元Berryz工房の夏焼雅のダンス&ボー
カルグループPINK CRES.がコロナ禍に
明るさと力をくれるリリースSPICE初
登場インタビュー

Berryz工房の夏焼雅とオーディションで選ばれた二瓶有加、小林ひかるで4年前に結成したPINK CRES.。今年2月にメジャーデビューしてからは初となるミニアルバム『Soleil』が発売された。“太陽”を意味するタイトル。レトロフューチャーなダンスミュージック、エレクトロなスウィングジャズなど様々な趣向を凝らしたサウンドに乗せ、コロナ禍に明るさと力をくれる楽曲が並んだ。
——二瓶さんと小林さんは4年前にPINK CRES.のメンバーに選ばれたとき、まだ大学生だったんですよね?
二瓶有加:経済学部でしたけど、勉強したことは何ひとつ覚えていません(笑)。
——二瓶さんは居酒屋でバイトをしていたそうで。
二瓶:めちゃめちゃビールを運んでました。ジョッキをひっくり返すのは日常茶飯事(笑)。一番やらかしたのは、地鶏のお皿をお下げしたとき、片手でジョッキを持っていたから斜めっちゃって、黒い油をお客さんの白いTシャツに掛けてしまって。ジャンピング土下座で「すいませーーーん!!」と謝って、笑って許していただきましたけど、まだ18歳か19歳だったから通用したんだと思います。
二瓶有加 / PINK CRES.
——その頃からギャルだったんですか(笑)?
二瓶:つけま、カラコン、バイブス、イェイ!! って感じでした(笑)。PINK CRES.に入ってからは全部やめて、今回のアルバムは大人っぽいコンセプトなので、髪色も一番暗めにして脱ギャルしたんです。それでも不思議と「ギャル」と言われるので、これはもう強みかなと思っています(笑)。
夏焼雅:ナチュラルギャルなんだよね。にへ(二瓶)は肌の露出も一番多いです。出したがりなので(笑)。
二瓶:出したがりではないです(笑)! 2人がシュッとしているので、私は出したほうがスッキリ見えるかなと。
夏焼:お色気でね(笑)。
二瓶:喜んでいただけたら嬉しいです(笑)。
——小林さんはアパレル店でバイトをしていたんでしたっけ?
小林ひかる:そうです。服が好きで、PINK CRES.も「ファッションリーダーのみやちゃん(夏焼)がやるなら」と応募しました。アイドルが好きだっただけで、歌もダンスも経験なかったんですけど。
夏焼雅:ひかちゃん(小林)はコートを売るのが得意だったそうです。一番高いものだから、技術を持っていたと思うんですよね。
小林:だから、私はバイトでやらかしてはいませんけど(笑)、カフェでバイトしていたとき、ラテアートを描こうとすると、絵が破滅的にダメで……。
夏焼:ひかちゃんの絵は本当にすごいんです(笑)。今、ラテアートと聴いてビックリしました。
小林:簡単な猫の絵でもグチャグチャになって「何を描いたの?」と言われて、お客さんには出せませんでした(笑)。
夏焼雅 / PINK CRES.
——当時、二瓶さんはダンスを15年やっていたそうですが、歌は未経験。小林さんは歌もダンスもやったことがなかったという中、夏焼さんは選考で2人のどんなところを買ったんですか?
夏焼:私1人で決めたわけではないですけど、にへはダンスの見せ方がすごく上手だったのと、最初の印象が今と違って、クールでキリッとしてカッコイイ感じだったんです。こういう子がグループにいたら、強みになるかなと。ひかちゃんはオーディション中、ずーっと笑っていて(笑)、審査のスタッフさんたちがバーッと並んでいた中で、誰に質問されても私を見て答えてくれて。たいてい一番偉そうな人にアピールするのに、この子は人に左右されない芯の強さがあると思いました。でも、発言は「ん?」となることが多々あって(笑)、不思議ちゃんで年齢のわりに幼い部分にも惹かれました。
——2人とも、よく短期間でプロのレベルに追いつきましたよね。
小林:最初はマイクをどう持つもわからなかったし、ちゃんと立ち位置で歌うことすらできず、すごく迷惑をお掛けしていたと思います。
二瓶:でも、みやちゃんが私たちに歩み寄ってくれて。リハーサルでわからないところはその都度、寄り添って教えてくれたから、私たちもガムシャラにやりながら、ちょっとずつ形になっていきました。
——血が滲むような努力もされたんでしょうけど。
小林:血は出てませんけど、アゴは外しました(笑)。合宿のとき、ボイストレーニングでペットボトルをくわえていたら、外れてしまって。それからクセみたいになっているので、ライブ本番で外さないようにしないと(笑)。
——小林さんのラップも、PINK CRES.に入ってから始めたんですか?
