シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気
の大人気コラム・第七十七沼 『自由
自在に地下を進め!沼!』

「welcome to THE沼!」
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第七十七沼 『自由自在に地下を進め!沼!』
新型コロナウイルスの影響は、我々音楽業界にも甚大な影響をおよぼし続けている。
実際に私たちの作品や海外ツアーも番狂わせになった。
もう一年前に出来ていた作品がやっと先週ドイツから発売になったのだ。
もちろん、私たちが作っている音楽は流行音楽では無いので、何年経とうが変わらない音づくりを心掛けているが、それにしても一年も遅れて発売となると、作った本人達も覚えていないとう状況なのだ。(客観的に聴けるのでそれはそれで良いんだけどね)
このコロナの影響で、レコードプレス工場はもとより、ディストリビューターやその他関係各所が大混乱を起こし、結果リリースがこれだけ伸びてしまったのである。
実はまだ私自身、ブツ(レコード)を受け取っていない。
それでも、我々がリリースしたドイツの老舗レーベル「Force inc.」と「Mille Plateaux」は少数先鋭のチームで最善を尽くしてくれた。
私たちの作品は海外メディアでも多数取り上げられたが、中でも「ローリングストーン誌」へ掲載された事は心から喜ばしい出来事であった。(そろそろ日本のメディアにも気がついてほしいよw)
ドイツ語で賞賛の言葉をいただいた中でも、最も嬉しかったのは「秀逸なブチ切れてる音楽」(翻訳Mr.Matsuura)という冒頭の賛辞だ。
つまりこれは、私たちが誰の指示も受けずに自由に、そしてだれの真似もせず、楽しんで作品作りをしたからに他ならない。
私のパートナーでもあるgalcidのLenaも下記のブログで発言しているように、「好きなことだけ極めたら、意外とウケた」という言葉に全てが集約される。
これは我々にとっては「ごく普通の音」として制作しているわけだが、ヨーロッパという局所的な場所ではエキセントリックで刺激的なサウンドに聞こえるようだ。
もちろん「他人と違う事をやる」という基本概念はあるが、「変な事をやろう」などと思った事は一度もないのだ。ただただ純粋に「楽しんで音を作ろうね」。これだけ。
私たちのエージェントはオランダにあるので、もちろんヨーロッパ中心に物事が進んでいくのである(そのため、どうしても日本には逆輸入という形になってしまい申し訳ない)。
ここから全ての曲が聴けるので、もし気に入ったら買ってくんろ。
https://forceincmilleplateaux.bandcamp.com/album/downfall
そして実は、昨年の1月にアメリカのDetroitundergroundから発売するgalcidのセカンドフルアルバムが制作完了しているのであった。。。
こちらはgalcidのファーストアルバムからお世話になっているグラフィックアーティストの巨匠、イアン・アンダーソンにジャケットをお願いした。
イアンはいつも忙しくしているので、遅れる事は事前に把握していた。そして、半年かかってアルバムジャケットが完成!www
そしてレーベルがレコードプレス業者に依頼をかけた直後にコロナが発生!プレス業者が未だに休止状態でどうにもならない。
このことから、アメリカがいかにコロナの甚大な影響をうけている事がわかる。あるいは福利厚生がじゅうぶんに行われているのかもしれない。
そのため、発売はなんと今年の冬だそうだ。
2年越の作品になる。
昔のレコード会社の広報だったら「2年間費やして完成した超大作!!!!!」とかって大袈裟なキャッチコピーをつけただろう。しかし、私たちはこのアルバムを3日間で作り上げたw 正直者だろ?w
しかし、我々は「どアンダーグラウンドミュージシャン」だから、コロナに強い。負けない。
メジャーグラウンドの音楽家たちと比べるとパイが違いすぎるのだ。
正直、被害はそれほどでも無い。むしろ忙しくなっている。
一方で地上音楽をやっているミュージシャンや大手のレコード会社は大打撃を受けている。
なにしろ、コンサートができない。
そして、カラオケもできないので、なかなかチャリチャリお金が回らない。
こんな時、インディペンデントは強い。
自分たちの事は自分たちで何でもできる時代だ。「オレは音楽家だから」とあぐらをかいていると大変な事になる。
こういった状況で、我々は映像配信機器を用意し、世界中からオファーを受け自宅スタジオから配信している。
苦手なお金の計算も、機材の運搬も全て自分たちでやっている。
一度、我々音楽家をぶっ潰したインターネットというシステムを、今回のコロナでは逆にうまいこと利用してやった。
パトレオンというパトロンシステムを使って、私たちが作った出来立ての音楽を毎週パトロンの方々に届けるシステムも導入した。↓こちらからパトロンになってくんろ。毎月$5から上限いくらでも!(1億円でもいいよ)
みんな「先が見えない」と言葉を揃えて言う。
私たちにはそんな心配は無い。もともと幻想だったミュージックビジネスが壊れただけのことだ。
みんな欲張り過ぎだ。
不労収入は魅力的である。
でも、今まで地上を無理して歩いていた人たちもこっちにくればいいんだよ。
地下を進むのも悪くないもんだよ。自由自在だし、なによりストレスが無い。
さらには「日本の音楽の質を高める」事ができるかもしれない。
人間に必要なお金なんて、たかが知れている。飯を食って、服を着て、生活の拠点(家でも路上でも)があり、衛生的に安全であれば生きていける。
教育は大切だけれども、親が教えてあげればいいよ。私も学校なんて行ってなかったよ。
本当にどうしようも無い時は、必ず誰かが助けてくれる。
何をそんなに怯えているのかわからない。
みんな、全く心配ないぞ。大丈夫だよ。
ところで、最近うちの母が何度教えても「コロナ」を「コレラ」という。
私はそっちの方が心配だ。

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