チャーリー・ダニエルズ・バンドの
5thアルバム『ハイ・ロンサム』は
ツインリードギターが炸裂する
王道のサザンロック作品
チャーリー・ダニエルズ・バンド
ダニエルズ(Gu)、トム・クレイン(Gu)、チャーリー・ヘイワード(Ba)、ジョエル・ディグレゴリオ(Key)、ドン・マレー(Dr)、フレッド・エドワーズ(Dr)の6人組としてパーマネントメンバーが揃うのはグループの4作目『サドル・トランプ』(’76)からとなる。このアルバムではこれまでよりリズムがタイトになり、ウェスタン・スウィングにもチャレンジするなど、各種ルーツ音楽をごった煮にしたそのサウンドは、チャーリー・ダニエルズ・バンドならではの雑食性が滲み出たスタイルとなっている。また、このアルバムからエピックレコードに移籍していて、以降エピックとは15年間あまりの付き合いとなる。
本作『ハイ・ロンサム』について
続く「キャロライナ」はディグレゴリオのチャック・リーヴェルばりのピアノが素晴らしい。ダニエルズのバンジョーもいいアクセントになっている。タイトルトラックの「ハイ・ロンサム」はボズ・スキャッグス版の「ローン・ミー・ア・ダイム」(アトランティックの『ボズ・スキャッグス』所収。デュアン・オールマンの最高のギタープレイが聴ける)を下敷きにしたナンバーで、途中インスト部分はオールマンの「エリザベス・リードの追憶」的な展開をみせる。ダニエルズのスライドはデュアン・オールマンみたいで実に巧い。
本作で一番カントリーっぽい「テネシー」は、オールマンというよりはマーシャル・タッカー・バンド風で、そのマーシャル・タッカーのトイ・コールドウェルがペダルスティールでゲスト参加。ダニエルズはフィドルも弾いている。
上記、本作の内容をかいつまんで紹介したが、チャーリー・ダニエルズ・バンドは本作以降も快調に飛ばし、79年の10thアルバム『ミリオン・マイル・リフレクションズ』が全米5位(カントリーチャートでは1位)となり、シングルカットされた「悪魔はジョージアへ(原題:The Charlie Daniels Band)」は全米3位(カントリーチャートでは1位)となった。このあたりから、ダニエルズはグループをカントリーへとシフトしていき、90年代初頭ぐらいまでコンサートの動員数は全米でもトップクラスという大成功を収めることになるのだが、僕は、サザンロックとがっぷり四つに組んだ本作『ハイ・ロンサム』こそ、ダニエルズの最高傑作だと考えている。
TEXT:河崎直人