小林:はい。最初は本当に舌が回らなくて、「アレ? アレ?」みたいな(笑)。
夏焼:噛んでいて「今日は調子悪いのかな?」というときもありました(笑)。
小林:でも、最近は楽しくなってきました。「宇宙の女は甘くない」はPINK CRES.で一番速いラップで、来たときは「ヤバい!」と思ったのが、今はライブでも「行くよ!」という感じでやっています。ダンスも覚えるのが遅いのに、ラップのパートだけ、先生に「ノリノリだね」と言われます(笑)
夏焼:歌い方もパフォーマンスもすごく変わって、「こんなに男前だったっけ?」という(笑)。オープンスペースのリリースイベントだと、ひかちゃんがラップを始めると聴いてくれる人が増えるんです。「この子がラップを?」という、ギャップに食いついてくれて。
夏焼雅、小林ひかる / PINK CRES.
——それで、ミニアルバム『Soleil』は“太陽”を意味するタイトルも含め、コロナ禍の状況を踏まえて制作した部分があったわけですか?
夏焼:世の中でマイナス思考になってしまう方が多かったと思いますし、私たちもライブとかがなくなって、すごく不安を感じていました。そういう中で自分たちにできることを考えて、やっぱり歌で皆さんを少しでも元気にしたり、勇気づけたいなと。それで世界を明るくする太陽をイメージして、『Soleil』をタイトルにしました。このタイトルに沿った楽曲も欲しくて、中島卓偉さんに書いてもらった「(Stray cat is)STARING AT ME」が最後に出来て、“明けない夜などないはずさ”と自分たちの想いを歌に込められました。
——ハーモニーがきれいなミドルバラードになりました。サウンドは全体的に、シングル曲「ルーレット」の流れで、レトロ感とフューチャー感が交錯する路線?
夏焼:そうですね。でも、新曲はいろいろなジャンルが入りました。1曲目の「マイネームイズアイデンティテイ」はジャズっぽくて、今までのPINK CRES.にない大人っぽさを出したり、6曲目の「OH・SHA・RE」はキャッチーで面白い感じだったり。
——皆さんの楽曲に対する要望は、どんな形で反映させているんですか?
二瓶:たとえば「OH・SHA・RE」だったら、ツアーを回っていたときに「お客さんと盛り上がれる曲が欲しいんですよね」と、スタッフさんにずっと話していたんです。
夏焼:当時パラパラみたいな楽曲がちょっと流行っていて、「こういうのがまた来るの?」という話になって。そしたら本当に、このパラパラの曲を提供いただきました。
小林:「マイネームイズアイデンティティ」も、私が普段ジャズっぽい楽曲を聴いていて、「好きなんですよね」という話をディレクターさんにしていたんです。「こんなラップをやってみたいです」とか。そういうメンバーの好みを反映してくださっています。
——「マイネームイズアイデンティテイ」には“マイノリティを誇れよ”というフレーズがあります。皆さんも何かで、自分の少数派な志向に誇りを持っていたりはしますか?
二瓶:私はメイクですね。若い頃は、つけまつ毛の2枚重ねとかしていました(笑)。
夏焼:やっぱりギャルですね(笑)。
二瓶:しかも、自分の釣り目がイヤなので、目尻だけ2枚重ねで、無理やり垂れ目にしていて(笑)。今考えたら「アレレ?」ですけど、当時は誰に何を言われても、それが一番かわいいと思っていました。今だとノーズシャドウとか、雑誌に載ってない自分だけの入れ方があったりします。
小林:私も服にはこだわりが強いです。あと、趣味でうどんを作るときの腰の強さにも譲れないものがあって(笑)、香川からうどん粉を取り寄せています。
夏焼:私は人見知りなんです。それで損することが増えて、どうしようか考えて、ファッションで自分を表現しようと思いました。初めて会う人にはクールで話し掛けにくく見られがちで、自分からも行けないんですけど、本当は人が大好きで話したくて。それをまず服装で伝えられないかと、ファッションの勉強を始めました。
——いつ頃の話ですか?
夏焼:中学生ですね。小学生の頃は流行りや友だちに合わせていたのが、自分で服を選んで買ってもらうようになりました。「この色だとキツく見えるかな」とか考えて。今も自分らしさを忘れないようにしながら、人にどう見られるか、場所に合うかも意識して選んでいます。
夏焼雅 / PINK CRES.
