ゆず、全5公演で総視聴数80万越えの
オンラインツアー最終日は"文体"から
、代表曲連発のステージに

ゆず ONLINE TOUR 2020 AGAIN・DAY 5 未来図 2020.10.25 横浜文化体育館
ゆずが10月25日(日)、初のオンラインツアー『YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN』の5公演目、DAY5「未来図」を行った。
9月27日(日)から毎週日曜日の21時より配信された同ツアーは、会場、ライブのテーマ、セットリストを変えながら行われ、初日公演は今年9月に閉館した横浜文化体育館、2公演目はゆずの母校である岡村中学校、3公演目はぴあアリーナMM、4公演目は神奈川県民ホールで開催された。最終日の会場に選ばれたのは、初日と同じく横浜文化体育館。「最後に歌わせて。」というコピーを掲げ、キャリアを象徴する代表曲を軸にした圧巻のステージを繰り広げた。
ゆず 撮影=太田好治
オープニングは、横浜文化体育館の前から。「"AGAIN"ということで、横浜文化体育館にもう1回、戻ってきちゃいました! 文体です!」(北川悠仁)と笑顔で挨拶した後、二人は会場の中へ。初回と同じく、体育館のど真ん中に移動し、ガッチリと握手。日本語、中国語、英語で北川が開幕を告げ、「センチメンタル」(シングル「センチメンタル」収録/1999年)からライブをスタートさせた。
ゆず 撮影=太田好治
「最終日、始まりました。“やっと”ですか? それとも寂しいですか?」(北川)「早いね、体感としては」(岩沢厚治)という会話を挟み、「3カウント」(シングル「3カウント」シングル/2001年)、さらに「久々にやる曲です」(北川) と紹介された「夕暮れどき」(シングル「3カウント」収録/2001年)を披露。夕陽を思い起こさせる照明のなか、思春期の恋愛模様が描かれ、ノスタルジックな雰囲気を生み出した。
ゆず 撮影=太田好治
岩沢のハーモニカによるイントロが聞こえてきた瞬間、コメント欄に「きた」「待ってた」という言葉が並んだのは、「からっぽ」(シングル「からっぽ」収録/1998年)。空虚になってしまった心を抱え、答えが見つからないまま、また一歩を踏み出す情景を描いたこの曲は、自粛期間中に“#うたつなぎ”で三浦春馬がカバーした楽曲。北川、岩沢は「だからその目で僕を見ないで悲しくなるから」というサビのフレーズを、目をつぶったまま熱唱した。続く「心のままに」(シングル「心のままに/くず星」収録/1999年)では、現実という名の矛盾に巻き込まれながらも、それでも本当の答えを見つけるために歩き出そうとする姿を力強く歌い上げる。特に北川の全身全霊のパフォーマンス、最後に叫んだ「歩き出そう!」という言葉には、強く心を打たれた。
ゆず 撮影=太田好治
ここで二人は会場の外に出て、初のオンラインツアーを振り返りながら車で移動。到着した場所は、カトレヤプラザ伊勢佐木。ゆずが路上ライブを行っていた旧・横浜松坂屋の跡地に建てられた商業施設であり、2017年12月に“冬至の日ライブ”(フリーライブ)のファイナル公演を行った思い出の場所だ。屋上スペースに足を踏み入れると、そこには“ゆず”型の大きなくす玉が。せーの!と引っ張ると、「祝24周年目突入!!」という文字が飛び出してきた。
「24年目もよろしくな!」(北川)と披露されたのは、「贈る詩」(シングル「夏色」収録/1998年)。路上ライブ時代、誕生日のファンに対して歌ってきた懐かしい楽曲だ。この日(10月25日)は、ゆずのデビュー記念日。「贈る詩」を通し、ゆずとファンが一緒に誕生日を祝うシーンは、今回のオンラインライブの大きなハイライトだったと思う。
