Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
360度ビジネスを展開する
経営者が見た
コロナ禍における音楽シーン

ライヴに行きたいけど
行けない人が意外と多い

岩田
ライヴのサブスクはもとの構想でお持ちだとうかがえましたが、ライヴハウスの新規出店も同時でやろうと思われたんですか?
大谷
LD&Kは音楽事務所でもあるので、今回福岡に事業所を増やしたんですね。沖縄にはもともとあるんですけど、沖縄や福岡のバンドを東京まで呼ぶのが大変で…しかも若者なので、自腹で来てもらうのはなかなかハードルが高くて。だから、こっちから出て行かないと。やっぱり地元に基地みたいなものがないとまずいかなって。かりゆし58とか沖縄を中心に活動するアーティストも増えてきたから沖縄で現地採用もしているので、それもあって福岡に営業所を増やすことにしたんです。なので、LD&Kは地方も含めて新人開発に関して整っていると思いますよ。『TOKYO CALLING』などのサーキットイベントをやってるんですが、あれも新人開発のためなので。
千々和
『サブスクLIVE』のアナウンスがあった時、まだ他のライヴハウスは配信に目もくれてなかったと思うので、行動がすごく早いと感じました。
大谷
『サブスクLIVE』はコロナ禍の前に発表しようと思ったんですが、緊急事態宣言でロックダウンしちゃったから配信もできなかったし、バンドも集まれなかった時期があって、実は発表がだいぶ遅れちゃったんですよ。本当は3カ月前には告知できてたんです。その頃は家からでしか配信ができないってなってしまって…あの、星野源さんがしてたやつですよね。あれで配信の需要が伸びた気もします。
千々和
スタジオやライヴハウスが営業再開してからは、独自で配信をやる人たちも増えてきて、大谷さんが思っていた流れと違っていたと思うのですが、その点はいかがですか?
大谷
だからこそ、『サブスクLIVE』の発表が遅れちゃったのが残念でした。コロナ禍前にアナウンスできていればもう少し配信ライヴ事業を仕切れてたと思うんですけど、発表した時にはいろいろなところがやってましたから。“ほらほら~”って思っていましたよ(笑)。まぁでも、ある程度のところで落ち着くんじゃないですかね。もともとリアルのライヴが復活した時のプラスアルファくらいにしか考えていなかったし、配信がメインになるとは思っていませんから。僕的にはコロナが落ち着いてくれれば、リアルのライヴと配信でのほんの少しのプラスがあればいいと思っています。LD&Kとしては打首獄門同好会が無料配信ライヴをかなり早い段階でやりましたが、あの時に視聴者から“やっとやってくれましたね!”という声をたくさんもらったんですね。ライヴに行きたいけど行けない人が意外と世の中に多いということを、みんな見失いがちなんですよ。行きたくても地方だから行けないとか、子供が小さいから行けないとか、物理的に行けない人が多い。そういう人たちから“やっとライヴをリアルタイムで観れた”と言われたことで、このようなマーケットがあるんだなと思えましたよ。そのマーケットがあることが知れたので、無料配信をやって良かったですね。だから、配信はないよりもあったほうがいいと思っています。ちなみに『サブスクLIVE』に関しては、もともとスポーツ配信をしているチームを使っているので、こちらから出向かなくてもサッカーチームがあるところには現地のクルーがいるんですよ。そこに遠隔で録ってもらっているんです。動く人を録るチームだから撮影がうまいんですよね。
石田
配信ライヴはカメラのスイッチングだったり、画像の切り方がうまいものとそうでないものの差が出ますよね。
大谷
クオリティーが違いますよね。そういう意味では、『サブスクLIVE』はクオリティー重視なんですよ。ソフトバンクさんとのVRに向けたプロジェクトでもあるし。ソフトバンクさんが協賛してくれて、撮影チームは無料で手配できているんです。そんなプロジェクトと協力してライヴハウスを助けようという施策なんでね。今、携帯電話の各社が5Gのシェアの取り合いで競争しているんですよ。5G時代のVRのマーケットシェアを取り合っている。VRとの親和性が高いのはスポーツもなんですが、スポーツは専門チャンネルがたくさんあるんですよね。でも、音楽のライヴシーンはまだ浮いているんですよ。メジャーレーベルが配信に尻込みしているんで。それはなぜかと言うと、ライヴ配信は契約の問題があって、アーティストとの契約の中でレコード会社は専属録音権しかなく、ライヴの仕切りは事務所なんです。でも、録画して放送しちゃうとレコーディングになるんで、レコード会社からすると権利を取得したくなる。だから、アーカイブを禁止にしているメジャーレーベルも多くてね。アーティストそれぞれの問題ですけど、その考えって古いと思うんですよね。まぁ、ライヴ配信をする前提で契約はしてませんからね。そういう意味では、LD&Kは事務所兼レコード会社だから大丈夫なんですよ。それもあって、メジャーが配信をやらないからソフトバンクさんがLD&Kに相談してきたという。ライヴハウスを何店舗も仕切ってるし、事務所もレーベルもやってるのはLD&Kくらいしかないと。その結果、ソフトバンクさんの協賛のもと、今アツいアーティストの選定は僕たちがやって運営をしているんです。
石田
360度でビジネス展開していたのが全て結びついて、さらに他の企業を巻き込んで立体的になった感じですね。
大谷
LD&Kに関しては特殊な会社なので。コロナ禍でいろんなライヴハウスがなくなっちゃうかもしれないけど、ある程度はLD&Kで拾っていけるんじゃないかと思ってます。

OKMusic編集部

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