西川貴教の潜在能力の高さこそが
T.M.Revolutionの
核であることが分かる
傑作アルバム『triple joker』
西川の超弩級なポテンシャル
こうして浅倉大介、井上秋緒、葛城哲哉の3人の名前を上げて、それぞれの仕事っぷりを解説すると、アルバム『triple joker』では彼らの功績が大きいと思われるかもしれない。いや、それはそうなのだろうし、前述した通り、本作の最重要トリニティーではあるのだが、それも西川貴教あっての布陣である。西川貴教という不世出のアーティストであるからこそ、このトリニティーをしっかりと受け止めることができたのだろうし、それを背負って前線に赴くことができたのだと思う。浅倉の作るキャッチーな中にも愁いを秘めたメロディーを歌える確かな歌唱力。日常感があると言えば聞こえはいいが、アクが強く、普通のシンガーであればその個性に埋没する恐れすらある井上の歌詞に負けないキャラクター。葛城哲哉のような超絶ギタリストのプレイに臆することなく、楽曲の中心に鎮座することができる存在感。なりこそ小柄だが、そのポテンシャルはアンドレ級──才能は人間山脈なのである。そんな西川貴教が件の最重要トリニティーを始めとするセンスあるスタッフたちとともに作り上げたのがT.M.R。『triple joker』は自身初のチャート1位となり、ミリオンセラー(※出荷枚数ではダブルミリオン)となったが、今となってみればそれも当然の結果だったと言える。
TEXT:帆苅智之