【ライブレポート】サザンオールスタ
ーズ初の無観客配信ライブーーほぼほ
ぼ年越しライブ 2020「Keep Smilin’
〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼
ぶマンピー!!〜」

◆大晦日恒例の年越しライブが、6年ぶりに無観客配信ライブ「ほぼほぼ年越しライブ」として実現
演奏にのせて、画面越しに日本中へ届けた笑顔と希望。
思いもよらぬ激動の年となった2020年。新型コロナウイルスにより日本中誰しもが厳しい状況にあった中、今年6月25日に医療従事者、ファン、スタッフへの“感謝”を込めた初の無観客配信ライブを実施したサザンオールスターズ。いち早く行われた大規模会場からの無観客配信ライブということで、大きな話題を呼んだこの公演は、日本中に笑顔を届け、エンタメ復興の狼煙となった。7月以降、徐々に経済活動も再開し多くのエンタメも試行錯誤の中で再始動していたが、年末に差し掛かり、再び新型コロナウイルスの猛威が日本中を襲うなど、まだまだ予断を許さない。
そんな中、“こんな1年だったからこそ、新しい年は皆様と一緒に迎えたい!!”という桑田佳祐の言葉に端を発し、サザンオールスターズ恒例の「年越しライブ」が6年ぶりに開催された!ライブタイトルは、『サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020 「Keep Smilin’ 〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!〜」supported by SOMPOグループ』。「ほぼほぼ年越しライブ」という名の通り、無観客配信ライブの形で、コロナ禍での様々なリスクを考慮して万全の形で直前に収録したライブの模様を、大晦日の22時から年越しのタイミングにかけて配信。会場は6月と同様、“音楽の聖地”横浜アリーナだ。コロナ禍という困難な状況において、「音楽の力」「エンターテインメントの底力」を通し、医療従事者やエッセンシャルワーカーのみなさんをはじめ、ファンやスタッフ等関係者など全ての人に、今年1年の「お疲れ様でした!!」、そして「来年が皆様にとって良い年になりますように!!」という想いを存分に届けるライブとなった。
サザンオールスターズ (写真:関口佳代)
◆“来年こそはどうか幸せな年でありますよう” 祈りを込めて熱唱した全23曲
2021年まで残すこと2時間、時刻は22時。通常のライブ同様、暗転した会場に影アナの声が鳴り響く。注意事項とともに、「配信ライブならではの楽しみ方」を呼び掛けるアナウンスに続き、オープニングとして、こたつを囲んだサザンの5人が、視聴者同様、サザンのライブを見ながら大晦日を過ごそうとしているコント風映像が流れだす。桑田の「嵐を呼ぶマンピー!?」というセリフを受けて雷鳴が轟き、再び画面は横浜アリーナに戻ると、RIZINの選手入場を彷彿とさせる「サザンオールスターーズ!!」の呼び込みでメンバーがステージに。桑田のスライドギターのパフォーマンスが光る「ふたりだけのパーティ」―1980年リリースの3rdアルバム『タイニイ・バブルス』のオープニングナンバーでライブの幕が開けた。続けて、ファンの間で根強い人気を誇る「My Foreplay Music」を披露。無観客だからこそのアングルで撮影された映像は臨場感にあふれ、思わず配信であることを忘れてしまうほど。地球を映した球体型のLEDがステージ上空に浮かび上がり、体操の内村航平選手、藤井聡太棋士など今年活躍した各界の旗手たちがスクリーンに映し出されてスタートしたのは「東京VICTORY」。ステージにいるメンバー、会場にいるスタッフ全員が拳を突き上げる様子は会場の熱気を画面越しに伝え、視聴者も一緒に拳を突き上げていたことを確信させた。最後の歌詞を「みなさん、良いお年を迎えましょう!」と替えて歌ったのも年越しライブならではの演出だ。
MCでは「みなさん元気ですかー!この一年本当にお疲れ様でした。医療に携わる多くの方々、幅広い分野でお仕事をされるエッセンシャルワーカーの皆様、ご苦労をおかけしております。一同心より感謝申し上げます。」と、桑田がコロナ禍で奮闘する全ての方に感謝と労いの言葉をかけた。続けて「サザン、スタッフと共に、全国のファンの皆様の魂と共にまた帰ってまいりました!!コロナウイルスというこれまでに経験した事のない災害の年が、まもなく暮れようとしております。来年こそはどうか幸せな年でありますよう、祈りを込めて歌わせていただきます。新たなる素晴らしい夜明けに向けて、画面越しの皆さまと共に今日は楽しく過ごしていきたいと思います!」とライブの意気込みを語り突入したのは、年末年始を孤独に過ごす男を描いたグルーヴィーなナンバー「いとしのフィート」。「LONELY WOMAN」では雪が降り、会場が一気に冬模様になるなど、年越しライブならではの選曲と演出でライブを盛り上げていく。
やはり前半のハイライトは何と言っても「Ya Ya(あの時代[とき]を忘れない)」だ。イントロのギターが鳴り始めると無観客の全客席に設置されたライトが星のように光りだし、幻想的な空間を作り出した。本来、お客さんに配布され、ライブ演出とシンクロして光るこのライト。客席を埋め尽くした光は横浜アリーナいっぱいに観客がいた日々を思い出させ、さらにスクリーンには観客がライブで盛り上がっていた、かつての日々が映し出される。「あの時代を忘れない」という楽曲の副題が表す通りに、みんなと同じ空間でライブをしたあの時間を忘れないというサザンオールスターズからのメッセージだった。
