Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:コロナ禍でも
活動し続けるライヴハウスと
バンドマンの本音

待ってるお客さんがいるから
やらなきゃと思える

千々和
新宿Marbleは会社を独立して、『STAND UP MARBLE』というプロジェクトを始めましたが、これはいつから考えていたんですか?
鈴木
実は独立自体は昨年から考えていて。コロナで状況が変わったので、当初考えていたタイミングより早めたんですよ。コロナがなかったら、もう少し遅いタイミングだったかもしれないし、もしくは考えているだけで独立できていないかもしれないですね。独立したことで、どんなイベントでも自分の責任で開催できるし、問題が起こっても自分の判断で解決できるから自由度が増したと感じてます。だから、『STAND UP MARBLE』もそうですが、先ほどお話したフリーライヴなど、独立したからこそ自分の責任でやれることが増えました。
カザマ
純粋に今はやりたいことができてるんですね。
鈴木
そう。なので、今までずっと“自分=Marble”だって思い込んでいたんですが、独立したことで“自分=Marble”って本当はこういうことなんだと気づきましたね。今までは“自分=Marble”と勝手に思ってたけだけで、ケツを拭いてたのは経営者の人なわけだから、人の舟を借りて“これは俺の舟だ!”と言ってただけだった。勝手に偉そうにしてたなって(笑)。
カザマ
…今日、鈴木さんの話を聞いて、そのモチベーションの高さもそうですが、なんか元気をもらえましたよ。
鈴木
本当に!? そう言ってもらえて良かった。Marbleが始動するまで待ってくれていたスタッフがいてくれたんですよ。生活の問題で辞めなくてはいけなくなったスタッフもいたので申し訳ない気持ちもあって、でもそうやって待ってくれてる人がいることで頑張らないといけないと思って。今も待ってくれてるお客さんがいるからやらなきゃいけないと思えるんです。
カザマ
その考えが素晴らしいと思いますよ。育ちの違いなのかな?(笑)
千々和
鈴木さんの考え方もすごいと思いますし、カザマさんの想いも分かる部分があるんですよね。
カザマ
重たい話なんですけど、最近“死のうかな”と思うことが増えてきたんですよ。その時に遺書を書こうとして、いろいろな人のことを考えると“まだ死んじゃいけないな”と思うんですよね。“この人に対してはすごく迷惑になる”と考えてると死ねないなと。それを繰り返して生きてきて、今日に至ります。
千々和
いろいろプレッシャーに感じることもあるけど、やっぱり周りの人たちの存在は大きいんですね。カザマさんはライヴについては今どう思ってますか?
カザマ
ライヴをしないという選択は簡単なことで、その上でライヴをしていたことに気づいたら、バンドがどんどん消滅していく感覚が強いですね。曲はたくさん作ってますけど、全然楽しくないんですよ。ひとりでやっても精神が統一しないし、今はずっと寝ていたいみたいな。
千々和
ワンマンの振替公演が決まっていて、やりたい気持ちはあるけどモチベーションが追いつかないという感じですか?
カザマ
スタジオに入っている時は楽しいんですよ。みんな音楽が大好きだし、楽しいし。その姿を人に観せればいいのに観せれないという感覚があるだけで…ライヴは頑張りたいけど、難しいですね。
石田
バンドが自分のために存在するものではなく、お客さんありきのものになってて、そこが自分のモチベーションとは別ものになってるんですかね。“お客さんを満足させられるのか?”みたいな。
千々和
今回の座談会は鈴木さんの推薦でカザマさんにもご参加をお願いしたんですけど、鈴木さんにとってのカザマさんや3markets[ ]はどんな存在なんですか?
鈴木
僕はスリマに救われてるんですよ。新宿Marbleの店長になって直ぐくらいにスリマと出会ったんですけど、当時はなかなかうまくいかないことが多かったんです。思うようにブッキングが組めなかったり、スタッフをうまくサポートできなかったり。そんな時にスリマに出てもらったんですけど、「死ぬほどめんどくさい」という楽曲にどれだけ救われことか! 最後に《うまくいかないならば やるしかないんだ》っていう歌詞があって、今でも“辞めたい”“つらいな”と思った時に、頑張ってうまくやることでしか次に進めないんだって教えてくれるんですよ。スリマはネガティブなことを発信しても最後はポジティブなメッセージをくれるので、僕はどんなにカザマさんがネガティブなことを言っても、何か希望を持ってるんじゃないかって思うんですよね。本当のところは全然分からないですけど、いつも自分にプラスに向けてくれるものがあるバンドなんです。なので、コロナでも最後には絶対ぶっ飛ばしてくれると思ってます!
カザマ
でも、《うまくいかないならば やるしかないんだ》って鬱になりますよ。“やるしかないって、何をやればいいんだ?”って思っちゃうんで。今なら“休めばいいんだよ”で終わるかもしれないですね。
鈴木
“休めばいいんだよ”は面白いね(笑)。でも、スリマの曲は言いたいことを歌ってくれるし、なぜかカザマさんといたら言いたいことが言えるんですよ。だから、今回の座談会もカザマさんと一緒がいいって言ったんです。カザマさんといる時しか言わない本音があったりしますもん。
千々和
逆にカザマさんから見た新宿Marbleはどういう存在なんですか?
カザマ
“強い”って感じですね。世間一般からしたらライヴハウスは必要ないと思うんですよ。それでもバンドはライヴをやるわけじゃないですか。新宿Marbleはそんなバンドが好きで、音楽の力を信じてるんだと思います。ライヴハウスってお金が至上主義だったり、流行りのものを追っかけるところもあるけど、新宿Marbleにはそういうところがないというか。今でも結構一貫してパンクひと筋なイメージがあるんですけど、それは鈴木さんが好きな音楽を好きなようにやりたいからで、そのためにお金を必要としていることを今日話して再確認できたし、すごく羨ましいと思いましたね。それが逆転するとバンドが死ぬし、ライヴハウスも死んでいくので。
石田
ライヴハウスシーンにはこういう“右に倣え”ができない人がいないといけないんですよ。

OKMusic編集部

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