GRANRODEO、1万字超インタビュー【後
編】 『情熱は覚えている』のテーマ
は“敗北からどう這い上がっていくか
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15周年イヤーを迎えたGRANRODEOの1万字超インタビューを、SPICEでは<前編>と<後編>の2本立てでお届けする。今回はインタビュー<後編>。KISHOW(Vo)とe-ZUKA(Gt)に、2020年9月9日発売のニューシングル『情熱は覚えている』や、11月に発売するシングルコレクションに収録される新曲、さらにリモート制作された「思い通りじゃなくても」についても語ってもらった。
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――7月31日に開催したオンラインライブ『GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live 〜たかが15年〜』の1曲目を飾ったのが、最新シングル『情熱は覚えている』です。
e-ZUKA レコーディングしたのは、もう1年近く前になります。
KISHOW だから詳しいことは覚えてないんです。情熱は覚えてるかもしれませんけど(笑)。
――アニメ『バキ』第1クールOPテーマだった「BEASTFUL」は疾走感のあるナンバーでしたが、ガラッと雰囲気が変わりましたね。
e-ZUKA 制作サイドからも「BEASTFUL」とは雰囲気を変えてくださいというオーダーがあったので、早いテンポでガンガンいくタイプの曲じゃない方がいいんだろうなと。そこから、ドンドコドンドコ……っていう、やや土着的なリズムを強調したサウンドにしたらおもろいものができるんじゃないかと思って。なので、普通のリズムパターンが一度も出てこないんです。ドラマー的には物足りないかもしれない。
――腹に来る感じのリズムにひっぱられて、どんどんテンションがあがります。
e-ZUKA 和太鼓的な感じですよね。イメージとしては、格闘技の選手がリングに向かっていくときの絵が浮かんでいました。アニメの舞台が中国ということもあって、そこにエスニックな音色もプラスして。結果的にいい感じの仕上がりになったと思います。
GRANRODEO『情熱は覚えている』
――KISHOWさんはどう歌詞を膨らませていったのでしょうか。
KISHOW もともとテーマ自体は決めていたんです。どんな楽曲が来たとしても、「一度敗北した主人公がどうやって這い上がっていくのか」を書こうと決めていました。『大擂台賽編』がまさにそういうエピソードですからね。e-ZUKAさんから上がってきたものを聴いたら、いい意味でのユルさがあると感じたんです。これは遊び心を入れてもいいやつだなと。だからテーマはそのままでしたけど、言葉のチョイスは遊んでいます。AメロBメロあたりは特に持って回ったような言い回しでいろいろデコレーションしてますが、最終的にはサビでめんどくさくなって(笑)、ずばり言っちゃってます。「絶頂シャウト闇切り裂いて It's alright baby it's alright」なんて、いま改めて見てもなかなかおバカでいいなと。第1期の「BEASTFUL」のシリアスさに比べると、肩の力が抜けてるんです。
――なんだかんだ言ったけど、っていう吹っ切れ加減が、サビの勢いと相まって最高ですよね。
KISHOW そうそう、結局そこかーい! っていう(笑)。
―ーAメロの歌いだしの「血も涙もない人生なんて 我が目指す道に上等」に、テーマがぎゅっと詰まってますよね。ここで言いきっちゃってるのもかっこいい。
KISHOW 思いついちゃったんですね。いかにも『バキ』っぽくていいなって。
――逆に、これだけ歌いだしにすべてが詰まっていると、このあとどうするんだろうと思うくらい。
KISHOW 本当にそう。歌詞で言いたいことなんて、2~3行ですんじゃうんです。でもそれをいかに1曲分にしあげていくかっていうところで、いつも戦っています。言いたいことはAメロとBメロで全部言っちゃったから、サビで言うこともうねえな……って。
――結果、絶頂シャウトしてやったという。
KISHOW ある種の開き直りですね(笑)。僕、根は真面目なんですけど、歌詞に関しては結構不真面目なんです。語弊を恐れつつあえて言うとしたら、適当なんです。でもそこをおもしろがったり楽しんだりしていただけたらありがたいなと思って、毎度歌詞を提出してるんです。
――ただの文字としてではなく、KISHOWさんの歌、KISHOWさんの表現がそこに加わりますからね。
KISHOW そうなんです。歌を聴いていただきたい。歌はがんばってますから。歌に関しては真面目です。
――大丈夫です、KISHOWさんがちゃんと真面目なところはみんな知ってます(笑)。
KISHOW ならよかったです。今回も相変わらず何を言ってるのか聴き取れない歌い方をしているので、ぜひCDを買っていただいて、歌詞カードと照らし合わせながら聴いていただくと、「そうだったのか!」といろいろ腑に落ちることもあるでしょう!