続いて代表曲「栄光の架橋」(シングル「栄光の架橋」収録/2004年)へ。アコースティック・アレンジで丁寧に歌詞を届け、この楽曲が持つ普遍的なパワーを伝える。<希望に満ちた空へ…>というフレーズに合わせて横浜の夜景を映し出し、最後のサビではアカペラ(しかもオフマイク)で歌う演出も素晴らしい。
ゆず
再び“文体”に戻り、ライブは終盤へ。故郷・横浜への深い思いを綴った「みらい」(シングル「逢いたい」収録/2009年)、「ライブ映像ベスト(『YUZU ALL TIME BEST AGAIN』)の収録曲の候補だったんですけど、漏れてしまった曲です」(北川)と紹介された「みぞれ雪」(アルバム『ユズモア』収録/2002年)とレア曲を続けた後、代表曲の一つ「少年」(シングル「少年」収録/1998年)へ。「男子!女性!みんな元気かい!?」と呼びかけた北川は、中継スタッフがいるバックステージに突入。さらに”Y・U・Z・U”ポーズで盛り上がり、ライブのテンションを一気に引き上げた。
ゆず
5公演の唯一の共通曲「夏色」(シングル「夏色」収録/1998年)では、ARの演出により、会場全体が海の中に。色とりどりの魚が泳ぐなか、「それそれそれそれ!」「最終日、最終日!」というコールを交えながら、ピグのアバターで参加したファンとともに心地よい一体感を生み出していく。「さらに盛り上がっていきたい! この気持ち、1000倍返しだ!」となぜか『半沢直樹』のモノマネをする北川、満面の笑顔でアコギを響かせる岩沢からは、このライブを全身で楽しんでいることが伝わってきた。
ゆず 撮影=太田好治
舞台の上で披露された「アゲイン2」(シングル「アゲイン2」/2002年)では、村上隆が手がけた“お花”が飛びまくり、祝祭感を演出。「みんな、集まってくれて、どうもありがとう。俺たちは何度でも歩き出せる!」という北川のメッセージも印象的だった。
岩沢が奏でる「蛍の光」が聞こえてきて、ライブはエンディングへ。5日間のツアーを振り返りながら、北川が話し始める。
「俺たちから直接、君たちは見えていなくて、だけど、君たちは俺たちを見てくれていて、どうなるのかなって思ったけど、ライブを始めた途端に、確かに君たちが俺たちの音楽を、歌を、思いを受け取ってくれている感じがして。実体はここにないのに、確かに君がそこにいて、繋がりあっている気がしていました」
「本当は“YUZUTOWN”をやりたかったんだけど、なかなかやれなくて。どうやってやったらいいか、引き続き模索しています。僕らなりに大切な答えを出しますので、みんなどうか待っててほしいなと思います」
「オンラインツアーもとっても楽しいですが、やっぱり生がいいな。俺たちの音楽は鳴り止まない。俺たちの歌は終わらない。どんなどんな形であっても届け続けるから、どうか俺たちを信じてついてきてください! またどこかで、必ず会おうな!」
ゆず
オンラインツアーの最後に歌われたのは、ツアー最終日にしか披露しない「ツアーお疲れさまのうた」。ファンからのメッセージが画面いっぱいに映し出され、それに応えるように岩沢は「23年間お世話になりました」「24年目もどうぞよろしく」と歌った。すべての曲を歌い切った2人は、ステージに立ちオフマイクで「ありがとうございました!」と挨拶。さらに横浜文化体育館の床に「必ずまたあおう」とサインをして、全5公演で総視聴数80万越えを記録したオンラインツアーは幕を閉じた。
5日間の公演を通し、全59曲を披露。初期のレア曲からヒット曲、代表曲、最新曲まで、23年間のキャリアを総括するようなステージを見せてくれたゆず。喜怒哀楽をリアルに込めながら、聴き手の感情を揺さぶり、元気づける二人の音楽の魅力を改めて実感できた、貴重な機会だったと思う。24年目のゆずにも、大いに期待したい。

取材・文=森朋之 撮影=太田好治

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