崎山つばさ、松田凌らが息の合った掛
け合いをみせる~TXT vol.2『ID』が
開幕、公式より囲み会見・ゲネプロレ
ポートが到着

2021年6月17日(木)よみうり大手町ホールにて、TXT vol.2『ID』が開幕した。初日にあたり、囲み会見・ゲネプロが行われ、オフィシャルレポートが届いた。

TXT(テキスト)とは、『仮面ライダーエグゼイド』『仮面ライダーゼロワン』などで知られる高橋悠也と東映がタッグを組んだプロジェクト(高橋悠也✕東映シアタープロジェクト)。2019年6月に第1弾となる「SLANG」を上演し、本作が待望の第2弾。主演に崎山つばさを迎え、松田凌、井上小百合、萩谷慧悟ら実力ある若手俳優から、小野塚勇人、砂川脩弥といった高橋と縁の深い仮面ライダー作品出演俳優、そして鈴木蘭々まで、多彩かつ多才な出演者と共に、衝撃の SFサスペンスに挑む。
初日に先立ち、6月16日(水)にゲネプロが行われた。ゲネプロ前の囲み会見には崎山らメインキャスト7名と高橋が登壇。
作品の見どころについて、鈴木は「一人ひとりが放っているエネルギー値が高くて。それぞれが放つエネルギーを見て感じてほしいです」とコメント。砂川は「各々のキャラクター」を挙げ、「(役者それぞれが)内に秘めたる何かをこのキャラクターに出しているんじゃないか」と考察した。
小野塚は「メイク」と回答し、「自分の役者史上、最も濃いメイクを今回していまして、いまだに鏡を見ると笑ってしまう」と照れ笑い。萩谷は全キャストが1人2役となる本作において「2役が変わる切り替わりポイントにも仕掛けがあったりして。微妙な変化だったり、大きな変化だったり、いろんな変化があるんで、そういうところを気づいてもらえたら」とアピールした。

井上は、「実験」がキーワードとなる本作のストーリーになぞらえ、「お客様も実験に参加しているような感覚になる舞台」と解説。「演劇を観に来ましたではなく、どこかの施設で人体実験を見て、それを体験して、帰ったみたいな感覚に陥ってくれたらいちばんうれしい。体験型舞台になるのが理想ですね」と抱負を述べ、松田は「観てくださったときにいちばん心に残ったところがおそらく見どころになると思います。なので、みなさまで見どころをつくってください」と呼びかけた。

コメントの順番が最後となった崎山が「なるべくかぶってないことを言いますと、見どころはエネルギー」とボケをかますと、周りの共演者は「かぶってるかぶってる」と総ツッコミ。めげずに「キャラクターがそれぞれあるところ」とボケをかぶせる崎山に、「次に言ったやつ」と再びツッコミが入るなど、キャストの呼吸はバッチリ。
そんなボケ倒しの崎山に、松田が「(見どころは)入浴シーン」と応戦すると、崎山も「冒頭に僕の入浴シーンがあるので」とニッコリ。すかさず隣にいた井上から「ないです」と一刀両断されていた。
脚本・演出の高橋はメインキャストの魅力を例え話で紹介。崎山のことを「天使のような人柄だと最初は思っていました。でも稽古を重ねていくうちにどんどん役が入って豹変していった」と話し、「天使と悪魔、両方の魅力を兼ね備えた人」と語った。
松田については「犬とオオカミ。お芝居というご主人様に真摯で忠実な犬のようであり、でもあるときそのご主人様に噛み付いて、芝居の肉片を食い散らかすかのような熱量を持っている役者さん」。井上については「血統書付きの猫と雑種の野良猫のような人。同じ猫でありながらまったく違う猫を演じている。気品と泥臭さの両面を演じられる素晴らしい役者さん」と称えた。
萩谷については「蝶と蛾のような役者さん。美しい蝶のように舞うんですけど、どこかクレイジーで、一見蝶かと思ったら蛾だったという二面性を併せ持っている」。小野塚については「ドジョウと蛇のような役者さん。掴み所のない飄々とした立ち回りをしながら、あるときは演出家にガッと毒を持って噛みついてくる」と表現。砂川については「海ぶどう」を例に出し、「海ぶどうは別名グリーンキャビア。一見ただの海ぶどうのようで、その中で光るキャビア成分を今回の彼のお芝居の中に感じた」と振り返った。
そして、鈴木については「生き物に例えるなら、鈴木蘭々」と直球。「こう演じてほしいと思って書いた台本をほぼほぼ 180度変えるような演技プランを蘭々さんの方から持ってきてくださいまして。見事に彼女にしかできない役柄になっている」とその唯一無二の個性に舌を巻いていた。
どの役者もそれぞれに二面性を感じるコメントとなったのは、理由がある。それは、この「ID」が2つの視点、2つの世界観が混在する物語だからだ。ここからは囲み会見後に行われたゲネプロの模様をレポートする。
舞台上に広がるのは、どこか未来的な印象のサイバー空間。そこに、ナチスの軍服のような黒いコートをまとった6人のシルエットが浮かぶ。生徒会長(崎山つばさ)、学級委員(松田凌)など親しみやすいネーミングを名乗っているが、彼らの委員会で掲げられている議題は、決して牧歌的なものではない。
彼らが開発(デザイン)しているのは、仮想空間上で生きるアバター。人間と同じように動き、人間と同じように言葉を話す。ついに人類は、人間と同等の存在を生み出す創造主となったのだ。そう歓喜する委員会の面々たち。だが、まだそれは完成ではなかった。
人間のアイデンティティを形作るものは何か。生徒会長が着目したのが、感情だった。感情をコード化できれば、人類は人間を複製することができる。その仮説を検証するべく、委員会のメンバーたちによる恐るべき「実験」が今始まろうとしていた。
アメリカの心理学者ロバート・プルチックが提唱した「感情の輪」をベースに、「自分を自分たらしめるものは何なのか」という究極の問いを投げかける本作。「実験」を進める委員会の面々は、どこか無機的かつ冷血で、ディストピア的な世界観を彷彿とさせる。
一方、「実験」のモルモットとなるのが、「感情の輪」に登場する8つの感情を注入された8体のアバターだ。喜び、怒り、悲しみ、恐れなど8つの純粋感情を振り分けられたアバターは、激しくぶつかり合ったり、葛藤に苦しんだり、色鮮やかな反応を見せる。

冷淡な委員会と、感情豊かなアバター。その対比を見ていると、人間らしさとは何なのかという疑問に胸がざわめく。

8つの純粋感情を有するがゆえに、アバターたちの演技はみなエモーショナルで、観客の琴線をダイレクトに揺さぶる。その生々しい感情の噴出を浴びているうちに、恐怖と興奮という相反する感情が渾然一体となって全身を満たすことだろう。
身をえぐるような痛み。足場が崩れていくような衝撃。本作は決して温かいファンタジーではないかもしれない。けれど、少しずつ解き明かされていく全貌に肌が粟立つようなこの感覚は、間違いなく至上の観劇体験となるはずだ。
ぜひこの「実験」の結末をその目で見届けてほしい。
TXT vol.2『ID』は、東京公演が2021年6月17日(木)から27日(日)までよみうり大手町ホールにて上演。大阪公演が 2021年7月2日(金)から4日(日)までサンケイホールブリーゼにて上演される。東京公演の6月17日(木)14:30公演・19:00 公演、6月22日(火)14:30 公演・19:00 公演の4公演にてライブ配信も予定。

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