ザ・モアイズユー「 “ザ・モアイズ
ユー節” を残しつつ、新しいことを
」 4ヶ月連続リリース作品第一弾「
すれ違い」インタビュー

コロナウイルスの影響で発売が延期となったEPに収録される予定だった4曲の新曲を、8月から4ヶ月連続で配信リリースする大阪出身の3ピースロックバンド“ザ・モアイズユー”。今回SPICEでは、リリースに合わせて4ヶ月連続でインタビュー記事を公開。本記事では第一弾として、8月26日にリリースされた「すれ違い」についてのインタビューをお届けします。
――8月から4ヶ月連続で音源を配信リリースされますが、この4曲はコロナウイルスの影響で延期になってしまったEPに収録される予定だった曲達なんですか?
本多:そうです。元々は4曲入りのEPでリリースする予定だったんですけど、コロナの影響でレコーディングもストップしてしまったので、リリースが難しくなってしまって。でも、制作が止まってしまった分、もっと一曲一曲と向き合えて、より良い形にブラッシュアップすることができました。ただ「延期になってしまった」で終わるんじゃなくて、また違う形で見せる方法がないか考えたときに、4ヶ月連続で1曲ずつリリースしようと。そうすることで、その一曲一曲をより聴いてもらえるし、お客さんとしても1ヶ月に1回新曲が聴けることを楽しみに思ってもらえたらいいなと思って、この形に変えさせてもらいました。
──そう考えると、めちゃくちゃキャラの濃い曲が揃ったEPになる予定だったんですね。
本多:そうなんですよ(笑)。元から濃かったんですけど、そこをよりよくしていきました。
──EPを制作しようと思ったときは、どんな作品にしようと考えていましたか?
本多:基本的には8月配信の「すれ違い」を表題曲として考えていて。これまでもアップテンポの曲はやっていたんですけど、16ビートでノレる感じのものはあまりやってこなかったんですよ。だからそういった、ライブでノレるような楽曲を表題にしようということになって。そこを軸にして、それとは違うタイプの曲を3曲並べることでバンドの幅広さを見せようというテーマで作っていました。
──「すれ違い」はメロディが立っていて、ザ・モアイズユーらしい切ない雰囲気もあるけど、確かにバンドアンサンブルはかなりパワーがあります。この曲は以登田さんが作詞作曲をされていますね。
以登田:16ビートで裏打ちのリズムの曲を作ろうというのが土台にあったので、単純にメロディもリズムのいい感じにしようと思ったんですけど、歌詞をどうしようと思って。こういう感じの曲に満たされていない想いの歌詞を書いたら、逆にちょっとエモいというか、ギャップがあっておもしろいんじゃないかなと思って作り進めていった感じでした。
──イントロで飛び出してくるベースがかっこよかったです。
以登田:ありがとうございます(笑)。ただ単純にノリのいい曲じゃなくて、かっこよさも結構大事にしたかったので、めちゃくちゃいろいろ考えましたね。常に大事にしているのはメロディなんですけど、バックの演奏もやっぱりこだわりたかったし、より曲を楽しめるように考えてました。
──オザキさんは曲を聴いた印象や、ご自身はそこにどうアプローチしていこうと考えました?
オザキ:アップテンポがテーマにあったので、アグレッシブなエッセンスは個人的に取り入れたいなと思ってましたね。それで、曲を作っていく中で、僕なりの案をイトちゃん(以登田)にバーッ!と出して。その中からイトちゃんが“これいいね”って選別してくれた結果の最終形態が「すれ違い」になったんですよ。なので、僕的にはやりたいようにやった結果、いい感じにまとまったなって思ってます。
──かなりアイデアを出されたんですね。
オザキ:イトちゃん的には、自分の中のイメージをアウトプットしたものが好みだったみたいですね。お互い満足できているんで、お互いハッピーな感じです(笑)。
本多:締めが(笑)。
以登田:急に安くなったな(笑)。
──でも、理想的なことではありますからね(笑)。本多さんの場合はいかがでしょうか。
本多:オケ自体はすごく攻めているというか、今までにないアグレッシブな感じにはなっているんですけど、歌詞とかは今までのザ・モアイズユーの感じというか。ちょっと切ない、うまくいっていない感じの世界観があって。だから、歌詞の空気は今まで通りの“ザ・モアイズユー節”を残しつつ、新しいことをやれている感じがあったので、僕的にはまた新たな幅を見せられたかなと思いますね。
本多 真央
──“ザ・モアイズユー節”というお話がありましたけど、今回の4曲もそうですし、昨年リリースされた『想い出にメロディーを』もそうですが、どの曲もメロディを大切に大事にしているし、普遍的に“いい曲”と言われているものに対して、ものすごく真っ向勝負をしていますよね。そこがかっこいいなと思ったんですが、結成当時からそういう音楽をやろうと思っていたんですか?
以登田:僕らは元々銀杏BOYZのコピーバンドをやっていて。銀杏BOYZって、表現はめちゃめちゃ荒々しいけど、メロディがめちゃくちゃ綺麗じゃないですか。そこにすごく惹かれたんです。そこからどこまでメロディで表現できるか?っていうことを大事にしていった感じでしたね。いいメロディとは何かをずっと追求してきて、それがまだずっと続いているっていう感じです。
──銀杏BOYZは好きだけど、叫ぶとかそういう方向にはいかなかったんですね。
本多:いや、最初はそっちだったんですよ(笑)。オリジナル曲を作り始めたときは“影響をモロ受けてます!”っていう感じだったんですけど、途中から今の路線に変わっていったところがあって。でも、そこも意識して変えたというよりは、自然と自分達の表現したいこととか、歌いたいことが変わっていったんですよね。それで歌をちゃんと聴かせる方向に落ち着いた感じでした。
──なるほど。
本多:ただ、普遍的な部分は大事にしつつも、自分達が好きになってきたバンドって、銀杏BOYZもそうですけど、普遍的なものプラス、オリジナリティがあって。そういう音楽が自分達のルーツではあるんですよね。だから、真っ向勝負しつつも、他とはなにかちょっと違う要素が混ざっているのかなっていう気もしているので、そこがザ・モアイズユーっぽいところかなと思ってます。
──実際に「すれ違い」のアンサンブルもそうですけど、他の曲でも楽器の主張が結構強いですよね。みんな結構飛び出してくるなと思って。
以登田:そうですね(笑)。
本多:「すれ違い」がより挑戦的ですからね(笑)。前のミニアルバムでもここまではやってなかったんですけど、今回はリモートワークで作る機会が多かったんですよ。自粛の影響もあって、いつもみたいにスタジオでセッションしながら作っていくというよりは、メンバーそれぞれで進めていくことが多かったので、楽器に対してもっとこうしよう、ああしようみたいなアプローチを練る時間が結構あったんです。その分、それぞれの楽器の消費カロリーが高い仕上がりになっていて、ギターも歌いながら弾くのがちょっと難しいぐらいになってるんですけど(笑)。でも、逆によかったなと思ってます。無理矢理にでもそういうふうにそうなれて。

取材・文=山口哲生 撮影=大橋祐希
※4ヶ月連続リリース作品第二弾「環状線」インタビューは9月16日(水)に掲載予定!

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