Sound Horizon の音楽性
、歌詞に流れるテーマを
『Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜』
から探ってみる
Revo の音楽的背景とテーマの普遍性
当コラムではポップス、ロックの観点から『Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜』を分析してみた。無論、ここに書いたのが全てではなく、メロディー、リズム、サウンド、歌詞……あらゆる要素においてまだまだ語るべきところはあると思う。だが、ザっとさらっただけでも分かることは、確かに組曲ではあるものの多いし、複雑な展開も多々あり、プログレ的な要素も随所で見かけるのだが、基本的にはポピュラー音楽の体裁を大きくはずしてないのである。個人的に意外と言うか、興味深く感じたことは、Sound HorizonはJ-POP、J-ROCKと地続きと思えるところだ。自称“幻想楽団”で、音源も“Story CD”としていることから、シーンの流れとは関係ないというか、独立独歩的な制作作業をされているのかと勝手な想像をしていたのが、前述した通り、歌の旋律は概ね親しみやすいし、作者であるRevo の音楽的背景を十分に感じさせるものである。
歌詞は“明確に分かるものではない”とは言ったが、だからと言って、英語を多用しているわけでも、意味すらも通じないフレーズが多いわけでもないところは記しておくべきだろう。また、物語はおそらく架空のものであろうが、そのストーリーの下地や背景にあるものは、現代に通じるテーマや普遍的な摂理と繋がっていると想像ができる。決して絵空事を綴っているのではないことは間違いなかろう。そんな風に歌詞を捉えると、Sound Horizonの楽曲、作品は日本国内のみならず、海外でも高評価を得ていることにも納得である。シェイクスピアの物語が今なおアジアの片隅でも支持されているのにも近いことなのかもしれない…なんて思ったりもした。
TEXT:帆苅智之