【レポート】細川たかし45周年記念コ
ンサートに愛弟子・杜このみと彩青も
出演「45年は単なる通過点」

細川たかしが、芸道45周年を記念するコンサート<チーム細川 スペシャル歌謡ステージ>を、9月4日、東京・北区の北とぴあ・さくらホールで開催した。この日は、細川の愛弟子2人・杜このみと彩青も参加し、3人による「チーム細川」での公演。細川のヒット曲の数々をはじめ、産休前の最後のステージとなる杜このみのソロ、彩青の尺八と三味線演奏を交えたソロ、三橋美智也の名曲コーナー、津軽民謡コーナーと、盛りだくさんの内容となった。

開演前のマスコミ向け取材で細川は「昭和50年にデビューして、ちょうど45周年という一つの区切りの年になりますが、今年はコロナの騒ぎで、本当に大変な時期なんですが、止まっていても進まないので、このコンサートをさせていただきます。そしてこれをきっかけに、早く日本が元気になれるように頑張りたいなと思っています。この大変な時期に、来ていただけるというのは本当に有難いです」と語った。この日、細川にとって8ヶ月ぶりのコンサートとなることについては「久々にお客さんの前で声が出せるのが非常に楽しみです。今日はビデオもまわします。途中、歌詞を間違えたらもう一回やり直す、というぐらいの軽い気持ちでいきたいなと。いかんせん8ヶ月ぶりなので、非常に歌詞があやしい(笑)」と笑いを誘う場面も。

45周年を迎えたことについては「今、世界中がコロナで大変な時期になってしまって、日本は台風も洪水もあって、喜んでいる場合ではないんですが。45年というのは、細川たかしにとっては単なる通過点です。今年、70歳になりました。あと10年歌えば80歳になります。そうすると55周年。そこに向かってこの10年間前進して参りたいなという気持ちですし、声が出る限り頑張っていきますので、よろしくお願い致します。ひたすら歌っていて、明るく“ヤッホ”といってるうちに45年が経ちました。演歌はまだまだ明るい感じがある方が良いと思うので、これからも細川たかしが頑張れば少しは演歌界も明るくなるし、彩青のような若い子たちにももっともっと演歌を歌っていってほしいので、これから10年間は弟子を取ったり若手を発掘して、どんどん挑戦させてもらえれば嬉しいです」と意気込んだ。会場は徹底した感染対策が取られたため席数は半分に制限され、約650席にファン達が集まった。

オープニングは、1984年に大ヒットし、細川が第26回「日本レコード大賞」最優秀歌唱賞を受賞した「浪花節だよ人生は」。イントロで細川、杜、彩青が登場すると大きな拍手が起こる。6人の三味線奏者の生演奏で、1番は細川が、2番は彩青が、3番は杜が歌うという、この日ならではの豪華な構成に客席は大いに盛り上がる。歌い終えると、細川の頭上に、スタッフチームから贈られたというくす玉が登場。細川が割ると、中から「祝 細川たかし 芸道45周年!」と書かれた垂れ幕が現れ、会場はお祝いムードに包まれる。
続いて、細川が「北酒場」「心のこり」「矢切の渡し」と、自身の代表曲をたたみかける。1970年代と1980年代のヒットナンバーが、なお圧倒的な歌唱力で歌われ続けていることに感動させられる。歌い終えてからは、細川が歌手人生を振り返る時間に。1982年に「北酒場」で第24回日本レコード大賞を受賞し、大賞の翌年は売れないと言われていたものの、1983年に「矢切の渡し」で2年連続のレコード大賞受賞を果たしたことついて「取りたいと思っていたわけではなくて、ただ落ちてきたんです。有難いものです」と明かした。翌1984年は、「浪花節だよ人生は」で第26回日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞し、見事3冠を達成。「その年の紅白歌合戦で、思いっきり歌詞を忘れるという恐ろしい事件がありました(笑)」という思い出話にも、会場は和やかな笑みに包まれた。
細川による「佐渡の恋唄」「女の十字路」の後は、杜このみが登場。細川と杜による師弟トークでは、細川が「このみちゃんと知り合った会った時は、このみちゃんは18歳でしたね。それから12年が経ちました。この度、本当におめでとうございます」と、妊娠を祝福。客席からも杜に拍手が贈られ、「ありがとうございます。11月に北海道に帰って、里帰り出産の予定です」と杜が語ると「2月が出産予定ですから、来年の春過ぎにはまた芸能界に戻ってきてください」と細川。ここからは杜のソロで、デビュー曲「三味線渡り鳥」をはじめ、「残んの月」「王手」、最新シングルの「郷愁おけさ」を披露。実力派の杜の確かな歌唱力に、可憐な振りや艶のある表情でもファン達を魅了した。途中、細川と知り合った頃を振り返り、「『演歌歌手にならないか?』と言っていただいて、わざわざ私の故郷の札幌まで足を運んでくださいました。その時の感動は忘れられませんし、初めてコンサートを観させていただいた時の、全身が痺れるような感動も忘れることができません。そして師匠の何が一番すごいのかと申しますと、初めてお会いした時よりも、さらにパワーアップをされているということが本当にすごいなと、感動でいっぱいでございます」と杜。