e-ZUKA あははは。
――1年近く前に作られた楽曲と、時間が経ってから向き合うことで、ご自身の中でも気づきはありそうですね。
KISHOW そうですね、改めて歌詞を見返すと、ちゃんと『バキ』のために書いてたんだなと思います。
――とても『大擂台賽編』の曲だなと思いました。『バキ』という作品のなかでも、『大擂台賽編』は原作を読んでいた当時も、「え? そうなるの!?」って驚かされたところがあったので。
KISHOW ちゃんと真面目に書いてましたね。板垣先生がどこまでそういう先生の味を自覚して『バキ』を描かれているのかわかりませんが、だからこそおもしろいですよね。
――そうなんです。『大擂台賽編』なら「絶頂シャウト闇切り裂い」ちゃってもいいよねって納得できる。
KISHOW いいですよね(笑)。「BEASTFUL」のソリッドさと比べると、「情熱は覚えている」はそれくらいの遊び心も受け止めてくれる懐の深い曲になったかなと思います。
――2Aで一瞬変拍子になるのもおもしろいですよね。
e-ZUKA インドにタブラという打楽器があるんですが、インド音楽ではよく一拍なくすっていうのがあるんです。それをやってみたらおもしろいかなと。結果、きーやんのかわいいところが出せました。
KISHOW おもしろいですよね。ぜひフルサイズで聴いてほしい。
――レコーディングからライブで歌うまでのタイムラグみたいなものはありましたか?
KISHOW 何回かリハをやったら慣れました。キーがだいぶ高めなんですけど、声の出方も問題なく。ライブでは1曲目だったので不安っちゃ不安もありましたが、大丈夫でした。ライブの前は「情熱は覚えている」に苦手意識もあったんです。単純に難しい曲ですし、1年近く歌ってこなかった曲なので、他人の曲を歌ってるような感じすらあって。でもリハで何回か歌ってたら自分のものになりました。それに、だんだん調子の悪い日が少なくなってきたんですよね。今日は声が出ないなってことがなくなってきたんです。今回はライブ本番の3日前が最終リハだったんですけど、調子乗って歌った結果、声がカッスカスになりまして。翌日のラジオ収録のときもまだ本調子ではなかったんですが、そのあと一日休んだらすっかり元通りでした。本番までの調子の整え方は、だいぶ慣れてきましたね。
80年代LAメタルへの憧れを詰め込んだカップリング曲
――カップリングの「Scorn」はガラッと変わってヒール感強めですね。
KISHOW これはGRANRODEOのオマージュシリーズの楽曲ですね。いうなれば「LAメタル編」です。80年代のLAメタルに対する憧れを詰め込んだ楽曲を、2020年に出すという。その頃の楽曲って昔もカッコいいと思って聴いてましたし、今だとちょいダサかっこいい感じがいいんですよね。e-ZUKAさんから「LAメタルをやろう」ってことで届いた楽曲を聴いたら、「おお、モトリー・クルー!」と。「kick start my heart」がやりたいのね、はいはい、承りっ! って感じでした。
――歌詞にもかなり遊び心がありますね。
KISHOW GRANRODEO的にはある種のチャレンジですが、遊び心の方が強くて、歌ってみたかったものを作ってみたという感じですね。僕もLAメタルがやりたかったので、「やったー! 歌っちゃおう! ってことは歌詞が必要だよな……」と気づいて書いた歌詞です(笑)。完全に歌いたい気持ちが先なので、メッセージを伝えたいというよりは、LAメタル節をどれだけだせるかっていうことにこだわりました。いろいろ遊んでるんですが、この古い感じを逆に新しいと感じてもらえたらいいですよね。
e-ZUKA LAメタルへのトリビュートを曲にしてみました。僕らが若い時に聴いてきたモトリーやラウドネス先生への思いが詰まっているので、好きな人が聴いたら「お! いいじゃん」って刺さると思います。きっとかわいがってもらえるオマージュになってるはず。逆にLAメタルを知らない方が聴いても、おもしろいと思ってもらえるような音を目指したので、気に入ったらぜひ先生たちのオリジナルにも触れてみてほしいですね。もし家で聴いててお父さんお母さんが「それ誰の曲?」って話しかけてきたら、ぜひGRANRODEOの名前を教えてあげてください(笑)。
――e-ZUKAさん的なお気に入りポイントは?
