内田雄馬・石川英郎にインタビュー 
令和の世に『ゲッター』シリーズ最終
作が降臨!『ゲッターロボ アーク』
トークイベントをレポート

ロボットアニメの歴史に合体というコンセプトを持ち込み、さらにコミック版では故・石川賢によるバイオレンスかつ壮大な世界観を描き紡がれて、長年に渡って人気を博し続けてきた『ゲッターロボ・サーガ』。その未完となった原作コミック最終章『ゲッターロボ アーク』が、今年7月よりテレビアニメにて初の映像化が実現。
サーガの顔でもある流竜馬の息子である主人公・流拓馬を人気声優・内田雄馬が演じるのをはじめ、フレッシュでパワフルな若手と百戦錬磨のベテランのキャスト陣が発表されたのを記念したオンライントークイベントが、4月17日に開催された。
左から本橋秀之、内田雄馬、石川英郎、南喜長 (c)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
内田雄馬と1998年から2000年代にOVAを中心に展開したシリーズで流竜馬を演じたベテラン・石川英郎、石川賢のビジュアルをアニメーションで描き出すキャラクターデザイン・本橋秀之と、アニメーションプロデューサー・南喜長の四人が『ゲッターロボ アーク』への意気込みを語ったトークイベントの様子と、イベント後に内田・石川の両名にお話を伺ったインタビューをお送りしよう。

時代を超えて引き継がれる「ゲッタートマホゥゥゥク!」の熱い叫び!
『ゲッターロボ アーク』キャスト発表記念オンライントークイベント
トークイベントの最初の話題は、『ゲッターロボ・サーガ』の新たな主人公を演じることとなった内田雄馬の話題に。最初は二号機パイロットのカムイ・ショウ役でオーディションを受けた内田だったが、スタッフの満場一致で拓馬役に決定したことに驚かされたとのこと。そして拓馬については「彼のパワフルさや思い切りの良さをしっかり出せるように演じたい」と意気込みを語った。
そして『ゲッターロボ』といえば忘れてはいけないのが迫力ある必殺技の叫び。内田自身もそこにはこだわり「石川さんの演じた竜馬の叫び方を受け継いでいきたい」と語る。それを受けて石川も「脚本に自分が演じたイントネーションの「ゲッタートマホゥゥゥク!」と書いてあるのが光栄です」と応え、最初にアフレコをした時にナレーションとしてTVアニメ版で初代の竜馬を演じた神谷明もスタジオにいたので「緊張しながら叫んだ」との秘話を語った。
そんな流れから石川が久々となる「ゲッタートマホゥゥゥク!」の叫びを実演すると、それに合わせるように内田も初公開となる拓馬の「ゲッタートマホゥゥゥク!」を叫び、ファンには嬉しいサプライズとなる親子競演が繰り広げられた。
(c)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所 撮影:斉藤直樹
アフレコ現場についての話題では、新型コロナ禍で全員揃ってのアフレコが難しいという状況の中で、スタッフの努力でゲッターチームの三人は一緒に収録ができていると内田から語られ「三人で繋がっていく現場作りを試してくれている」と感謝の言葉が贈られた。そして神隼人役の内田直哉とは今回が初対面ながらも「内田同士でがんばろーね!」と気さくに接してもらっていると語り、内田直哉との向き合い方について尋ねられた石川は「僕との初対面の時は互いに素っ気なかったから、内田君は大丈夫では?」と答えて笑いを誘った。
流竜馬を演じた思い出
続いてアフレコ絡みの話題からの流れで、『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』から流竜馬を演じてきた石川英郎が当時の想いを語った。
(c)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所 撮影:斉藤直樹
最初は神谷明の演じたTVアニメ版流竜馬を意識していたという石川だったが、それとはイメージが全く違う石川賢テイストを全面に出した凶悪なビジュアルの竜馬だったので、初代のイメージを内に秘めながら演じるようにしたとのこと。そんな竜馬を演じる上で大事にしていたのが「勇気」。石川の演じてきた竜馬の出演する『ゲッターロボ』は作品毎に世界観が違っていたが、竜馬は常に勇気とともに戦う男だという想いを貫いたので、どの作品でもブレずに演じられたとのこと。それを受けて南プロデューサーも「『ゲッターロボ』は勇気と運命の物語」であり、竜馬は勇気で運命に立ち向かい、隼人は運命を受け入れて先に進み、三人目の武蔵や弁慶は運命に翻弄されるキャラというポジションで、そんな三人が運命に抗う物語が『ゲッターロボ・サーガ』なのだと作品観を語った。
