久本雅美、『初笑い!松竹新喜劇 新
春お年玉公演』松竹新喜劇で憧れの曽
我廼家文童の恋人役に

2021年も松竹新喜劇で新年を寿ぐ京都・南座。来年の『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』では、Aプロの「二階の奥さん」と、Bプロの「鴨八ネギ二郎」という、2作品を交互に上演。Bプロでは、松竹新喜劇は10回目、そのうち南座は4回目の出演となる久本雅美が、曽我廼家文童の恋人役をつとめる。
「老いらくの恋でもイチャイチャしたい!」
初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演
「南座という伝統ある素晴らしい舞台で、元旦からお芝居させていただけるというのは、やっぱり特別な想いがあります。京都でお正月を迎えるのも4回目になりますので、女優やな~という気持ちになります(笑)。「舞台やってるよ~、私~!」みたいな、特別なスタートを切ることができそうです」と幕開けを楽しみにしている。
久本が出演する「鴨八ネギ次郎」は、親子二組が織りなす恋模様を描いた作品。大人気の男女漫才コンビ、鴨八ネギ次郎だが、舞台を降りると二人は犬猿の仲。一方、鴨八の父とネギ次郎の母は子供らに隠れて熱愛中、ついには駆け落ちを決行することに……という物語だ。
「藤山扇治郎くんと泉しずかさんが男女の漫才師で、私と曽我廼家文童さんがそれぞれの親を演じるのですが、ラブコメディで、かつ文童兄さんとの恋人役も初めてなので、めちゃめちゃ楽しみです! 文童兄さんの大きなお胸を借りて、ラブラブしたろと思ってます!」と顔をほころばせる。
2014年、東京・新橋演舞場での『松竹新喜劇 爆笑七夕公演』で松竹新喜劇に初出演した久本。そこでは曽我廼家寛太郎と夫婦役を勤めた。「寛太郎さんとケンカになって、私のことをバーンと突き飛ばすシーンがあったのですが、稽古中に思い切って、そのはずみで文童兄さんの股間に頭を付けたんです。松竹新喜劇でそんなことはありえない。でも、「WAHAHA本舗精神」で、ど緊張しながらも突っ込んで。怒られるかなと思ったら、文童兄さんがすっと私の顔を持ち上げて「なかなか元気な嫁はんですな」とおっしゃったんです。それを聞いた時に、「かっこいい~!」と思って。微動だにせず受け止めて、笑いでもって返すという、心の広さと笑いのセンスに感動しました」と振り返る。
絶妙な間と佇まいで笑わせる文童と、パワー全開の久本。一見、対極に見える二人だけに、久本自身も「異種格闘技を楽しみたい」と気合を入れ、「松竹新喜劇を支えてきた大先輩の懐に入りたい」と話す。また、「趣味は恋愛ドラマを見ること」というだけに、「今まで観てきたものがにじみ出るかも……!」と心を躍らせる。
「もう文童兄さんに「不時着」しますよ! 役の年齢設定は30代の子どもを持つ親世代ということなので、老いらくの恋になります。でも、おばあちゃんやからこそ、こんなことやってかわいいなとか、あんなこともやるんやというぐらいのイチャイチャ感を私は出したい! 文童兄さんにやめてくれと言われるかもしれないけど(笑)」
改めて思うことは「やっぱり舞台ってええなぁ」
久本雅美
今年はコロナ禍の影響を受け、久本も出演舞台が立て続けに中止なった。緊急事態宣言発令解除後、友人が出演する舞台を観に行き、「やっぱり舞台ってええなぁと実感した」と噛みしめるように話してくれた。「生で観る醍醐味、楽しさ、面白さ、役者の息、お客さんの笑い声、喜びの空間、これはかけがえのない時間だなと思いました。今までも舞台に立てることへの喜びはありましたが、なおさらでしたね。健康第一で、舞台に立てる。そしてまた、コロナ禍でもお客様が足を運んでくださる。この思いにお応えできるものを作らないとあかんなと痛感しました」
2021年は、久本が大阪から上京して40年になるという。「私は笑いが好きで、舞台が好きで、この世界に飛び込みました。こうして舞台に立てること自体もありがたいですし、来てくださるお客様にも、よくぞ来てくださったという想いになります。芝居はやっぱり、ひとり相撲ではないですから。皆さんと一緒に、限られた時間、限られた空間で楽しめるものなので、こうやって出演できることは本当にありがたいです」
そんなキャリアを語る上で、いまや「松竹新喜劇に出演」も外せないトピックとなった。「毎回、観に来てくれる親戚のおばちゃんが、今年の新春公演で「やっと馴染んできたね」と言ってくれたんです。それまでは、ハラハラドキドキしていたと。「やっと落ち着いて観れるわ~」と言ってくれて嬉しかったですね」
松竹新喜劇が描く、人間味のある泣き笑いのドラマを見て、ほっこりしてほしいと久本。「こんな大変な時に舞台ができることは本当にありがたいですし、感謝の想いでいっぱいです。お足を運んでくださるお客様に心から感謝しながら、一人でも多くの方に来ていただいて、初笑いでもって良い年の幕開けができるように頑張りたいと思います。皆さんに楽しんでもらうため、とにかく全力で100%の力を出し切ります。マスクで笑い声が聞こえにくいかもしれませんが、お客様が笑ってくださっていると確信して、やるしかないです!」
なお、『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』では、Aプロ、Bプロの両公演ともお芝居上演後、出演者による「新春のご挨拶」も行われる。
取材・文・撮影=Iwamoto.K

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