『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第四十五回 -
「ローグ・ワン/スター・ウォーズ
・ストーリー」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「希望を信じて戦う(2016年「ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー(Rogue One:A Star Wars Story)」)」

あけましておめでとうございます。2021年もみねこ美根を、そして本連載「映画の指輪のつくり方」をよろしくお願いします。

私は小さいころから、妹のベビーチェアに乗ってポッドレース(「スター・ウォーズ/エピソード1」に登場する飛行レース)ごっこをするくらいスター・ウォーズが好きで育った。私はエピソード1から6が好き、夢中になって何度も見た。ただ、スター・ウォーズフリークとまではいかないので、アニメや、Netflixのドラマは見ていないし、本当に申し訳ないことに「エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」を見ていない…んです…。「エピソード8/最後のジェダイ」のツッコミどころの多さと迷走の筋書きに(個人的な意見です)、心がぽっきり折られ、エピソード9を観るのに二の足を踏み続けているのです。でも今月中には観るつもりなのでご容赦ください。ここまで読んで、「みねこ美根よ、お前にスター・ウォーズを語る権利はない!」そう思った方。すみませんが、この後語るので、読むのは自己責任でお願いします。あと私が作ったタイ・ファイター、Xウィング、Uウィングの造形に関してのお問い合わせは受け付けておりませんのであしからず。でもこの連載の動画はちゃんと見てくださいお願いします。

さて、どの映画においても、スピンオフを観るにはイチかバチかのリスクが伴うが、そのハンデを越え、さらにはシリーズ最高傑作といっても過言ではないスピンオフ作品がスター・ウォーズにはある!それがローグ・ワンだ!
さて、スター・ウォーズを観たことがない皆さんと、映画好きと言うくせに全くスター・ウォーズを観ていない私のマネージャーのためにも説明をしよう。スター・ウォーズは「オリジナル・トリロジー(旧3部作・エピソード4~6)」が本筋といっていいだろう。物凄く簡単に言うと、悪の帝国軍が支配する銀河、立ち向かう反乱同盟軍と帝国軍の戦いに、青年ルーク・スカイウォーカーが運命に導かれ巻き込まれる中で、ジェダイの騎士(フォース(万物を包み込む大きな超常的かつ自然的な力)を操る正義の戦士)から教えを受け、ジェダイとしても成長しながら、反乱軍と共に、帝国軍そして自身の運命と戦う、という物語。

後に制作された「プリクエル・トリロジー(新3部作・エピソード1~3)」は、時間が遡り、「オリジナル・トリロジー」で登場する帝国軍のダース・ベイダー卿(本名アナキン・スカイウォーカー)の幼少期からいかにしてダース・ベイダーとなってしまったかが、描かれている。

「ローグ・ワン」はエピソード4の直前の物語であり、名もなき戦士たちが描かれた作品だ。エピソード4の本筋に関わる、帝国軍の兵器“デス・スター”を破壊するための設計図はどうやって入手されたのか?というのが「ローグ・ワン」で語られる。

デス・スター開発に強制的に参加させられた科学者ゲイレン・アーソは、殺された妻と行方不明となった娘の復讐をすべく、帝国軍のデス・スターに致命的な弱点を仕込み、同盟軍に秘密裏に情報を送った。生き延び、大人に成長した娘のジン・アーソは、強制収容所に連行されるところを同盟軍に助けられたことをきっかけに、帝国軍と同盟軍との戦いに巻き込まれ、父が命がけで送ってきた情報をもとに、兵器を破壊すべく設計図を手に入れるため奔走する…。
本作の凄いところは、
(1)全ての人にストーリーがあり、ヒーロー・ヒロインの冒険活劇色の強いエピソード1~6に対し、“戦争”というもの、“戦争”に巻き込まれた人々がしっかり描かれているところ
(2)エピソード1~6の違和感が解決され、辻褄を合わせる巧妙さがあるところ
(3)帝国軍やダース・ベイダーへの恐怖や憎しみの裏付けがなされているところ、だと思っている。