サザンオールスターズ (写真:西槇太一)
◆ドラム松田弘の完全復活!そして、やはり嵐を呼んだ「マンピーのG★SPOT」
ライブ中盤、メンバー紹介のコーナーで、サポートメンバーを含め各メンバーがソロパフォーマンスを披露した。中でも印象的だったのは、今年8月に右肩の手術を受け音楽活動を休止し、このライブが復帰1発目の活動となったドラム・松田弘のソロパフォーマンスだ。「肩の負傷から不死鳥のごとく復帰してまいりました!」という桑田の紹介を受けて臨んだドラムソロは、圧巻の一言!リハビリを経て完全復活した松田のプレイを見た桑田が「弘、最高だ」と呟いたワンシーンは、サザンの深い絆を感じさせた。
メンバー紹介のコーナーを経て披露されたのは、映画「稲村ジェーン」の劇中歌として作曲され、同名アルバムに収録された「愛は花のように(Ole!)」。ラテン語の歌詞で歌う桑田と、ブラスを引き連れた豪華なバンドサウンドが会場の空気を華やかに彩る。「走れ!! トーキョー・タウン」「世界の屋根を撃つ雨のリズム」など、過去数回しかライブで披露されたことのない貴重な楽曲も披露し、バンド・照明・映像・ダンサーによる最高峰のエンターテインメントが繰り広げられる。2015年にリリースされたオリジナルアルバム『葡萄』から「栄光の男」「はっぴいえんど」を続けて演奏し、さらに横浜を舞台にした大ヒットナンバー「LOVE AFFAIR~秘密のデート〜」へ。ライブのボルテージが上がっていく中で、お馴染みの煽りコーナーに突入。
ジャズアレンジから始まった「ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)」につづき、「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」「BOHBO No.5」を間髪入れずに投下。妖艶で煌びやかなダンサーと共に、エネルギーに満ちたパフォーマンスを繰り広げた。本編ラストを飾り、やはりこのライブに嵐を呼んだのは、「マンピーのG★SPOT」だ。桑田がかぶったヅラの中心に書かれた文字は「嵐」。ライブタイトルにかけてか、国民的アイドルにかけて書かれたかは定かではないが、スクリーンには全国各地の祭をモチーフにした映像が流れ、ステージ上には各地の祭衣裳に身を包んだダンサーが、観客席では法被を纏い特大神輿などの祭りにまつわる小道具を持ったダンサーやスタッフ達が踊り狂っている。さらには桑田がクレーンに乗り込んでステージからせり出し、紅白の紙吹雪を撒く姿はカオスの一言!2020年に溜まった様々な想いが、日本中の祭りが持つエネルギーとこの楽曲が持つエネルギーと共に爆発したかのよう。カオスからすべてのモノゴトが始まるとするならば、すべての災厄を「マンピーのG★SPOT」が吹き飛ばし、新たな夜明けが来ることを予感させる、そんな光景が繰り広げられたのだ。曲が終わると、年越しまでのカウントダウンが始まる。そしてお祭りムードのまま、いよいよ2021年が明けたのだった。
サザンオールスターズ (写真:高田梓)
◆「勝手にシンドバッド」では歌詞を変えて歌う一幕も
「コロナ禍を乗り越えて いつか素敵な未来を 迎えよう」
アンコール1曲目、2021年になって一発目に披露された曲は「希望の轍」。照明と客席のライトによる光の道が観客席に出現し、その中で奏でられる力強いメロディは、2021年が希望の年になるようにという願いが込められているかのよう。ライブの最後に披露された「勝手にシンドバッド」では、お正月の着物をまとったダンサー達と新たな年が明けたことを祝いつつ、「暮れも正月もなく 人の命を守る 医療従事者のみなさん そして家族の方々を守ろう 収束が見えて来ない みんな苦しいけど コロナ禍を乗り越えて いつか素敵な未来を 迎えよう」と替え歌する一幕も。アンコール含めて披露された楽曲は全23曲。2時間30分のライブの中で、何度も「感謝」や「希望」、今は一緒に頑張ろうというメッセージを伝えたサザンオールスターズだった。
サザンオールスターズ (写真:関口佳代)
ライブが終了すると、疫病退散・無病息災を祈念して全国6箇所(北海道札幌市、岩手県陸前高田市、神奈川県茅ヶ崎市、愛知県名古屋市、滋賀県大津市、宮崎県宮崎市)で打ち上げた「みんなで上げよう!! 全国Keep Smilin’ 花火」の大迫力の映像が流れ始めた。全国各地でこの配信ライブのためだけに、桑田佳祐「SMILE〜晴れ渡る空のように〜」にシンクロして打ち上げた花火が、このライブに大きな華を添えた。暗く、苦しい2020年を越え、2021年は希望に満ちた明るい年になることを願わずにはいられない、幸せに満ちた“ほぼほぼ年越しライブ”だった。
年が明け、サザンオールスターズの公式ホームページには桑田からの新年の挨拶メッセージが掲載されているので、ぜひチェックしていただきたい。
全国のKeep Smilin’花火
◆各配信プラットフォームで2021年1月7日(木)いっぱいまで見逃し配信が視聴可能
なお、本公演のライブ映像は、各配信プラットフォームで、2021年1月7日(木)いっぱいまで見逃し配信を視聴することが可能(チケットの購入は1月7日(木)21:30まで)。今からでもチケットの購入が可能なのでにつき、気になる方はぜひチェックを。

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