INORAN

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全うして、さらに高みを
求めていくのが責任

2013年にリリースされたRYUICHIさんのアルバム『Life』では「トパーズの丘」を楽曲提供し、ソロ活動20周年の年だった2017年にはSUGIZOさんと対バンツアーを行なっていますが、メンバーとソロで共演するのはどんな感覚になるのでしょうか? 

それはもう自然ですよ。みんなそれぞれソロアーティストというか、いちミュージシャンとして表現をしているし、別にLUNA SEAで音を合わせる時と変わらない。その人の癖があるので、ジャンル感とか場所ではないんですよ。例えばSUGIZOがLUNA SEAの曲を弾いている時も、ソロでダンサブルにやっている時も、僕にとってはタイム感や癖が一緒なんですよ。

お互いを分かっている者同士だからこその感覚ですね。

人生の中で一緒にいる時間が家族より長いし、乗り越えてきた喜びを分かち合ったり、抱えている想いも同じだったりとか…極端に言うと、一緒に音楽を作ってきた感覚が自分の細胞の中に入っているんです。いて当たり前ではないけど、一緒にいるのが自然なんですよね。

では、INORANさんにとってのLUNA SEAはどんな存在ですか?

昨年30周年を迎えて、最初はそこまでメンバーと一緒にいて、たくさんの人に応援してもらえるバンドになってるとは思わなかったし、いつまでかは今は分からないですけど、ミュージシャンとして最後まで仕上げないとなって。もうライフワークになってるし、全うして、さらに高みを求めていくのが責任だと思う。

他にもhideさんとJさんと組んだMxAxSxSをはじめ、KEN LLOYDさんと組んだFAKE?や、RYUICHIさんとH.Hayamaさんと組んだTourbillonなど、いろいろなユニットやバンドでの活動もありますが、それらがご自身にもたらした影響はどんなものでしたか?

それぞれに得るものがすごくありましたね。それはいい刺激だったりとか、向き合う脆さであったりとか、いろんな経験ができました。印象に残っていることはいっぱいあるけど、FAKE?では初めてRYUICHI以外のヴォーカリストとやったので、シンガーでもこんなに違うっていうか、アイデンティティーも考え方も違うので、音楽の世界は広いんだなっていう可能性を感じましたね。

30年以上の音楽人生の中で苦しいことや悔しいこともあったと思いますが、どのようにご自身を奮い立たせてきましたか?

刹那的な表現になっちゃうけど、自分の経験上、何かを得るために何かを失っているわけですよ。両方は無理なんです。得るために捨てることもあれば、得ない代わりに捨てないこともある。何でもそういうふうに活かせてきたのかもしれないですね。ものすごく幸せな仕事をさせてもらっているので、止まることなく進んでこれたのは良かったです。

音楽をやっていて幸せだっていう気持ちは前から感じていたことですか?

幸せっていうか、感謝をしながら生きていくっていうのは年齢を重ねた証かもしれないですね。その中に“幸せだ”っていう言葉の表現もあるってことで、若い頃は思ってても恥ずかしくて言えないですよ。年齢を重ねると言えるようになるというか、言わないといけなくなるんです。

どのくらいのタイミングで言えるようになりました?

何もかも知ったような口を叩く30代を超えた時からですかね。まだ何も知らないんだって思い知った時というか(笑)。でも、人それぞれだと思いますけどね。世界には俺なんかよりも次元の違う人がいっぱいいるわけだから、自分の意志として言葉にして伝えていけたらなって思います。

ここまでINORANさんに起きた変化をおうかがいしてきましたが、逆にご自分の中にずっと変わらずにあるものは何ですか?

音楽に対する“好き”っていう情熱ですね。それは変わらないです。よく言うんですけど、嫌いな気持ちと両方を足しても好きが上回る。

それは初ライヴをした時からありました?

初ライヴの時は嫌いってことはまったくありませんでしたから。やっぱり仕事になると嫌いな部分があってもやっていかないといけないからね(笑)。楽しいだけじゃ生きていけないから。

最後に、INORANさんにとってのキーパーソンはどなたですか?

親父かな? 生き方として言葉に出さなくても最低限のことは教えてもらったし、それは根づいている部分があると思う。今思うとネガティブなことを一切言わない人なので…俺なんてネガティブなことを言ってばっかりなんだけど、音楽人としての手前の話で、人としてそういうふうな人間でありたいですね。

お父さまのギターが家にあったから音楽を始めたっていうこともありますしね。

もちろん。でも、音楽の話は最近あんまりしなくて…昔はちょこっとしてましたけど。ポール・モーリアとかジャズを勧められたり。

ふたりでギターを弾いたりとかは?

それはまだないですね。ふたりともシャイなんで(笑)。今度バトルでもしてみようかな? 負けちゃうだろうけど。人間的な深みが違いますからね。

作品に対する感想をもらうことはありました?

あんまり口数が多い人ではないので感想も言わないね、たぶん嫌いなんだよ(笑)。生きることってどういうことなのか…健康に気をつけるとか、人に思いやりを持つとか、努力はどのくらいしないといけないのかとか、教わったのは上辺だけじゃなくて基本的な話ですね。当たり前の話だから染みますよ。まぁ、大人になってから人に教わることもあるし、そういうことも大切にしながら学んだことを合わせて、どんどんハイブリットしていって自分を形成する。あと、できるだけみんなが喜んでくれる音楽を作っていく。それが自分のモットーですね。

取材:千々和香苗

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OKMusic編集部

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