(1)私は「スター・ウォーズ」というタイトルを子供のころは音で認識していたので、「ウォー」が「戦争」という意味だと初めて知った時は正直に言って、「え、これって戦争の話だったの?」と思った。帝国軍と反乱同盟軍が戦っていることは理解していたが、ルーク、レイア姫、ハン・ソロ、ダース・ベイダー、オビ=ワンといった登場人物の交錯する運命と冒険感が、私の印象の中で多くを占めていたことが理由だと思う。その点、「ローグ・ワン」は、戦争、そして戦争に翻弄される人々がしっかり描かれている。それが、「そうか、これは多くの人々を巻き込んだ大戦争だったんだ」と本シリーズに深みとリアリティを生む。戦いに次ぐ戦いで疑心暗鬼になってしまうソウ・ゲレラや、子どものころから戦闘に加わり後ろ暗い仕事をやらされてきたキャシアン、父を思い使命を果たすべく戦いに加わるジン、ジェダイもフォース思想も廃れた時代にフォースを信じ正義の勝利を信じる盲目の戦士チアルート、チアルートを信じ守り抜き共に戦う義理堅いベイズ、帝国軍を裏切り自分の心の正しさに従うため同盟軍に加わるボーディー。そしてユーモアと優しさに溢れるドロイドK-2SO!かなり渋いメンツなのだが、人間味が凄い。自然な感情の移り変わりと重みがある。
(2)違和感とは何か、というと、デス・スターの弱さだ。エピソード4では特に説明はなしに「デス・スターの換気ダクトに打ち込めば勝てるはずだ」という展開になる。帝国軍がガチで作った最恐兵器が一点を叩くだけで破壊さできてしまうのかい?という「デス・スター弱すぎ問題」には実は理由があったのだ!と本作が教えてくれるというのもミソ。

(3)残酷な帝国軍そしてとにかくダース・ベイダーが怖い。シリーズを通して一番怖いかもしれない。普通に生活をする庶民や先陣で戦う兵士たちの目線で見た、帝国軍とダース・ベイダーをぜひ見てみて欲しい。本編を観たときに、より感情的にのめり込めると思う。
スター・ウォーズシリーズの魅力は登場人物たちの“運命”と、完璧に存在する世界観だと思っている。独自のストーリー設定、魅力的な登場人物、素晴らしい音楽、迫力のある戦い、かっこよすぎる戦闘機。中でも前述した「フォース」という力は、ありとあらゆるところに存在し流れる力の源であり、スター・ウォーズを観るたびに、自分も登場人物と同じように「フォース」の存在を信じたくなる。「フォースと共にあらんことを。」という作中のセリフは、「フォース」という概念への信心からくる、「フォースを信じる我々に幸運を」という願いと自分たちを奮い立たせるセリフだ。ただ、エピソード1~6はそのフォースを使って特別な力を発揮する登場人物たちがでてくる一方で、「ローグ・ワン」には、出てこない。本作で描かれるのは「戦争」そして歴史に埋もれてしまう名もなき戦士たちの戦いだ。フォースを使えなくとも信じる戦士たちは、ヒーロー・ヒロインではない自分に近しい存在に思えてくる。戦士たちの「フォースと共にあらんことを。」というセリフは、一筋の希望を信じて戦う儚さがより強まって、ぐっと切なく、でも確かな勇気をくれる。

勝ち目があるかどうかもわからない戦いに人生をかける。愛する人のため、故郷のため、戦ってきた自分の人生を無駄にしないために、反乱同盟軍は希望を信じて戦う。
私たちの世界でも、今、まさに戦ってくれている人たちがいる。私たちには何ができるだろうか。それぞれのやり方で一緒に戦えるはずだ。私たちだって、希望を繋げられるはずだ。一筋の光だとしても、信じるということが私たちを強くしてくれる。名もなき戦士でも構わない。素晴らしい未来を信じる私たちがその未来を作り上げていくのだ。
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モチーフ:デス・スター、破壊される星、タイファイタ―、Uウィング、Xウィング、シタデル・タワー、手から手へつなぐ希望(設計図)
音楽:「Jyn Erso & Hope Suite」Micheal Giacchino
「Main Title」John Williams
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新曲「傷跡」含む至極の全12曲を主要音楽配信サイトで配信中。
是非検索してオルタナティブ・シンガー・ソングライターみねこ美根の世界を聴いてください。
情報は【みねこ美根Twitter】にて日々発信中。

▼みねこ美根 オフィシャルTwitter
https://twitter.com/me_chat_3ne

▼みねこ美根 オフィシャルHP
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〝美根〟 プロフィール

ミネ:オルタナティブ・シンガーソングライター。6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2017年より“みねこ美根”名義で本格的に活動を開始し、22年4月に改名。その後も「零れる光」をはじめ、「本当は人魚」「この世界に」など配信シングルを精力的にリリースし、23年11月に待望の1stフルアルバム『焔心の砦』を発表。同年12月には東京・duo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライヴ『A Special Day of Mine 【焔心の砦】』を開催する。〝美根〟オフィシャルSNS

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