【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#169
作曲家・筒美京平の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

最高で月に45曲くらい書きました。レス
トランははやっていないとダメ。材料が
落ちる。職業作曲家も同じ。注文が来れ
ば来るほど、いい仕事ができる

より

今回の名言は、2020年10月7日にこの世を去った筒美京平を偲んで公開された記事からの抜粋。記事は主に、1997年に筒美の作曲家生活30周年を記念して行われたインタビューでの言葉を紹介している。筒美はその中で、音楽家を志ざす者へのメッセージとも取れる数々の言葉を残していた。井上陽水吉田拓郎に代表される1970年代のフォークブームについて訪ねられた筒美は「脅威でした。でもヒットを作る自信はあったし、その通りになってきましたね。シンガー・ソングライターは芸術家。僕は職業作曲家だから」と語っている。また、「今はどの方向が新しいのかが決まっていない。作曲家にとっては難しい時代です。みんなの好みの最大公約数が読めなくなった」と明かしつつ、2013年に行われた書面での取材記事では、近年のヒット曲について「曲の種類も表現の仕方も、昔からは考えられないほど増えた。メロディーライン、歌い方、リズムのとり方、多種多様で感心する」と、音楽界の明るい未来を示唆していた。

筒美京平(つつみきょうへい)
1940年5月28日生まれ、東京都新宿区出身。作曲家、編曲家、筒美音楽事務所代表。1963年、日本グラモフォン(現在のユニバーサルミュージック)に入社。洋楽担当ディレクターとして勤務しつつ、音楽家のすぎやまこういちに師事し作曲と編曲を学ぶ。1966年、藤浩一の「黄色いレモン」で作曲家デビュー。1967年、ヴィレッジ・シンガーズの「バラ色の雲」がヒットし、専業作家としての道を歩み始める。同年、日本グラモフォンを退社。1969年、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」で第11回『日本レコード大賞』作曲賞を受賞。1971年、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」で第13回『日本レコード大賞』大賞を受賞。1979年、ジュディ・オングの「魅せられて」で第21回『日本レコード大賞』大賞を受賞。1960年代後半から今日に至るまで、グループ・サウンズをはじめ、歌謡曲、アイドル歌謡、J-POP、アニメソングなど、多種多様なヒット曲を世に送り出し続けている。1971年、1972年、1973年、1975年、1976年、1981年、1982年、1983年、1985年、1987年の計10回、日本の作曲家別レコード売り上げ年間1位を記録。自身の作曲作品が、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代と、5年代連続でチャート1位を獲得。1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代と、6年代連続でTOP10にチャートイン。などなど、筒美が歌謡史に残した記録には枚挙に暇がない。1997年、作家活動30周年を記念して約2650曲の作品の中から163曲を厳選したCD-BOX『筒美京平:HITSTORY』をリリース。2003年、紫綬褒章受章。2007年、作曲家のトリビュート・アルバムとしては日本初の『the popular music 〜筒美京平トリビュート〜』をリリース。2019年には、声優で歌手の田所あずざに「あなたの淋しさは、愛」(作詞:売野雅勇)を提供。2020年10月7日、誤嚥性肺炎により死去。享年80。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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