『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【東の広場 PARK STAGE
】初日ーー清水翔太、sumika、コブク
ロ、渋谷すばる、BEGINが歌の力で起
こすフェスマジック

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.10(SAT)東の広場 PARK STAGE
『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』「東の広場 PARK STAGE」初日
万博記念公園の東の端に位置する「東の広場 PARK STAGE」は周辺に遮るものがなく、空が広く見渡せ、野外の開放感を存分に味わえる場所。ステージを向いて振り返ると左後方に太陽の塔や観覧車も見えて、なんだかテンションがあがる。開演前には午前中に降っていた雨も止み、青空に鱗雲がうかぶ絶好のフェス日和に。一部水たまりも残っているが、暑いくらいの日射しが降り注ぎ、地面もどんどん乾いてくる。入場時に1人1枚配布されるレジャーシートをそれぞれの場所に敷いて、楽しむ準備は万端。距離を保つための対策ではあるが、座ってくつろぎながらゆったりと開演を待てるのがこのアイデアのいいところだ。
FM802 DJ中島ヒロトと吹田市出身の麒麟・田村裕が地元トークでオープニングを盛り上げると、いよいよ1組目のライブがスタート!
開催を祝福するような爽やかな秋空の下、トップバッターを飾るのは大阪府八尾市出身のシンガーソングライター・清水翔太だ。ダンサーを従え、黒の衣装にサングラスのクールな姿で登場すると、しなやかな身のこなしで「Sorry Not Sorry」を披露。のびやかな歌声が響くと、前方には興奮を抑えきれず手を振るお客さんの姿も。男性目線の恋心を描いたラブソング「My Boo」では、せつなさを表現したボーカルではじめての聴衆もどんどん魅了していく。
清水翔太
2曲を終えたところで、「ひさびさのトップバッターなんですけど……」と少々緊張気味ながらも、「みんなのことを最後まで最高に楽しませて今日を終えます!」と高らかに宣言。続く「Feel Good」ではスタンドマイクでセクシーかつ圧巻のハイトーンボイスを響かせる。うっとりさせる美声に惜しみない拍手が送られた。中盤以降はダンサーなしのラフなパフォーマンスで、軽やかにステージを楽しむ姿が印象的。
清水翔太
そして「次で最後の曲です」と紹介されたのは、2008年にリリースされたデビューシングルの「HOME」だ。アーティストになる夢を持ち通っていた大阪・京橋のスクールで、学校になじめなかった10代の自分がはじめて見つけた居場所=HOME。そんな自身にとっての特別な想いを込めたこの曲を「大阪でどうしても歌いたい」とラストソングに選んだ。自らキーボードを演奏しながら魂のこもったリリックを紡いでいく。あたたかいハンドクラップがそれに応え会場はピースフルな雰囲気に。最後はアカペラでたっぷりのシャウトにありったけの想いをこめて「東の広場 PARK STAGE」のトップを堂々と務め上げた。
片岡健太(sumika / Vo.Gt)
「一人で来た人はひとりにさせない。誰かと来た人はその人ともっと仲良くなれるライブをやります!」そんな言葉でリハーサルから盛り上げたsumika。FM802 DJ樋口大喜は冒頭、「彼らの「雨天決行」という曲に支えられました。お礼を言わせて! ありがとうsumikaー!」とライブ前から激励を送る。
黒田隼之介(sumika / Gt.Cho)

荒井智之(sumika / Dr.Cho)

「8ヵ月ぶりのライブ。盛大な「ふっかつのじゅもん」を携えてsumika始めます!!」という片岡健太(Vo.Gt)の開会宣言とともにと勢いよく「ふっかつのじゅもん」でライブがスタート。お客さんは、声が出せないかわりにダンサブルなビートに合わせて手を振り応える。ライブができる喜びがおさえきれないといったメンバーの笑顔を見ているとこちらまで胸が熱くなる。「大阪好きやでー!」と鳴らされた「フィクション」では、キラキラとしたまばゆいアンサンブルが緑の芝生に映えて、リズミカルなハンドクラップの息もぴったり。開始2曲ですでに、お客さんひとりひとりがまるでバンドメンバーであるかのかのような一体感が生まれていた。