e-ZUKA リフは、ラウドネスのなかでもマニアックな「GOTTA FIGHT」っていう曲のリフと似てます。その曲には掛け声も入ってるんですけど、同じことやったらやりすぎって怒られそうだったので諦めました(笑)。そんな、僕らの個人的な満足が詰まった楽曲ですが、今までこういう曲がありそうでなかったので、よかったかなと。
GRANRODEO / Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE" - CM
『みんなのうた』で流してほしい新曲ができた
――11月には15周年アルバム『GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"』のリリースも決定しています。ここに収録される新曲1曲は、いままさに制作中というところでしょうか。
e-ZUKA 楽曲自体はできていて、アレンジを手直ししてるところです。新しいことにもチャレンジしたいですし、変化を感じさせる曲にしたいなと思って。サウンド面で「おおお?」くらいのリアクションを目指してるんですが、ついつい「お?」くらいのところで止まっちゃいがちなので、いまいろいろ勉強してるところです。機材も新しいものがたくさん出てますしね。ちなみにメロディは、NHKの『みんなのうた』で流してほしいくらい、いい感じのものができてます。ただ歌詞がどうなるかな(笑)。
KISHOW 歌詞書かないとなあ(笑)。
――2020年のいろんな出来事を経て新しく生まれる歌詞がどんなものになるのか、すごく興味があります。
KISHOW メディアに騙されるなとか、陰謀論がどうとかね(笑)。でも曲自体はすごく前向きな楽曲なので、「新たな世界へようこそ」という感じでいきたいと思います。いまの世界を否定するのではなく、こうなってしまったけど、なってしまったなりにそれを新しい基準――「New World Order」として、前向きに進んでいきたいっていう思いが詰まった歌詞になると思います。今夜書こうかな……。
――今日書いておけば、45歳の誕生日(8月11日)はハッピーに迎えられますよ。※インタビューは誕生日前でした
KISHOW そうなんだけど、いまだに学生時代の夏休みと一緒で、締切ギリギリにならないとやらないんですよね。45歳になるのに(笑)。まあ降りてきたなってときに書ける自分でいたいですわ。
――前向きなものって、出そうと思っても簡単にはでないですからね。
KISHOW LAメタルみたいなやつはノリと勢いでなんとかなったりするんだけどね。ただ新曲は、真正面から前向きな曲にしたいなと思います。希望のあるような。珍しくe-ZUKAさんから「“welcome to the new world”、これで行け!」って言われてますから(笑)。
e-ZUKA こういう状況になったからこそ生まれた楽曲だと思います。だから、本当は子どもたちの合唱もいれたいと思ってるんですが、いまはまだできないのでどうやったらそれに近づけるかをスタッフと相談しているところです。いままでのGRANRODEOにはないおもしろい楽曲ができたので、期待していてほしいですね。投票結果を見る限り、ファンの人たちは激しいのが好きみたいですけど(笑)、こういうのもありますよって感じで受け取っていただけたらいいなと。
GRANRODEO - 思い通りじゃなくても
実感が詰まった「思い通りじゃなくても」の歌詞
――YouTubeチャンネルでは、外出自粛期間に「思い通りじゃなくても」というリモート制作楽曲も発表されていました。
