくらいの力強いボーカル、そして久々のライブで元気が有り余っている様子で体を動かすメンバー。一方で4人の歌のハモりのバランスもお見事で、パワーとテクニックの両面で楽しませた。秋本帆華、大黒柚姫が身を寄せ合って歌う可愛らしさもあり、画面映えも抜群。
「わたしフィーバー」は1990年代ポップパンクを彷彿とさせる曲調とあってバンド編成が生きている。メンバーとブラス民の振付もきっちりシンクロしており、この日のために全員で入念にレッスンをしてきたことをうかがわせた。
masasucksが激しくギターをかき鳴らし、tatsuya amanoのヘヴィなドラムがズンとくる「YOU!」では、サビに差し掛かるとそのタイトルにちなんでチャット欄が「温泉(湯)マーク」でずらりと並んでわき上がる。「よろしく人類」はメンバーとブラス民の構図が良く、画面フレームのなかに人物がどのように映るかを、撮影チームがかなり意識している印象。メンバーを中日ドラゴンズ、名古屋グランパスエイトなど名古屋をフランチャイズとするスポーツチームのユニフォームを着て、「頑張れ名古屋!」とエールを贈る。<長い夜が開けてくよ>という歌詞も、今の情勢を照らし合わせた願いのように聴き取れた。
撮影=笹森健一
前半戦のハイライトとなったのは、8曲目のバラード「カラカラ」だ。ピアノを弾く指をカメラは寄りでとらえる。そして少しずつ引いていくと、演奏しているのが大黒柚姫だとわかる。チャットのタイムラインは「ゆずき!」と驚きの声。大黒柚姫はしっとりと弾き語り。そのバックでは、秋本帆華、咲良菜緒、坂本遥奈が声を重ねていく。そこにサックスのムーディな音色がとけあう。TEAM SHACHIのレパートリーが増えた瞬間だった。
「シャンプーハット」では川谷絵音ゲスの極み乙女。)が制作したキュンとくる歌詞とメロディに、水玉模様の映像とシャボン玉の演出が合わせられ、「かなた」では4人の結束力ある歌声で視聴者の気持ちを温めていく。
撮影=笹森健一
11曲目「Rocket Queen feat.MCU」では、坂本遥奈の「カモン、MCU」の呼び込みでKICK THE CAN CREWなどで知られるMCUが登場。MCUのラップにあわせてメンバーは、ブルードウェイミュージカル『ウエストサイド物語』を連想させる振り付けで楽しませる。曲が終わってこの日はじめてのMCコーナー。ライブの模様を裏から見ていたというMCUは、「かっこいい!」と絶賛。また緑のタオルを持参していたことから、「手羽先キミドリ」をテーマカラーとする坂本遥奈推しであることが判明(?)した。
撮影=笹森健一
続いては、2人目のコラボとして日高央が登場。日高央は「SHACHIの4人が日本を元気づけています!」と声をあげ、提供曲の青春パンク「Rock Away」をギター演奏。成長著しい咲良菜緒のボーカルや、高い評価を集める坂本遥奈のソロダンスが目立つ同曲。往年のパンクバンド、ラモーンズの「Blotzkrieg Bop」のオマージュ的な<Hey!Ho!Hey!Let’ s Go!>の掛け声でチャットも盛り上がった。秋本帆華も「(視聴者と)繋がったよね」と一体感があった様子。
次曲「なくしもの」で、「どうも、高橋優です」と作詞作曲をつとめた高橋優になりきる日高央。「高橋優を最後に見たのは東北のフェスなんだけど、あのときはBRAHMANに高橋優がイジメられていた(笑)。だからBRAHMANを許しちゃダメだ」とMCで笑わせる。そんな冗談から一転、昭和フォーク風のなつかしいメロディにのせて、4人の味のある歌声、夕焼けを思わせるオレンジのライト、masasucksの泣きのギターで聴き手の心に沁み渡らせる。特にこの曲では、咲良菜緒の絞り出すような歌声が際立った。彼女は熱唱系がよく似合うことを改めて実感させた。
撮影=笹森健一
後半戦は、無観客を逆手にとり、誰もいない客席に電飾を施して賑やかさを出した「BURNING FESTIVAL」、4人のスキャットが楽しめる「こだま」、ハードなヘドバンやデスボが特徴的な「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」が続いた。
尺八の音色が鳴り響き、坂本遥奈の演舞にあわせて筆文字がマッピングされる映像で幕を開けた「We Are…」、琴の演奏や「ヨオーッ!ポン!」の声と太鼓がインパクト大の「Charie!」は、ともに和風アレンジ。19曲目「グラブジャムン」はスマホを使った撮影に切り替わり、メンバーもカメラにぐいぐいと迫ってくる。まるで4人が目の前にいるような感覚だ。その至近距離は、まさに「逆ソーシャルディスタンス」。配信ライブならではの視聴者との近さだった。
ヘヴィなバンドサウンドで「え、これってSHACHIのライブ?」と一瞬目を疑った「眠れないナイ NIGHT!」は、「そりゃ、こんなに刺激的な音を出されたら眠れるワケないよ」とツッコミをいれたくなるくらいハードなサウンド。軽快な曲調の「AWAKE」は前髪がかかったその隙間から鋭い目をみせる咲良菜緒にゾクッとさせられた。
撮影=笹森健一
「START」は<何度だって 一緒に戦おう>という熱い気持ちが伝わってくる名曲。「抱きしめてアンセム」は、ここまで無料配信にもかかわらずボリューミーなライブを繰り広げながらも<足りない足りない モノたんない>と歌うところが、ギャップがあっておもしろい。24曲目、咲良菜緒のファルセット、坂本遥奈のラップ、大黒柚姫の艶、秋本帆華のキュートさが全部詰まった新曲「MAMA」で本編を締めた。
そしてここでメンバーからメッセージが語られた。坂本遥奈は「SHACHIはどんな状況でも楽しむプロ。バカみたいにポジティブ。ずっと前を向いています」と時おり声を詰まらせるように話せば、咲良菜緒も「10年経ってもこうやってはじめての挑戦ができた」と初無観客ライブを良い意味で捉えた。大黒柚姫は「自分に自信がなくて言えなかったけど、今ならもう一度、武道館に挑戦したいと言える。悔しい思いをした人は強い」と日本武道館ライブの再チャレンジを目標に掲げ、秋本帆華は「世界中で大変なことが起きている。でも元に戻るまで待っているなんてしたくなかった。こんな状況でも誰も下を向いていない。みんなタフ」と素直な気持ちを打ち明けた。
撮影=笹森健一
客席からは聞こえないアンコールの声。でもチャット欄ではそれを望む声があがり、メンバーの想いを感じ取ったように、未来への架け橋となる新曲「Today」を披露。全25曲をほぼノンストップで駆け抜けた。
TEAM SHACHIはこの日の配信ライブで、8月29日(土)「SURVIVOR SURVIVOR /MAMA」のデジタル配信リリース、10月21日(水)に『TEAM SHACHI Tour 2020〜異空間〜:Spectacle Streaming Show ”ZERO”』のブルーレイリリース、10月23日に愛知・ZEPP NAGOYAで有観客ライブ、12月30日(水)に東京・豊洲PITでワンマンライブを行うことも発表した。
また、この日のライブのアーカイブは、YouTubeのTEAM SHACHIのオフィシャルチャンネルで8月3日(月)まで無料配信される。
文=田辺ユウキ 撮影=笹森健一

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