そんな竜馬を演じたアフレコ現場では常にノドを枯らしながら叫んでいて、アフレコ後に病院に直行することもしばしばだったという石川。中でも印象深かったエピソードとして、『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』第2話で、ゲッター1の合体プロセスが丹念に描かれるシーンでは台本数ページにわたって「チェーーンジ! ゲッター1!」としか書いてなかったという驚愕の秘話も明かされた。
令和の世に「叫びのあるアニメ」が還ってきた喜び
キャラクターデザインの本橋秀之は、今回の『ゲッターロボ アーク』アニメ化について「叫びのあるアニメが還ってきたのが嬉しい」とコメント。中学時代から石川賢の大ファンで、18歳の頃にダイナミックプロに持ち込みに行って石川賢に絵を見てもらったこともあったとの事。その時は「がんばってね」と言われて帰されてしまったが、後に『魔獣戦線』のアニメ化の際にデザインをもっていったところ「前に会ったことない?」と覚えていてくれたことが嬉しかったとの秘話も語られた。そして今回のデザインについては「石川賢の絵をみんなに見せたい」「できる限り「石川賢なら何を考えているだろう?」と思いながら描いて、その世界観に入っていきたい」と想いと意気込みを語った。
そして話題はそれぞれの『ゲッターロボ』や好きなダイナミックプロ作品へと移っていく。内田はOVA版の時にまだ小学生で、ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズで「メチャクチャ強いロボット」というのが最初の印象だったとコメント。本橋と内田は三体のメカが合体して異なる姿になっていくインパクトに衝撃を受け、石川は「アークはどんな合体をするのか楽しみ」と語った。さらに石川はダイナミックプロ作品の話題では子供の頃に読んでいた『へんちんポコイダー』が好きで、2004年に製作された『Re:キューティーハニー』に早見青児役で出演した際にゲストで登場した変身前のポコイダーを演じられたのが嬉しかったと語った。
歴代ゲッターの熱い歌も甦る『ゲッターロボ アーク』
トークイベント終盤では、JAM Projectによるオープニングテーマ「Bloodlines~運命の血統~」が初公開された。そしてビデオコメントで登場したJAM Projectメンバー・影山ヒロノブから、エンディングテーマは過去のOVA『ゲッターロボ』シリーズのナンバーをJAM Project自らカバーして唄うことも語られた。スーパーロボットアニメらしいストレートな力強さと複雑なドラマ性が絡み合ったドラマチックなナンバーに「激アツからの胸アツ」(内田)「ゲッターロボはこうでなければという熱さ」(石川)とイベント出演陣も大いに盛り上がった。
そしてイベントの最後には各人から『ゲッターロボ アーク』に期待してほしいポイントが語られた。
内田「すごく活き活きとしたキャラクターが色々な選択をせまられ、そして叫びまくります。見ていただければ演出の重さやインパクトを感じてもらえるはずです」
本橋「今この時期にロボットアニメが受け入れられるのか心配だったけど、反響が大きくて良かったです。もう一度石川賢作品と『ゲッターロボ』から人間ドラマを感じてほしい」
南「石川賢の原作基準の『ゲッターロボ』はこれが初の映像化となるので、皆さんの期待に応えられるようがんばりたいです。作品の凄さは実際に見てもらえればわかるはずです」
石川「内田君たちには新しい作品だと思って一生懸命演じてほしいです。あと、ちょっとでも竜馬が出てきたら嬉しいですね」
スーパーロボットの金字塔でもある『ゲッターロボ』に、最新の技術と創り手の熱い情熱が注ぎ込まれていることが実感できた今回の『ゲッターロボ アーク』オンライントークイベント。スーパーロボット&石川賢ファンはもちろん、『ゲッターロボ』未経験の若いアニメファンにも衝撃の出会いが待っていることが確実なので、7月の放送スタートを楽しみに待とう。
■内田雄馬&石川英郎スペシャルインタビュー
(c)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所 撮影:斉藤直樹
――これまでも『マクロスΔ』『ガンダムビルドファイターズ』『SSSS.DYNAZENON』『ゾイドワイルド』など、様々なロボットアニメに出演されていますが、それらとはかなり雰囲気の違うハードな世界観の『ゲッターロボ アーク』で主人公を演じることになったご感想は?