e-ZUKA 当初は、ランティスの企画のひとつに参加するっていう話で始まったんです。そのときはふたりで「Can Do」をアコースティックでやろうみたいな話になってたんですけど、しばらくしたら「やっぱりオリジナル曲をお願いします」って連絡が来て(笑)。あの頃いろんなアーティストさんがど真ん中のメッセージを発信していましたが、僕らが同じことやってもな……と思って、曲調は僕ららしくロックンロールに。シンプルで元気の出るものにしてみました。締切まで1週間しかなかったんですが3曲できまして、その中のひとつが「思い通りじゃなくても」になりました。多分そこまでプレッシャーがない状態で作れたのが良かったんでしょうね。その中にはバラード曲もあったんですが、今回はそうじゃないなと思ってロックンロールに決まりました。どんなものが出来上がるのかと思ったら、案外におもしろいものになりましたね。
KISHOW e-ZUKAさんから来た楽曲を聴いて、歌詞もすんなりできました。思い通りにはいかないよねっていう人生の無常やままならなさは、常日頃あるものですが、いまは特にままならない状況ですからね。「パンが無ければ景気を喰らえ」なんて言葉遊びは、僕のおやじセンスが発揮されてます。アレサ・フランクリンじゃなくて……誰だっけ。
e-ZUKA マリー=アントワネット(笑)。
KISHOW そうそうそう(笑)。「もう何度目かの青空なのか」っていう部分は、実感が詰まってます。4月~5月ってずっと天気が良かったじゃないですか。朝目が覚めて青空を見るたびに、仕事にも行けないこんな状況になって何度目の青空だろうって思ってたんです。そういう実感から入れたのは、僕としては珍しいかも。何にせよ、「ピンチもチャンスに」ってことに尽きると思います。何事も二面性があるものですし、ピンチの時こそ、いずれチャンスが……って思えることは素敵ですからね。このご時世だからこそ生まれた歌詞になったと思います。
――最後に、ファンの方へのメッセージをお願いいたします。
KISHOW どうしてもこういうご時世なので、「15周年だからがんばる」という思いはあっても、なかなかままならないのが現実です。いまは、やれること・可能性のあることを手探りでもやっていくしかないかなと。ただ7月31日のオンラインライブがいい形でできたっていうことは、手ごたえとして大きな一歩。この先も、そうやってやれることをやっていきたいと思います。こういう事態じゃなければ、「15周年イエーイ! ありがとう、みんなのおかげです!」って手放しにはしゃげたんですが、いまは皆のほうが辛いでしょうから。だからこそ、僕らから届けられるものがあるなら、届けたいなと思います。「いままでGRANRODEOを応援してくれてありがとう」っていうお返しをしていくことが、今年残されたやるべきことだと思ってます。「自粛が解けたら会場で会おうな!」とは、軽々しく言えない。もちろん言いたいけどね。だからいまはやれることをがんばります。みなさんもいろんなことを我慢しながらだと思いますが、日々をなんとか過ごしていきましょうよ。たいていのことは、時間ってヤツがなんとかしれくれますから。いい時がいつか来ると、僕は思ってます。
e-ZUKA 15周年あっという間でした。よく僕もきーやんもやってきたよね。長い間やってくることができて幸せだなと思います。特に僕は38歳から始めたので、それでも僕らの音楽をありがたがってもらえるというのは、うれしい限りだなと。聴いてくださる方のためにも、期待に応えていきたいですし、いい意味で裏切って驚かせていきたいです。手を変え品を変えね。ダーウィンも言ってました。生き残るものは賢いもの、力の強いものではなく、変化できるものだと。僕もそういう意味で、変化して生き残っていきたいです。
インタビュー<前編>では、7月31日に開催したオンラインライブ『GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live 〜たかが15年〜』について、ふたりに語ってもらっている。ぜひこちらもチェックしてほしい。
取材=実川瑞穂・加東岳史 文=実川瑞穂 ライブ写真撮影=キセキミチコ

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