ここで、杜が「私にも弟弟子ができました」と、彩青をステージに呼び込む。杜と同じ北海道出身の彩青は、11歳で細川と出会い、現在18歳。2019年発売のデビュー曲「銀次郎 旅がらす」で、第61回日本レコード大賞新人賞を受賞している。この日は「銀次郎 旅がらす」と「津軽三味線ひとり旅」を披露。彩青の尺八と津軽三味線の生演奏を交えての歌唱は聴き応えがあり、曲の世界へと一気に引き込まれる。彩青は「皆様の応援、支えてくださっているスタッフの皆様、そして細川たかし師匠、杜このみさんのあたたかいご声援のおかげで、レコード大賞新人賞を受賞させていただくことができました。これからも、新人賞の名に恥じないように、精一杯頑張って参りますので、応援のほど、よろしくお願い申し上げます」と思いを語った。彩青がこの日着ている衣装で、「津軽三味線ひとり旅」のCDジャケットでも着用している着物は、細川からの贈り物だというエピソードからも師弟愛が感じられる。

中盤は、細川の師である、歌手・三橋美智也の名曲コーナー。彩青が「哀愁列車」を、杜が「達者でナ」を、細川が「古城」を披露。続いての津軽民謡コーナーでは、三味線の生演奏で杜が「津軽じょんから節」、彩青が「津軽よされ節」を歌唱。「津軽山唄」は、細川の歌に彩青の尺八という息の合った師弟コラボに、大喝采が贈られる。
終盤は、細川が今年4月に発売してロングヒット中の新曲「二〇二〇 イヨマンテの夜」でスタート。真赤なステージに黄金の衣装に身を包んで現れた細川に、神々しさまでも感じられる。鬼気迫る歌いぶりに、会場中が圧倒させられた。ステージ去り際の「ウリャア!」という声も格好良い。白い衣装に着替えた細川は、「北緯五十度」に、最後は彩青の尺八と三味線の生演奏による「望郷じょんから」をエネルギー溢れる声で歌い切った。細川の45年の偉大な足跡と、今だ衰えることのないパフォーマンスの凄さにも心を打たれるコンサートであった。

取材・文:仲村 瞳

<チーム細川 スペシャル歌謡ステージ

2020年9月4日(金) @東京・北区 北とぴあ さくらホール 
[ セットリスト ]
01. 浪花節だよ人生は 
02. 北酒場
03. 心のこり
04. 矢切の渡し
05. 佐渡の恋唄
06. 女の十字路
07. 三味線渡り鳥
08. 残んの月
09. 王手
10. 郷愁おけさ
11. 銀次郎旅がらす
12. 津軽三味線ひとり旅
13. 哀愁列車
14. 達者でナ
15. 古城
16. 津軽じょんから節
17. 津軽よされ節
18. 津軽山唄
19. 2020 イヨマンテの夜
20. 北緯五十度
21. 望郷じょんから

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