キタニタツヤ、独自路線で探る2020年代式の「エモさ」に迫る

キタニタツヤ、独自路線で探る2020年代式の「エモさ」に迫る

キタニタツヤ、独自路線で探る2020年
代式の「エモさ」に迫る

キタニタツヤの多彩な活動をおさらい!

今注目を集めるアーティスト、キタニタツヤ。
人気の動画コンテンツ「THE FIRST TAKE」に出演したことも話題となり、その名前を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
▲キタニタツヤ - ハイドアンドシーク / THE HOME TAKE
アコギ一本の弾き語りスタイルで演奏に挑戦したこちらの動画は、現在再生回数が140万回を超えておりその注目度の高さをうかがわせます。
クールな楽曲を生み出すシンガーソングライターとしての一面がピックアップされている印象ですが、実は彼の辿った軌跡には多彩なバックグラウンドが隠されていたのです。
ボカロP、人気バンドへの参加
▲芥の部屋は錆色に沈む/こんにちは谷田さんfeat.鏡音リン
実はボカロPとして活動していたキタニタツヤ。
「こんにちは谷田さん」名義で数多くの楽曲を発表しています。
後にセルフカヴァーバージョンも発表するこちらの『芥の部屋は錆色に沈む』では、現在の彼が持つ刺々しさやクールな荒々しさなどの魅力が詰まっているのがわかります。
文学性の高い歌詞も彼の表現力を存分に物語っており、この時点でただならぬ才能を発揮していたといえるでしょう。
【歌詞コラム】「芥の部屋は錆色に沈む」の歌詞から見えてきたある男の姿とは
https://utaten.com/specialArticle/index/5655
ボカロPとして活躍する流れから、インターネットの音楽シーンを中心に人気を誇るヨルシカやsajou no hanaといったバンドにも参加。
特にヨルシカのベーシストとしての活動から彼を知ったファンも少なくないはずです。
ビジュアルの露出を控えめにし、楽曲主体で勝負する印象の強いヨルシカのメンバーに選ばれるだけあってそのセンスや腕前は相当なもの。
ギターやベースといった楽器それぞれの演奏力はもちろんのこと、自身の楽曲制作で培ったサウンド全体の設計力・プロデュース力の高さには目を見張るものがありますね。
キタニタツヤ名義での楽曲発表
画像引用元 (Amazon)
そんな多彩な経歴を経て、キタニタツヤの名義を用いてシンガーソングライターとしての活動を展開するようになります。
彼が掲げてきたサウンドのクールな雰囲気はそのままに、心地いいボーカルを上乗せした楽曲の数々はヒットを連発。
ひとりのアーティストとして、新世代を牽引していくまでに成長しました。
様々な音楽性を吸収し、彼なりのセンスでまとめたようなその独自の音像。
ボカロファンや邦楽ロックファンの垣根を飛び越えて、幅広く知名度を獲得し続けています。
キタニタツヤ入門。おすすめの3曲を紹介
多彩な音楽性が魅力のキタニタツヤ。
今回はそのディスコグラフィの中からまずは聴いてほしい3曲をピックアップし、紹介します。
夢遊病者は此岸にて
▲夢遊病者は此岸にて / キタニタツヤ - A Sleepwalker Gazing on Nirvana / Tatsuya Kitani
夢遊病者は此岸にて 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/nm20101302
2017年にMVが公開された『夢遊病者は此岸にて』。
ボカロバージョンも同時公開されており、バラエティ豊かな魅力を感じることができる一曲です。
キタニタツヤ名義としては初期の楽曲ながら、その雰囲気や歌唱力は既に十分な完成度。
特に、複雑なメロディをものともせず歌い上げる刺々しい声質の魅力は唯一無二です。
ベースプレイヤーとして名を馳せるだけあって、楽曲中盤に訪れるベースソロのかっこよさはいちばんの聴きどころ。
エフェクティブなギターのサウンドも独自性が高く、DTMソフトの音源に頼らない生演奏の魅力がこれでもかと詰まっています。
クラブ・アンリアリティ
▲クラブ・アンリアリティ / キタニタツヤ - CLUB UNREALITY / Tatsuya Kitani (Official Music Video)
クラブ・アンリアリティ 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/ya19092546
彼のディスコグラフィの中でも特に異彩な魅力を放っているのがこちらの『クラブ・アンリアリティ』。
バンドサウンドから一転して、電子的なドラムマシンやシンセのサウンドを多用したおしゃれな一曲となっています。
浮遊感のあるボーカルのメロディを支えているのは、やはり彼の得意技であるグルーヴィなベースサウンド。
エレクトロな音色との一体感を楽しむことができますよ。
さらに注目したいのが、特徴的なMVの魅力です。
極彩色でレトロな雰囲気やアンダーグラウンドな世界観は、いわゆる「ローファイ」や「ヴェイパーウェーブ」といったアート文化を積極的に取り入れていることがわかります。
ノイズの乗った質感や、ネット動画らしさのある字幕表現など、ここ最近「エモい」と話題になっているそんな流行を見事にとらえています。
パノプティコン
▲パノプティコン / キタニタツヤ – PANOPTICON / Tatsuya Kitani
パノプティコン 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080703
2020年9月現在最新曲となっているのが、『パノプティコン』。
ヒップホップの影響を感じるドラムサウンドなど、随所に見られるトレンド感が、彼のアーティストとしての存在感をさらに高めています。
バンドサウンドの追求からスタートさせたキャリアを、ダンサブルなポップサウンドへとつなげていくキタニタツヤ。
その音楽的な変遷を現在進行形で体感できる一曲でもあり、彼の新しいステージを飾るにふさわしいものとなっています。
そしてこちらもやはり、目を引くのは特徴的なMVではないでしょうか。
1990年代のゲーム機のような3Dポリゴンが所狭しと散りばめられたそのビジュアルは、一周回って新鮮な印象を放っています。
先ほどの一曲に引き続き、レトロな「エモさ」を追求するインターネット的なアートのトレンドを見事に表現した作品に仕上がっています。
これからの音楽シーンを牽引する存在
ボカロPの活動から、バンドへの参加を経て自身の楽曲を世に送り出してきたキタニタツヤ。
様々なジャンルの音楽を取り入れて進化し続ける一方で、彼の持つ独自のセンスやアート感覚は一貫して作品の中に存在し続けています。
荒々しく刺々しい中にも、人生の哲学を織り込んで歌に載せる。
そんな彼のメッセージが、昔から今まで彼を支えてきたファンを魅了する理由のひとつではないでしょうか。
そしてこれからも、キタニタツヤは彼なりの音楽を生み出し続けるのでしょう。
2020年代を代表するであろうアーティストのひとりとして、目が離せませんね。

TEXT ヨギ イチロウ
「キタニタツヤ」の歌詞・動画・ニュース一覧
https://utaten.com/artist/29859

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