小川貴之(sumika / Key.Cho)
「最高のご褒美のような1日です」(片岡)とライブができる喜びを改めて伝えると「イコール」を。<雨のち晴れのち雨だって>で天を指し、あたたかみのある歌声とメロディで優しく会場を包みこんでいく。「Summer Vacation」では、ハンドマイクでステージの下手端、上手端へと移動し、ひとりひとりに歌を届けながら、喜びを全身で表現する片岡健太。思わず「気持ちいい!」と心からのひとことが。
片岡健太(sumika / Vo.Gt)
「忘れかけてたけど、人が喜ぶ顔ってめちゃくちゃ嬉しい。思い出させてくれてありがとう! 大阪に育ててもらった愛情がたっぷりつまったこの曲を!」と最後に披露されたのは「Lovers」。小川貴之(Key.Cho)の躍動感あふれるピアノに合わせ、フィールドにハンドクラップが響き渡る。メンバーもお互いに顔を見合わせ、この8ヵ月の想いや願いが現実となった喜びを確かめ合っていた。
sumika
コブクロ
午前中、「GENKi STAGE」で開催された「1970年大阪万博50周年記念セレモニー」に登壇したコブクロ。その場で松井一郎大阪市長に25年『大阪・関西万博』の公式テーマソング担当を任命されるというサプライズもありつつ、今年初のライブとあって、注目度の高さがうかがえる集客に。後方エリアまでディスタンスをとりながらもぎっしりとシートが敷き詰められている。「やっとお客さんの前に立てました!」と小渕健太郎が挨拶すると割れんばかりの拍手が。
小渕健太郎(コブクロ)
「-Road to 2025 SPECIAL LIVE-」と題したこのステージで、今年初めてお客さんの前で演奏する1曲目は昨年の『大阪マラソン2019』の公式テーマソング「大阪SOUL」だ。感触を確かめるように丁寧に歌を届けていくふたり。続く「Million Films」を歌い始めると、先ほどまで空を覆っていた雲が晴れて太陽の光がまぶしくフィールドを照らしていく。包容力のあるふたりの歌声が新たな1ページを作っていくようだ。
黒田俊介(コブクロ)
続いては、昨年秋に制作したがライブで歌うのは初めてという「卒業」。黒田俊介の叙情的な歌唱から小渕が加わりダイナミックなハーモニーへ。出会いや別れを思わせる甘酸っぱさとせつなさが胸をしめつける。そしてこの流れから披露されたのは22年前にふたりで初めてつくった曲「桜」。MCでは、50年前の大阪万博のシンボルも「桜」だったという不思議な縁と、今回『大阪・関西万博』の公式テーマソングをつくることになった喜びを語るふたり。
発売前の新曲「灯ル祈リ」も披露され、渾身の力で歌いあげた黒田が「やばい無理かも……明日の分の祈りも出してもうた(笑)」とステージに倒れ込む場面も。
コブクロ
終盤、「雨上がりの空に七色のあれをかけます!」(小渕)とはじめたのは「虹」。続いて「音楽でできること、いっぱいあると信じています。心の雲を晴らしてほしいと願いを込めて。心の中で歌ってください」とラストソングの「どんな空でも」へ。モニターに表示される歌詞に合わせ、みんなで<いつしか晴れるよどんな空でも>と心の中で大合唱! そんな時、先ほどの小渕の宣言通りにステージ横の空にうっすらと本物の虹が! ふたりの歌のパワーとそこに居た全員の気持ちが空に届いたのか。自然が起こした奇跡の演出を目の当たりにしたドラマティックなフィナーレとなった。
渋谷すばる
日が暮れる直前の「東の広場 PARK STAGE」に、黒Tシャツとデニムというラフなスタイルでバンドを従え、ステージに現れたのは、2019年にソロアーティストとしてのキャリアをスタートさせた渋谷すばる。自身はブルースハープを奏で、バンドメンバーと共にブルージーなセッションを繰り広げるオープニングから一気に独自の世界観に引き込んでいく。