内田雄馬(以下「内田」):『ゲッターロボ アーク』の原作自体が元々2000年代頭の作品ということもあって、空気感の違いというのはそういうところにもあると思うんですけど、『ゲッターロボ』シリーズの流れというか、「ゲッタートマホーク!」「ゲッタービーム!」と技を叫ぶのもそうですけど、世界の決まりというか僕が小さな子どもだった頃の懐かしきモノっていうのが、今やると逆にすごく新鮮に感じられるのでそのあたりはフレッシュな気持ちで臨んでいけるかなと。今まで演じてきたロボット物とは違う、新しい作品づくりや演じ方ができているのかなとは思ってますね。
(c)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所 撮影:斉藤直樹
――これまでのシリーズの熱さを引き継いでいる作品になりそうなので、そこでも経路の違いは感じますか?
内田:非常にエネルギッシュではあるなというのは、台本はもちろん現場もそうなので、そこでのパワー消費量は今までの作品と比べてトップクラスで、単純に体力勝負ですね(笑)。今までの作品も常に全力で演じているんですけど、『ゲッターロボ アーク』は単純に体力もより必要かなと。今第二話まで録っているんですけど、その段階でも非常に声を張るシーンも多くて「体力つかってんなー」という感じはするので、これまでで一番体力作りが重要になってくるかも知れないですね。
――普段は身体を鍛えてらっしゃるんですか?
内田:週三でジムに行ってトレーニングして鍛えたり、ダンスレッスンやったりしてますね。ジムはパーソナルレッスンとそれ以外のに。それでも全然脂肪が無くならないんですよ。
石川英郎(以下「石川」):みんな言ってるけど、本当に歳取ってから大切なのは金と筋肉だって言うからね!
内田:本当ですか(笑) 。これは絶対筋肉鍛えないとですね。『ゲッターロボ アーク』の収録はパワーアップして終えるのを目指したいと思います。
――作品の中では親子という間柄のお二人ですが、今日が初対面なんでしょうか?
内田:そうですね。
石川:どこかですれ違ったりはしてるかも知れないですけど。キャラクターについてだと、原作を読んだ限りでは拓馬は竜馬のことほとんど記憶が無いんですよね? だから丁度いいんじゃないんですかね(笑)。
内田:確かに(笑)。
――石川さんは竜馬が父親としてどんな子育てをしたと思いますか?
石川:多分ですけど、母親任せだったんじゃないんですかね。元々の流竜馬って貧乏な空手道場を営んでるって設定だったから、その状態からよく結婚できたなと思ったりしますんで、だからこんな素晴らしい息子に育っているってことは母親が良かったんだろうなと思ったりします。
――拓馬は竜馬よりも母親の優しい一面を受け継いでるかもしれませんか?
石川:拓馬は拓馬で、竜馬に対しては記憶が無いながらも「自分のお父さん」というイメージを描きながら戦っているっていう描写も原作にあったんですよね。母親からは優しい部分を受け継いで、戦いに対する姿勢を父親から受け継いでいると思いますね。アニメはまだ拝見してないので、そちらだとわからないんですけどそうなっているんじゃないかなと。
――キービジュアルを見ていると、戦う時の目つきは竜馬とそっくりですしね。
内田:きっとありますよね、受け継いでいる竜馬の血が。
石川:今回の隼人も今にも自分からゲッターに乗りそうな目をしてますからね(笑)。
内田:まだまだ前線で戦えそうな感じですよね。
石川:石川賢先生の作品って「この人達本当に地球を守れるの? 壊しちゃうんじゃないの?」っていうキャラクターが地球を守っているというのが良いんですよね。それぐらいの意気込みがないと守れないと。
――そんな地球を守る使命を内田さんが拓馬として引き継ぐんですね。
内田:ゲッターチームを演じるみんなでがんばります(笑)。
取材・文・撮影:斉藤直樹

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着