ヨルシカ 「昼鳶」大注目アルバム「盗作」における重要曲?物語の真相に迫る

ヨルシカ 「昼鳶」大注目アルバム「盗作」における重要曲?物語の真相に迫る

ヨルシカ 「昼鳶」大注目アルバム「
盗作」における重要曲?物語の真相に
迫る

この世の全てを憎むような嫉みや妬み
ボカロPとして絶大な人気を誇るn-bunaとボーカルのsuisからなる2人組のロックバンド・ヨルシカ
ネットシーンから始まり、現在では日本音楽シーンで多大な注目を集めている彼らが2020年7月29日に『盗作』をリリースしました。
この作品は「音楽の盗作をする男」を主人公として、男の破壊衝動を描いたコンセプトアルバムとなっています。
この作品に収録された『昼鳶』は、溢れ出る欲求と世間への妬みを描いたダークな世界観。
楽曲に込められた意味を明らかにするべく、歌詞に焦点を当て考察していきます。
昼鳶 歌詞 「ヨルシカ」
https://utaten.com/lyric/mi20071408
世間の全てに恨みを募らせるかのように描かれる嫉みや妬み。
妬んでしまうから心が満たされないのか。
心が満たされないから妬むのか。
異常とも言える思考の裏には一体何が隠されているのでしょう。
「つまらないもの」だけが観たい
昼鳶 歌詞 「ヨルシカ」
https://utaten.com/lyric/mi20071408
1行目の歌詞は、現代の音楽シーンへの批判やそれを皮肉に表現したものに見えます。
大きく広告されればされるほど音楽が売れる世の中。
音楽に限った話ではないですが、お金の力に物を言わせる業界を批判する声はいつの時代でもあるでしょう。
この批判と結びつくのが次の歌詞です。

昼鳶 歌詞 「ヨルシカ」
https://utaten.com/lyric/mi20071408
「つまらないもの」が意味することはなんでしょうか?
先程の批判と対応していると考えるのならば、広告によって売れる音楽以外だと捉えることができます。
批判先を「つまらない」と表現するのは普通に思えますが、ここでは逆説を用いており、売れていない音楽に価値を見出している様子を描いたのでしょう。
渇くほどに全部が欲しいという欲望は止まらず、それを歌で表現したいという気持ちもここでは描かれています。
物語の真相は?タイトルに隠された意味
昼鳶 歌詞 「ヨルシカ」
https://utaten.com/lyric/mi20071408
続く歌詞には、お金持ちや良い暮らし振りを妬む様子が描かれます。
ですが「この妬みは疎ましい」と自分の飽くなき欲求を否定する言葉が登場。
止めどなく溢れ出る妬みの欲求は、自分では歯止めの効かないものだったようです。

昼鳶 歌詞 「ヨルシカ」
https://utaten.com/lyric/mi20071408
ここまでの内容を振り返って主人公の主張をまとめてみましょう。
一つは、つまらないものだけが観たい。
もう一つは何も無いから欲しい、やるせないから歌にしたい。
最後は、溢れ出る妬みは衝動的なものであり疎ましい。
大きく分けるとこの三つになります。
この歌詞の意味は、アルバムにおけるこの楽曲の立ち位置を考えることで明らかにできると思います。

先述したように、この楽曲が収録されている「盗作」は「音楽の盗作をする男」を主人公として、男の破壊衝動を描いた物語です。
このアルバムの1曲目には『音楽泥棒の自白』が収録されていますが、この楽曲はインストゥルメンタルで歌詞がありません。
そして、この楽曲は2曲目に収録されており、実質的にプロローグ的な役割も持っているのではないかと考えられます。
つまり『昼鳶』は「音楽の盗作をする男」の前述譚であり、どのようにして泥棒になるに至ったかを説明している楽曲なのではないでしょうか?
衝動的な妬みや嫉みに苛まれていたことや欲求などに耐えきれなくなった結果、音楽の盗作に至ったというのは背景としてふさわしいように思えます。
また、タイトルの昼鳶は「ひるとび」もしくは「ひるとんび」と読み、空き巣やコソドロ、スリなど程度の低い泥棒を表す言葉です。
「音楽の盗作をする男」が今は立派な盗賊や怪盗だとすれば、その過去は『昼鳶』でもおかしくはありません。

TEXT 富本A吉

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