村上“ポンタ”秀一でしか
成し得なかった記念碑的作品
約100人の有名音楽家が集結した
『Welcome to My Life』
14.MAMBO NO.5
最も有名なマンボの曲で、高中正義が1977年のアルバム『TAKANAKA』でも披露(その時のドラマーもポンタで、ベースも小原礼)。つまり、カバー曲のセルフカバーということになるだろうか。もともと明るい曲がさらに明るくなっている印象で、それは中島啓江のヴォーカリゼーションも大きく寄与していることは間違いない。ちなみに中島もポンタも『三宅裕司のいかすバンド天国』で審査員を務めており、このセッションはそれがご縁であった模様。
15. THE WHITE ROOM
~SUNSHINE OF YOUR LOVE~
KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR
CreamとBob Dylanのメドレーのような表記だが、中身はほとんど「KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR」。ポンタは“半ば桑田を脅しながら”実現したセッションだったと振り返っていたようだが、“やっぱりヒロシ(=サザンオールスターズのドラマー、松田弘)のほうがいいや”と笑う桑田流の軽口に、桑田自身も乗ってレコーディングしていたことがうかがえる。その軽口の一方で、きれいなハーモニーを聴かせるアウトロには丁寧なミュージシャンシップがあり、先輩アーティストへの敬愛を感じるところ(そのあとのポンタ、桑田の会話は信頼関係の証し)。
16.WELCOME TO MY RHYTHM
~嵐を呼ぶ男
10分以上に及ぶドラムソロのリレー。ヴォーカルやギターとは違い、ドラマー同士はバンドの垣根を超えた横のつながりが強いとは聞くが、これだけのメンバーがポンタの25周年を祝ったことは、その何よりの証しかもしれない。ドラムの音だけというマニアックな構成ではあるが、今、誰が叩いているかを紹介する声が入っていて、飽きさせない工夫はされている。
こうして簡単ではあるものの、一曲一曲を振り返ると、本当にバラエティーに富んだ楽曲が収録されていることを実感せざるを得ないし、これだけのアーティストがひとつの作品のまとまっていることの凄さを改めて知るところである。よくぞ、一作品にまとまったものだと思うが、言うまでもなく、それはそこにポンタがいたからこそ、名立たるアーティストが結集したのである。ドラムはバンドの要とよく言われる。村上“ポンタ”秀一は邦楽シーンにおける要であったのだろう。