ゆず オンラインツアー3日目は帆船・
日本丸での演奏も盛り込み、"新天地
"から熱演

ゆず ONLINE TOUR DAY3 新天地 2020.10.11 ぴあアリーナMM
ゆずが10月11日、オンラインツアー『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』の3公演目を行った。毎週日曜日の21時から配信され、会場、テーマ、セットリストをすべて変えながら行われる同ツアー。「DAY3:新天地」と名付けられたこの日の舞台は、今年7月10日に開業したぴあアリーナMM。ゆずはアリーナツアー『YUZU ARENA TOUR 2020 YUZUTOWN』の一環としてこけら落とし公演を予定していたが、コロナ禍の影響により中止。同じ日に“こけら落し映像配信”として「栄光の架橋」を披露した様子をYouTubeで公開した。
「そのうち、ここでも逢えるよね?」というキャッチコピーが付けられたこの公演で北川悠仁、岩沢厚治は、デビュー曲「夏色」から今年リリースされた楽曲まで、キャリアを網羅するようなセットリストを披露。オーディエンスに“早く生のライブが見たい!”という気持ちを呼び起こす圧巻のステージを見せてくれた。
ゆず 撮影=太田好治
1曲目に選ばれたのは、「遊園地」(ミニアルバム『ゆずマン』収録/1998年)。広いアリーナのど真ん中で北川が鍵盤ハーモニカでイントロを奏で、岩沢がアコースティックギターを響かせると、コメント欄には「懐かしい!」「この曲、好き」という言葉が並ぶ。AR(拡張現実感)を使い、大きな風車が会場を埋め尽くす演出も鮮やかだ。さらに「始まりの場所」(アルバム『ゆずえん』収録/1999年)では北川がタンバリンを叩きながら、観客に向けてジャンプやシンガロング、手拍子を誘うようなパフォーマンスを披露。カメラ目線も多めで、1回目、2回目の公演以上に一体感が感じられた。
ゆず 撮影=太田好治
ゆず 撮影=太田好治
“「夏色」以外はかぶりなし”を謳っている今回のオンラインツアー。この日も普段はあまりライブで歌われないレア曲が次々と披露された。まずはフォーキーな手触りの「ウソっぱち」。ファンの間で根強い人気を得ている「月影」(シングル「またあえる日まで」収録/2002年)では、会場が暗転し、まるで月影のような照明で憂いを帯びた楽曲の世界を際立たせた。続く「うまく言えない」(アルバム『WONDERFUL WORLD』収録/2008年)は、三浦春馬がMVに出演していた叙情的なバラード。<うまく言えないけど 溢れてくる/この声もこの泪も君を想えば>というフレーズを歌いながら涙を流す北川の姿からは、溢れんばかり思いが伝わってきた。
ゆず
ここで二人はぴあアリーナMMを出て、車で移動。みなとみらいエリアに停泊している国指定重要文化財・帆船日本丸へ。「これはアガるね!」(北川)と嬉しそうな表情の二人は、看板で「桜木町」(シングル「桜木町/シュミノハバ/夢の地図」収録/2004年)を歌い上げる。<大きな観覧車「花火みたいだね」って>という歌詞のところで背後に見えるコスモワールドの観覧車が(まさに花火ように)色を変えるダイナミックな演出も。また2018年の『BIG YELL』ツアーの映像を挟んで披露された「うたエール」(配信シングル/2018年)では<待っているよ 未来>というフレーズを高らかに響かせ、「みんな、がんばろうな。届け!」(北川)と呼びかけた。
ゆず 撮影=太田好治
ぴあアリーナMMに再び戻り、アコギバージョンの「スミレ」(シングル/2003年)——岩沢のハーモニカ、北川のピッキングハーモニクスが切なく響く——からライブは後半へ。「みんな、盛り上がってますか!? 暴れられる場所の人たちは暴れて! 暴れられない人たちは心だけ躍らせてください!」という言葉からはじまった「青」では、強い感情が込められた歌とともに“強い北風が吹いて”などのテロップが画面に写し出される。「もっと近くに来い!画面を超えて来い!」と語り掛ける北川、アコギ1本で豊かな感情を生み出す岩沢からも、オーディエンスに対する強い思いがはっきりと伝わってきた。5公演共通の「夏色」(シングル/1998年)では、日本丸、観覧車がARで会場に登場し、スマートフォンアプリ・ピグパーティを通じてアバター化したファン24名と共演。「もう1回」「もう1回」とカラフルな文字が踊る演出も楽しい。
ARによる花吹雪が舞った「花咲ク街」(アルバム『YUZUTOWN』/2020年)の後、岩沢が「蛍の光」のメロディを奏でるなか、北川は改めて観客に語り掛けた。本来はこの会場でアリーナツアーをやるはずだったこと。それが出来なくなり、悔しい思いをしたこと、オンラインツアーでみんなと会えることが本当に嬉しいこと——。
「とってもつらい日々なんだけど、じつはいっぱい学んだこと、気付いたこともたくさんあって。それを忘れずにいたい」「次に会うときは、お互いに気づいたことや思いを持ち寄れたら嬉しいなと思います。必ずまた、ぴあアリーナで会いましょう」という言葉に対し、ファンからは「会いたい!」「ありがとう」というコメントが寄せられた。
ゆず 撮影=太田好治
「辛い時期に、俺たちとみんなをつなぐ曲ができたから」(北川)と披露された最後の曲は「そのときには」(配信シングル/2020年)。SNSで募集した「新型コロナウイルスが収束した、“そのとき”にしたいこと」をもとに制作された楽曲を手渡すように歌い、3日目の公演はエンディングを迎えた。
「DAY3:新天地」のアーカイブは10月21日(水)23:59まで視聴可能。「DAY4:青写真」は10月18日(日)21:00にスタートする。ゆずの“これまで”と“これから”を体感できる『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』は、いよいよ佳境。ぜひ多くの音楽ファンと共有したいと思う。

取材・文=森朋之 撮影=太田好治

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