——「OH・SHA・RE」の歌詞には、往年からのファッションの流行が出てきますね。浜トラ、ニュートラ、ヒッピー、モッズ……とか。
二瓶:竹の子やオリーブ少女はよくわからなくて、ボディコン、ヤマンバ辺りは「あーっ……」という感じでした。
夏焼:真知子って誰? と思ったり(笑)。調べたら“真知子巻き”というのがあったのを知りました。最近もそういう巻き方が流行っていて、やっぱりファッションって回るんだと思いました。
二瓶:MA−1は着てました。今でも流行ってますよね? DC、スケーターとかもリバイバルで着たことがあります。
——あと、このミニアルバムでは終始、自分を大切にすることが歌われています。
夏焼:今までの楽曲でも「自分らしく生きよう」ということを歌ってきて、私たち自身もずっと、歌を通じて自分を持つことについて考えてきました。今回のアルバムでは、始まり方と終わり方がベストだと思います。
——1曲目の「マイネームイズアイデンティティ」で人と比べないアイデンティティを掲げて、ラストのバラード「Me,Myself and I」では自分のまま進化していこうと。
小林:きれいな曲順ですね。
夏焼:「Me,Myself and I」は歌っていて感極まりました。
——皆さんもこの歌詞のように、何があっても“飾らないでいれたなら”と思ったりはしますか?
夏焼:Berryz工房にいたとき、面白い曲やワチャワチャした曲がハロー!プロジェクト内で一番多くて、メンバーもおふざけが大好きだったので、今でも「OH・SHA・RE」みたいな曲を求めている部分がありました。私はPINK CRES.で初めてリーダーという立場になって、責任感やプレッシャーもあって、以前お世話になったスタッフさんに「自分らしさを出せてないんじゃない?」とすごく言われたんです。
——思い当たることもあったんですか?
夏焼:自分では前と変わらず、やっているつもりでした。カッコつける気もなく、引っ張っているところを見せたいわけでもなかったんですけど、人からそう言われるということは、ヘンに意識しちゃっている部分があったんでしょうね。だから、もっとリラックスするようにしていたところで「OH・SHA・RE」が出来て、やっとライブでもBerryz工房の頃の自分を取り戻せると思いました。
小林:私はPINK CRES.に入ってからずっと、自分らしさを模索しています。私の好きなものを活動に取り入れつつ、3人の中で自分だけの色を表現したくて。(シンガーソングライターの)iriさんのアンニュイな世界観が好きで、そういう感じを歌で出したいと思ってきました。
二瓶:私は飾りたくない気持ちは人一倍強いです。背伸びをすると自分がしんどいから、いつも等身大でいたくて。生まれてから20年間、一般社会で過ごしてきて、芸能界はギャップがありますけど、昔の友だちに「変わらないね」と言ってもらうと、すごく嬉しいです。お調子者で、すぐカッコつけてしまうだけに(笑)、裏表のないところは持っておきたいです。
——これから大スターになっても変わらずにいようと?
二瓶:大スターになれたとしても、大衆居酒屋で飲んで焼鳥を食べます(笑)。
——『Soleil』ではPINK CRES.としてのアイデンティティは示せましたか?
二瓶:1曲ごとにカラーが違いますけど、1人ずつのキャラクターがすごく伝わるんじゃないかと思います。
夏焼:今まで私から見て、2人の歌声はかわいい印象でしたけど、今回はカッコ良かったり、「こういう歌い回しができるんだ」という変化があったので、そこが見せられていたらいいですね。
PINK CRES.
——クオリティの高い作品になったと思います。一方、YouTubeチャンネルではコーラの缶に輪ゴムを巻きつけて爆発させる企画などをやっていますが(笑)、ああいうのは誰が考えるんですか?
二瓶:みやちゃんです(笑)。
夏焼:やっぱり今まで4年間、真面目にやりすぎていた感じがするので。ファンの方にも「何か落ち着いちゃったね」と言われますけど、自分ではそんなつもりはないので、だったらワーッとやるしかないでしょうと。
——その決意の表れが、コーラの爆発だったんですか(笑)?
夏焼:そうなんです(笑)。ステージではできないことにチャレンジしたくて、いかにもYouTubeっぽいことをするのもアリかなと。もちろん真剣に歌っている動画も上げますけど、いろいろな自分たちを見てもらうことが、最近は一番面白くて。特に今は、皆さんと会える機会が減ってしまったので、その分、映像で楽しんでもらいたいです。
——では、これからもオシャレな音楽を追求しつつ、面白系の企画もやっていこうと?
夏焼:どんどんやっていきます。2人も覚悟は持っているので(笑)。
二瓶:虫も食べさせられましたから(笑)。
小林:イナゴでも何でもドンと来い! ですね(笑)。
取材・文=斉藤貴志 Photo by 菊池貴裕

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