ブリティッシュフォークの切実さと
アメリカンフォークの明るさを
併せ持ったリンディスファーンの
大ヒット作
『フォグ・オン・ザ・タイン』

ブリティッシュフォーク

本作が日本盤LPでリリースされた時、帯の文言は“ブリティッシュフォークの新しいリーダーとして今イギリスで大人気、実力共にNo.1の“リンディスファーン”のセカンドアルバムです。(中略)今までのブリティッシュフォーク・シーンには見ることのできなかった楽しく、美しく、そしてヒューマンな“リンディスファーン”の世界を楽しんでください。”と書かれている。

フェアポート・コンヴェンション、ペンタングル、スティールアイ・スパンといったブリティッシュフォーク・リバイバルのグループのことは知っていても、10代半ばのロック好き少年には敷居が高く、ブリティッシュフォークの持つ歴史の重さを受け止められないでいたというのが本音である。生活に根ざした重苦しい緊迫感とゴシック的重厚さをバックに持つ音楽は、例えばNGDBの音楽に見られるような乾いた陽気さとは対照的なのである。そういう意味で、上に挙げた帯の文言は彼らの音楽の特徴をうまくとらえていると思う。

リンディスファーンのポップ志向

ところが、リンディスファーンの音楽はブリティッシュフォーク臭が少しは感じられるものの、カラッとした明るさが特徴である。メロディーや演奏はビートルズっぽいところが多々あるし、コーラスもアメリカ的な感覚である。NGDBが『永遠の絆』でロックファンに向けてブルーグラス音楽を紹介したように、リンディスファーンもロックファンに向けてブリティッシュフォークを紹介しようとしたのだろう。個人的にはリンディスファーンを経由することで、ブリティッシュフォークに対するハードルがかなり低くなった。

OKMusic編集部

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