切れ味鋭いファンクブルースで
新時代を築いた
ジェームス・コットン・バンドの
『100%コットン』
本作『100%コットン』について
リリース当時、コットンは40歳前後で、強力なリズムセクションのふたり(ベースのチャールズ・カルミーズとドラムのケニー・ジョンソンは20代の若者たち)を起用、まったく新しいリズムを生み出している。もちろん、それはアレンジャーも務めるマーフィーのヴィジョンであり、スライ&ファミリー・ストーンやコールド・ブラッドなど、当時のサンフランシスコのファンクロックグループにインスパイアされたものだと思う。とにかく、よく訓練されたチームである。それは、1曲目の「ブギ・シング」を聴くだけで分かる。タイトルにブギとあるものの、ブギというよりはジェームス・コットン・バンドならではのストンプで、当時このアルバムを聴いてぶっ飛んだ経験のある音楽ファンは少なくない(かく言う僕もそうだ)。シンコペーションの効いたリズム、コットンのリズムの裏を刻むマウスハープ、サビでのコーラスなど、ブルースの新時代を切り開こうとするスタンスが窺える。「ブギ・シング」「ロケット88」「アイ・ドント・ノウ」「フィーヴァー」といったグループの代表曲や、ファンクブルースの「ワン・モア・マイル」「バーナー」まで、どの曲も自信にあふれた熱演になっている。
余談であるが、特に関西在住のブルースロックファンにとってジェームス・コットンは馴染み深い存在である。『8.8ロックデイ』(73年から関西で行なわれていたバンドコンテスト)の、77年大会で最優秀バンドとなった花伸(はなしん)はジェームス・コットン・バンドのコピーバンドであり、最優秀バンドに選ばれる前から関西のどのライブハウスに行っても満員御礼であった。それだけに、ジェームス・コットンの名前は知らずとも「ブギ・シング」「ロケット88」「アイ・ドント・ノウ」「フィーヴァー」など、本作に収録された多くのナンバーを知っているはずなのである。
ブッダからの2枚組ライヴ盤も忘れずに
TEXT:河崎直人