渋谷すばる
11月11日(水)に発売される待望の2ndアルバム『NEED』に収録のパンキッシュな「たかぶる」になだれ込むと、目を見開いて生身の姿を曝け出すように喉を震わせるそのボーカル力に圧倒される。
その後も「ワレワレハニンゲンダ」から「トラブルトラベラ」へとMCなしで、彼にしか鳴らせないロックンロールを容赦なく響かせていく。想像を飛び越えてくるサウンドに、渋谷の揺るがない人間力が際立つ詞や声をのっけていくライブ。ブルースハープを自己の分身かのように奏で吠えるように歌う姿は、紛れもないロックスターだ。「爆音」ではギターをかき鳴らし、シャウトしながら「大阪―!」と初めてお客さんに向けての声を発した渋谷。オーディエンスは、拳を上げてそれに応えた。
渋谷すばる
夕暮れと夜の境目の空気感にマッチする「風のうた」は再度新作アルバムから。ハンドマイクで力を抜いた飾らない歌唱で、また違った表情を見せてくれた。MCは最後にこの言葉のみ。「1日でも早く、その(間隔がとられた客席を指さし)隙間が埋まるように頑張っていきましょう!」と自身も鼓舞するように拳を突き上げると拍手が。
渋谷すばる
そして最後は、新作アルバムから「素晴らしい世界に」を披露。マイクのコードを握りしめながら、丁寧に一音一音、言葉ひとつひとつに魂をこめていく。圧倒的な歌唱力で誠心誠意を込めて音楽を伝えようとする確かな意志がそこにあった。
BEGIN
今年デビュー30周年を迎えたBEGINは、『OSAKA GENKi PARK』に2日連続出演! 1日目はサポートメンバーを加えた5人編成のバンドセットで「東の広場 PARK STAGE」のトリを飾る。「はいさい!BEGINです!」と挨拶後、石垣島在住の比嘉栄昇(Vo)は、「石垣島で天気予報を見て(開催は)無理だなと思ってた。大阪行きの飛行機が飛ばなくて。心が一回折れてまだ復活してないけ(笑)」と笑わせつつ、「でもこの景色を見れて最高!」とスタッフを労うと会場からは拍手が。「まさかの最高にいい雰囲気! いろんなことを忘れて、同じひとときを過ごしてください」とトークで会場の空気を和ませてくれたところでライブの幕が開けた。
比嘉栄昇(BEGIN / Vo)
島袋優(Gt.Vo)がギターをつまびくと「恋しくて」のフレーズがしっとりと夜の空気を揺らす。やわらかな夜風が頬をなでる、これ以上ない気持ちのよい空気感の中、珠玉のナンバーが続いていく時間に誰もが酔いしれていた。島袋の三線の音色とボーカルが沖縄の風を呼んでくる「海の声」、比嘉も三線をかかえ「三線の花」など中盤は、石垣島の海をすぐそこに感じるような名曲が続く。
島袋優(BEGIN / Gt.Vo)
そして1曲終わるごとに「みんな元気だった? 元気だから来てるさね? 良かった」と沖縄の方言でひとりひとりに話しかけてくれる3人のゆるいMCもリラックス感満載だ。「島人ぬ宝」を心の中で口ずさみながら、南国のリズムに身体を揺らす。
上地等(BEGIN / Pf.Vo)
「手拍子ありがとう! あれやるか?」とその場の空気感で曲を決めていくスタイルも心地良い。そして選ばれたのは、誰もが知るBEGINの名曲「笑顔のまんま」。パーカッションをセットした比嘉がみんなにリズムの取り方をレクチャーすると、一体感のある手拍子をベースに上地等(Pf.Vo)のピアノが軽やかに流れていく。こんな時代だからこそ<笑顔のまんま そうさ人生生きてるだけでまるもうけ>の歌詞の奥深さが身に染みて、マスクの中で涙をにじませるお客さんの姿も。「最後にもう1曲だけやって帰ります」と披露されたのは、「涙そうそう」。最高のシチュエーションの中、すべてを優しく包み込んでくれるようなメロディを聴きながら、最高に贅沢な時間を過ごした。
BEGIN
取材・文=岡田あさみ 撮影=田浦ボン

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