水樹奈々

水樹奈々

【水樹奈々 インタビュー】
枷と絆、
自分を突き動かしているのは
どちらなのか?

昨年12月6日に歌手デビュー20周年を迎えた水樹奈々が、2021年最初の楽曲としてTVアニメ『Levius レビウス』オープニングテーマ「Link or Chains」を配信リリース! フュージョンを取り入れた超絶技巧のサウンドをバックに、情熱を携えたメロディーをクールに歌い上げた楽曲の制作秘話と、20周年を経た今の気持ちを語ってもらった。

洋楽テイストな言葉のハメ方が、
この曲にはフィットすると思った

TVアニメ『Levius レビウス』は手に汗握る展開とバトルシーンで、いろんな痛みが伝わってくるリアルさもあるので、「Link or Chains」はその物語を見事に集約して体現していると思いました。

ありがとうございます。まずアニメ制作チームから“クールな中にも熱があるミステリアスな曲調で、メロディーがタイトで疾走感のある曲にしたい”とご提案をいただいたんです。そこからデモテープを集めたのですが、この曲はひと聴き惚れで、最初のイントロで心を鷲掴みにされました。少しフュージョンのようなテイストがあって、変則的なリズムからひと筋縄ではいかないものを感じたというか。それが主人公であるレビウスの心の葛藤とシンクロして、先に進みたいけどなかなか進めないもどかしさが表現されていると思ったんです。

そのイントロは劇中に出てくる“機関拳闘”というボクシングのような競技でのステップを踏む躍動感を感じますね。

相手のパンチを避けながら攻撃する、トリッキーさとフットワークの軽さが感じられますよね。“何のために戦っているのか?”を自問自答しながら、悶々とした中でパワーが練り上げられていくようなエネルギーがあって。

AメロBメロは抑えめで、サビは圧縮した蒸気を一気に解放するような爆発力がありますが、歌われるにあたってどんなことを意識されました?

この一曲の中で物語をどう構成するかを考えたのですが、ただクールに歌うのは違うし、エネルギッシュに攻め続けるのも違うなと。いろいろな表情を織り交ぜながら…それこそ“リングに立って自分の生き様を見せる!”じゃないけれど、いろんな角度から攻めて相手を翻弄するさまを、歌声でも表現できたらいいなと思いました。AメロとBメロは“この人はいったい何を考えているんだろう?”と思わせるような謎めく雰囲気がありつつ、余裕を持ってリズミカルに歌うところもあれば、少し儚げに一歩引いて歌うところもあり、さらにサビになるといきなり高音域の音符が畳みかけながら上下するメロディーに変化するので、曲に振り回されず、必死で食らいつく部分もあれば柳のようにしなやかに流れに身を任せる部分も作って。フレーズごとにどんどん表情が変わっていくようなドラマチックな表現を目指しました。

サビはリズミカルに畳みかけて、流れるような心地良さもありますね。

“戦いを楽しんでいる”というか、危機的な状況に陥りながらも限界突破した状態で高揚して、そこに快感を感じてしまう…みたいなイメージですね。アドレナリンの分泌がピークに達しているような感覚を歌で表現しています。リズムと歌詞のハマりが絶妙なので、早口言葉のようで大変ですが、全てがハマるとすごく気持ち良くて。

この一曲にはたくさんの熱量と情報量が凝縮されていて、1番の歌詞は誰々の気持ちで2番は誰々の、Dメロは誰々の…といったふうに想像が膨らみました。

歌詞にはいろいろなキャラクターの目線が盛り込まれています。作詞のしほりさんには作品資料と映像をじっくり見てもらって作詞をしていただいたので、ストーリーはもちろん、それぞれのキャラクターの目線ともリンクするワードが散りばめられていて、さすがだと思いました。表情がコロコロと変わっていく曲なので、主人公目線に限らず、カメラがスイッチングされていくイメージになっています。

水樹さんからしほりさんに歌詞を書いてほしいと?

はい。このメロディーを聴いた時、歌った際にメロディーと言葉のハマりが一番気持ちの良いものになるようにしたいと思いました。どうすると歌って気持ち良いか、届きやすいか、それはご自身が歌っている方が一番よく分かっていらっしゃると思ったので、もうこれはしほりさんしかいないだろうと。今、しほりさんはニューヨークに住んでいて英語も堪能なので、彼女の洋楽テイストな言葉のハメ方が、この曲には合うんじゃないかと思ったのもあります。洋楽の歌詞は基本的に韻を踏んでいるので、この曲にも同じメロディーが続く場所では、《諦めない》《構わない》《躊躇わない》など、効果的に取り入れてもらいました。彼女ならではの感性で構成されているところもお気に入りポイントです。

作曲・編曲は南田健吾さんで、これまでに「METANOIA」(2019年7月発表のシングル)に収録の「Born Free」や『WONDER QUEST EP』(2018年9月収録のシングル)に収録の「Birth of Legend」など手がけていますが、今までの南田さんとは違う印象のサウンドですね。

南田さんの曲はバンドサウンドの印象があったのですが、今回は新たなアプローチが加わって、また違う魅力を感じました。この曲はピアノとベースがすごく印象的で…それはきっと作品をよく観てくださって、作品中に漂っている何とも言えないスリリングな世界観を音に落とし込んでくださったからなのではないかと思います。
水樹奈々
水樹奈々
配信シングル「Link or Chains」

OKMusic編集部

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